高炉５社の２００５年度設備投資計画は各社とも前年度を上回り、単独５社合計（工事ベース主体）は前年度比26・５％増の４１９１億円となった。

　新日本製鉄は広畑製鉄所に溶融亜鉛めっき鋼板製造ラインを新設、ＪＦＥスチールは西日本製鉄所福山地区第４高炉改修、住友金属工業は鹿島製鉄所第３高炉改修、神戸製鋼所は加古川製鉄所第２高炉改修、日新製鋼は呉製鉄所の焼結設備増強など各社粗鋼増産・ネック工程の解消に努める。支払いベースの投資は住金、神鋼、日新が久方ぶりに減価償却費を上回る。

　神戸製鋼所が28日発表した２００５年３月期決算は連結経常利益が前期比２・３倍の１１６０億円となり、91年３月期のこれまでの過去最高益（６５０億円）を大幅に更新した。

　純利益は減損会計の前倒し適用、鉄、アルミ・銅関連事業でのたな卸資産の評価方法変更に伴う損失計上などを実施し、同２・３倍の５１２億円と、96年３月期（９０３億円）に次ぐ２番目の水準となった。

　大手総合商社の２００５年３月期連結決算が28日までに出そろったが、金属関連部門の純利益は５社すべてが過去最高となった。世界の鉄鋼需要増加を背景に鉄鉱石・原料炭、非鉄金属など海外資源事業が好調に推移、各社鉄鋼原料および非鉄部門の収益を押し上げた。

　また国際鋼材価格の上昇を受けて鉄鋼製品部門およびメタルワン、伊藤忠丸紅鉄鋼も収益が大幅にアップ。この結果、５社金属関連部門の連結純利益合計は前期比95・９％増の１５０７億円、ほぼ２倍となった。

　韓国ＰＯＳＣＯは28日開催の理事会で、総額６１４０億ウォンの設備投資計画を承認したことを明らかにした。

　投資計画は３件で、浦項製鉄所にステンレスの冷延―焼鈍酸洗―スキンパスの連続ラインを２９７０億ウォンを投じて新設するほか、第１製鋼工場に１５８５億ウォンをかけて脱リン炉を導入。同額を投じて第１ＣＣ（連続鋳造）ラインにも垂直連続設備を新設する。

　経済産業省は28日、２００５年度第１四半期（05年４―６月）鉄鋼生産計画の集計結果を発表した。粗鋼生産量は２９０６万９０００トン（前期比１３０万８０００トン、４・７％増、前年同期比84万４０００トン、３％増）で、同省が先月策定した需要見通しの２８３１万トンより75万９０００トン、２・７％上回る。

　粗鋼は80年度第１四半期以来の２９００万トン乗せで、高炉では一部高炉の巻き換え終了や増産により前期と比べ約50万トン増加、電炉では小棒増産で約70万トン増、特殊鋼も約４万トン増える。特に電炉の増産幅が大きく、粗鋼全体を押し上げる。

　ただ、小棒、ステンレス薄板など在庫増の動きもみられ、タイト感の強い品種以外では、踊り場状態に移行、鋼種によって実需を見据えた慎重な生産対応も要する状況になってきた。