2006年05月08日(月)
 高炉5社の2006年3月末の株式時価総額合計は10兆1183億円となり、1年前の5兆3723億円に比べ1・9倍となった。業績が急回復してきた鉄鋼株に国内外投資家の関心が集まり、高炉5社の株価上昇率は1・5―2・6倍と日経平均の上昇幅(46%)を大きく上回った。

 とはいえ足元の株価収益率(PER)は新日本製鉄、JFEホールディングスの大手2社が10倍程度にとどまっており、株式市場における高炉業界の評価はいまだ低く、好業績を持続することが各社の課題となっている。

 なお3月末の外国人持株比率の5社平均は21・4%で1年前の17・7%から3・7ポイント上昇、個人投資家比率は23・7%で27・4%から3・7ポイント低下した。
 経済産業省は政府の総合科学技術会議がまとめた第3期科学技術基本計画(2006―10年度)に基づいて、劣質原料・環境対応型革新製鉄プロセスなど鉄鋼製造技術開発関連プロジェクトの実行に向け、準備作業に入った。

 劣質原料・環境対応型革新製鉄プロセスのほか、革新的溶接・接合技術、破壊損傷機構解明、先端的制御鍛造・加工による材質制御技術の4プロジェクトテーマを軸に、同基本計画の遂行として07年度予算の概算要求に盛り込む方向で調整を図るなど、推進の具体化を進める。

 これらを候補に、各プロジェクトを実施、鉄鋼製造技術での省エネ化や鉄鋼材料の長寿命化といった一段の高度化を促進していく。
 日鉄商事(宮本盛規社長)は、本年度から始まる3カ年の新しい中期経営計画のなかでメーカー商社としての機能を強化する。

 新日本製鉄のメーカー商社として、新日鉄の業務の一部を補完する「縦の機能」と、新日鉄の製品の販売最前線部隊として加工拠点を含めた新日鉄のニーズを先取りした「横の機能」を織り交ぜる。

 グループ内外のコミュニケーションを密にすることも加味して、新日鉄グループ全体での拡販につなげ、収益に結びつける。
 兼松の鉄鋼・プラント部門の2006年3月期の連結業績は、売上高が前期比3・0%増の2264億500万円、営業利益は同23・5%増の79億5500万円となった。このうち鉄鋼部門の売上高は同64億円増の1246億円、営業利益は同1億円増の55億円。
 JFE鋼材(木原和弥社長)はこのほど、2006年度(07年3月期)を初年度とする中期3カ年経営計画を策定した。最終年である08年度に売上高312億円、経常利益7億2000万円、純利益4億1500万円(いずれも単独)の確保をめざす。

 また、競争力ある企業体質の確保と統合効果をさらに引き出すことを目的に「次世代新統合システム」の導入とレベラーの長さ対策(メジャーロール回りの改造など)および老朽化更新を進める。