2015年6月18日

経済産業省 鉄鋼業の安全対策まとめる 重大事故発生減に期待

経済産業省が鉄鋼業の安全対策をまとめた。産学官の協力を得て過去の取り組みなどを詳細に調査し、今後の望ましい対策を13項目にまとめて提示している。対策が業界に広がることで、事故の頻度や重大事故発生を減らすなどの効果を期待している。

鉄鋼業の死傷者数は1980年代前半は年間500人を上回っていたが、過去5年間は160人前後に減少。死亡者数は80年代から半減したが、近年は一進一退が続く。鉄連の協力を得て00―13年までに発生した休業30日以上の労働災害の傾向を見たところ、「協力会社が約6割」「61歳以上の高齢層が増加傾向」「経験5年以下の層の被災が約4割」「挟まれ、巻き込まれが約4割」「一人作業と共同作業は拮抗」「定常作業が約6割」と傾向が分かった。

厚労省の調査で、鉄鋼業の労働災害の発生は13年までの約30年で見て度数率1・1、鉄連の安全衛生活動対象の会員で0・4と製造業平均の1・16に比べても低い。一方で、休業日数を示す強度率は鉄鋼業で0・34、鉄連の対象会員で0・27と製造業平均の0・13を上回り、重大事故につながりやすい。

鉄連の調査で、鉄鋼業の設備災害では04年以降は火災が約7割を占めた。発生件数は一進一退で増減傾向の背景は明らかでなかった。昨年の事故多発を受けて、業界レベルでも災害対策に取り組んでいる。他業界では、日本化学工業協会が業界横断的に設備トラブル情報を収集、分析し、業界内で共有しているほか、企業が資金も拠出し、安全工学会に保安力向上センターを設置し、専門家による工場の保安力を評価するなどの安全活動を展開していると紹介している。

03年以降、経産省製造産業局に設置した産業事故連絡会による検討のほか、鉄鋼課の求めに応じた鉄連の対策など過去10年程度でもさまざまな対策を講じてきた。ただ、これらが課題抽出と対応策提示にとどまり、効果などの検証が不十分という。ITを使った保安強化など新たな課題も出ている。今回はこれら課題をあらためて整理し、実効ある対策をまとめた。

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