2004年02月12日
コバルトやニッケルなど特殊鋼原料の急騰に伴い、特殊鋼メーカーの「原料価格変動に連動した価格スライド制」の導入が相次いでいる。

 新日鉄住金ステンレス(NSSC)などのステンレスメーカーがステンレス鋼の店売り価格にニッケルの価格スライド制を適用したのに続き、日立金属が今回、工具鋼や耐熱鋼にコバルトの価格スライド制導入を決めた。原料急騰下では、原料上昇分を短期間でユーザーにヘッジするのが困難なため、スライド制の適用で原料負担拡大の打開を図るケースが増えている。

日本高周波鋼業は10日、鉄スクラップ、ステンレススクラップ、合金鉄などの急激な高騰に伴い、2月から構造用鋼およびステンレス鋼鍛造品の大幅減産に踏み切ると発表した。減産幅は月間450―750トン規模で、日本高周波の構造用鋼およびステンレス鋼鍛造品の30―50%に当たる。日本高周波はこれらの製品で約60%のシェアを有しており、今回の減産は市場に大きな影響を与えそうだ。

新日本製鉄は10日、台湾の中国鋼鉄(CSC)からコークス乾式消火設備(CDQ)、ウォーキングビーム式ビレット用加熱炉設備を受注したと発表した。CDQはCSCが進める製鉄所と近隣の環境保全・整備の一環として導入される。新日鉄独自技術のコークス装入分散装置、給水予熱器などを装備、コークス冷却性能に優れ、高効率の熱回収が可能だ。

 累計では世界で44基目(新設38基、改造6基)となり、CDQのトップメーカーとしてCO2削減など環境、省エネ関連で先進技術を拡販する。ビレット用加熱炉はCSCの第一棒鋼工場に既設炉の全面更新として設置される。今回の受注を含め合計73基の実績を持ち、これをテコに展開を拡大させていく。

新日本製鉄は10日、特殊線材の販売価格について、3月ロール4月積みからトン当たり1万円値上げすると発表した。昨年春に値上げを実施したものの、なお採算が厳しく、加えて原燃料・フレートなどのコストアップが見込まれるため、再度値上げを進める。特殊線材は高強度ばねや、コンクリート補強材・橋梁用に使われるPC鋼材の材料となるが、安定供給を維持するためにも採算の回復を図る方針。

メタルワンはグループの大手鋼材問屋、ワタエイ(東京都中央区)を再構築する方針を固めた。3月1日付で新会社を設立、ワタエイの事業を移管する。ワタエイの不良資産などは旧会社に残し分離することで体質改善を図る。さらに4月1日付で新会社を、同日発足するメタルワンの建材事業会社「メタルワン建材」の完全子会社とする。

住友金属工業は10日、熱間プレス用後熱処理鋼板「スミクエンチ」の出荷累計が本年1月末に1万トンを突破したと発表した。2001年10月にアイシン高丘向けに初納入して以来、2年4カ月での達成。現在、月間生産量は600―700トンペースだが今後、1000トンを超える規模までの拡大をめざす。