2005年09月08日(木)
 ルクセンブルクのアルセロールは6日、普通鋼鋼板価格を10―12月受注分から1トン数十ユーロ値上げする考えを明らかにした。市場が過剰在庫の調整に入るなかで鉄鉱石などの原料の大幅値上げを転嫁できていなかった。詳細は明かしていないが、在庫がほぼ適正水準に調整された機をとらえて値上げに踏み切る。

 米国に続いて欧州で在庫調整完了、価格反転に向けた動きが具体化してきた。
 東京地区のH形鋼市況が、今月中旬にも反発する見通しになってきた。市中在庫が非常に少なく歯抜けが出ているなか、高値の高炉メーカー販価に見合うよう、流通が売り腰を強めているため。市況はトン1000―2000円上昇して、置き場7万6000円前後になるもようだ。
 ステンレス鋼管専業メーカー、住金ステンレス鋼管(本社=茨城県猿島郡総和町、土井芳夫社長)は、過剰感のある市中在庫を適正水準に調整するため、2005年4―6月から実施してきた、店売り向け配管用ステンレス溶接管の大幅減産を10月も継続実施する。

 同社は、同7―9月で前年比30%の大幅減産を行っているが「実需回復を期待していた9月も状況が好転せず、市中の在庫調整は進展が遅れている」(土井社長)と判断、需要期での大幅減産継続を決めたもの。
 東京地区の小棒市況は、ベースサイズ(異形19ミリ)トン5万9000円前後で強含んでいる。8月下旬から太物、細物とも出荷繰りが忙しく、地区需給は引き締まっている。

 価格は8月末にかけてトン1000円ほど上昇した後、商社サイドはゼネコン各社への売り腰を強めている。9月以降オフィスビルやマンション建設などが本格化するため、市況はトン6万円乗せをめざして底堅く推移しそうだ。
 JFEグループの小径電縫鋼管メーカー、川崎鋼管(本社=川崎市川崎区、田上俊久社長)は、2006年度から始動する次期中期3カ年計画「川崎鋼管フューチャービジョン」で、強固な企業基盤を構築するため、オンリーワン・ナンバーワン商品比率を現行60%から70%以上に引き上げる一方で、D/Eレシオ(株主資本に対する有利子負債倍率)で1・0以下をめざすなど財務体質を強化する。

 また、06年度内をめどに川崎市にある本社(自社保有)を伊勢原工場に統合する方向で検討しており、固定資産削減や業務効率化に取り組む方針だ。