2006年12月12日(火)
 新日本製鉄と韓国のPOSCOは11日、2007年度積み鉄鉱石の価格交渉に共同で当たると発表した。すでに了解を得た鉄鉱最大手の伯リオドセ(CVRD)と15日にソウルで最初の交渉に入る。戦略提携の新たな案件として、鉄鉱石市場の分析と合わせて共同で実施し、市場の安定化と円滑な調達に結び付けたい考え。

 購入量が合わせて年間9000万トンと世界の鉄鉱石海上貿易量の約13%を占める両社の協力は、鉄鉱大手3社で80%を占める供給構造のなかで、鉄鋼側の交渉力を高める効果がありそうだ。
 JFEスチール東日本製鉄所(所長=今村晴幸専務)は、今中期経営計画(2006―08年度)における粗鋼ターゲットを従来の年産850万トンから900万トン以上に引き上げた。05年度の生産実績は804万トン。

 中期計画では最終08年度の定常時850万トン、ピーク時900万トンをめざしていたが、本年8月のトライアルでほぼ年率900万トンをクリア、06年度の生産も850万トンに達する見込み。高級品を中心に鋼材需要が拡大基調にあることから、安定供給に向けてターゲットを引き上げる。

 次のステップとなる1000万トン体制に向けての検討も進めており、「規模拡大と併せて高級鋼化も加速し、世界トップクラスの収益性を確保する」(今村所長)考えだ。
 JFEスチールは11日、自動車の安全部品やトランスミッションなど駆動力伝達系(パワートレイン系)部品に使用される冷延特殊鋼の生産を、東日本製鉄所(京浜地区)水江エリアに擁する高精度圧延設備「SRM」(スペシャル・スチール・リバース・ミル、能力=月間5000トン)を再稼働し、集約すると発表した。

 従来、西日本製鉄所(福山地区)と東日本製鉄所(千葉地区)の普通鋼生産設備を兼用し生産してきたが、冷延特殊鋼専用のSRMでの生産に切り替えることで需要変化、生産変動の影響を受けない安定生産体制を整備、納期面での対応力を高める。冷延特殊鋼はこれまで東日本、西日本の両製鉄所でそれぞれ月間3000トン、合計6000トンを生産してきたが、このうちSRMで製造可能な4000トンを移行する。
 住友金属工業は今後1―2年をめどに、製鋼所(大阪市此花区)の鉄道用の車輪製造能力を現状比20%増の年間24万枚まで引き上げる計画。米国を中心に海外での鉄道用車輪の需要が旺盛で、これにきめ細かく対応するのが狙い。

 増強の細かい内容は現在、検討中の段階だが、設備的には機械加工設備、熱処理設備、ショット加工設備、および検査機器などの増設を予定している。
 日新製鋼は戦略品種である高耐食溶融めっき鋼板ZAMの拡販に向けた取り組みを加速する。機能材としてのZAMの特性を生かし、住宅メーカーをターゲットに普及拡大を進めるほか、屋根材や畜舎・鶏舎などの農業関係、自動車への開発を積極的に行う方針。

 亜鉛価格の高騰に伴う、どぶ付けめっき製品からの転換なども後押しとなっており、中期経営計画で目標にしている月間生産量4万5000トンを前倒しで達成したい考えだ。