2003年11月07日
新日本製鉄が6日発表した2003年9月中間連結決算は、売上高が前年同期比6・9%増の1兆3369億円、経常利益が同5・4倍の681億円、中間利益が367億円(同51億円の損失)と、増収大幅増益となった。中間配当は見送る。

 9月3日に起きた名古屋製鉄所のガスホルダーの爆発事故による損失は、経常損失(生産出荷影響、操業コスト悪化)が50億円、特別損失(除却・解体・復旧関連および補償費用)が50億円の計100億円。「下期はホルダーレスで通常の95%の操業が続くことを前提に100億円の経常損失を見込んでおり、トータルで200億円の損失となる。ただし新設中のホルダーが年度内に完成する見通しのため名古屋事故の影響は今期で終わる。愛知製鋼からの損害賠償請求は、よく話をうかがったうえで検討する」(藤原信義常務CFO)。

 通期では名古屋事故影響を織り込み、連結ベースで売上高2兆8900億円、経常利益1600億円、当期利益650億円を見込む。



日新製鋼は6日、2003年9月中間決算を発表した。連結売上高は2214億円で前年同期比11・2%増加。経常利益135億円(前年同期40億の損失)、純利益54億円(同62億円の損失)を計上し、黒字転換した。普通鋼・特殊鋼を中心とする鋼材販価アップやコスト削減など収益構造の改善が業績回復に寄与した。

 04年3月期は売上高4420億円(03年3月期4124億円)、経常利益230億円(63億の利益)、純利益100億円(26億円の損失)を予想、最終損益ベースで01年3月期以来の黒字化を見込む。



川鉄商事(成木宏雄社長)は、輸出を中心に鉄スクラップ事業を拡大する。中国や台湾、韓国を主体に同社の輸出量がここ2年で倍増しており、本年度の輸出量は前年度比10万トン増の80万トンになる見通し。輸出量は業界で上位にあるが、さらに東南アジアなど新たな供給先を開拓し、05年度には100万トンに引き上げる。仕入先の拡大や大型船を用船するなど物流機能を強化、アジア圏での需要急増に対応する。



佐藤商事は6日、鉄鋼流通業者であるユアサ鋼業(本社=名古屋市、奥村邦彦社長)の株式68%(2万7200株)を取得したと発表した。自動車分野に強いユアサ鋼業の株式取得によって、鋼材の加工・販売事業を強化するのが狙い。佐藤商事とユアサ鋼業は、ユーザーや扱い製品の重複が少なく、営業面での補充関係や相乗効果が期待できる。株式取得日は10月31日。



中東地域の鉄鋼需要が急速に増加しており、本年は10%の伸びを示すとの見通しを英・調査会社MEPSが発表した。MEPSによると、中東の生産量は92年から倍以上に増加しており、この間の鉄鋼消費もほぼ同程度伸びている。同地域のインフラ整備に対する莫大な投資によるもので、これらは少なくとも今後2年間の鉄鋼需要増加に寄与するとされる。ドバイで計画されている22億ドルの鉄道から、サウジアラビアの給水設備の新設やバーレーンのアルミ製錬所の拡張まで、多くの地域で建設が加速している。

 アラブ首長国連邦は、建設需要増加の一つの焦点だ。同国の鉄鋼需要は、大幅な建設需要の増加によって03年に150万トンを超えると予測されており、これは過去3カ年の実績比20%増にあたる。