2007年11月12日(月)
 来年1―3月の国内薄板需給が緩和する可能性が高くなってきた。自動車、電機、産業機械など製造業は好調な動きが続いているものの、建材が6月20日に施行された改正建築基準法に伴う発注遅れによって、屋根・壁材向けの回復が3月以降にずれ込む見通しであるうえ、家電や住宅設備機器の生産への影響も懸念されるためだ。
 関東鉄源協同組合(理事長=渡辺淳・丸和商事社長)が9日に実施した11月積み鉄スクラップ輸出入札(H2)の平均落札価格は、前回比1736円安のトン3万5414円(東京湾岸・FAS)となり2カ月連続で下落した。
 住友金属工業と住友商事は9日、両社とティッセンクルップ・チャイナ(TKC)による鍛造クランクシャフト製造販売合弁企業「恵州住金鍛造」の第2鍛造プレスライン(5000トンプレス)が営業運転を開始したと発表した。

 中国での乗用車、小型トラック生産増大により急増する自動車用クランクシャフト需要を背景に投資額30億円で新鋭ラインの増設を図った。これで既存の6000トンプレスラインと合わせ、クランクシャフトの生産能力は従来の年産80万本から180万本と強化された。住金では国内拠点の製鋼所(大阪市)でクランクシャフト生産能力年間400万本を擁し、米国ICI(ケンタッキー州)でも09年1月稼働をめどに第3ラインを増設中で能力は150万本から270万本となる。
 新日本製鉄が進めていた電機・産業機械向けの薄板値上げ交渉が一部で合意したもようだ。個別交渉のため値上げ幅・時期などは詳らかではないが、時期は10月ないし1月積みからで、値上げ幅はおおむね4―5%とみられる。
 新日本製鉄は2007年度の普通線材、普通鋼バーインコイル(BIC)の生産を前年比15%程度、8万トン減らすと明らかにした。上期には4万トンの減産を実施しており、下半期に4万トンの減産を継続する。

 減産により余る8万トンの鉄源は君津、釜石製鉄所の自動車、弱電など引き合いが好調な分野の需給緩和に充てる。普通線材製品メーカーは需要悪化により、価格転嫁の遅れ、在庫の積み上がりが発生している。減産によって需給を引き締め、市況上昇につなげる。