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2024.12.4
2016年4月11日
【第1回】非鉄戦略 課題と展望 ■電線 取引適正化指針が重要 五輪後見据え対策
非鉄業界では近年、大きな価格変動や需要構造の変化などを受け、それに合わせた機動的な対応が求められている。こうしたなか、経済産業省は昨年、金属素材産業の競争力強化に向け、「金属素材競争力強化プラン」をとりまとめた。その後、経産省の非鉄金属課では、これらプランをフォローアップする形で製造産業戦略を近々策定する見通し。今回はこうした取り組みを見据えながら、事業環境の変化のスピードが一段と速まる状況において、各業界の将来的な戦略などに関し、課題・展望を中心にまとめていく。
電線業界で今年起こった大きな話題の一つとしては、日本電線工業会が長年の商慣習改善を目指した取引適正化ガイドライン「電線業界の取引適正化のために」を取りまとめたことだろう。このガイドラインは、総論、各論、今後の対応にそれぞれ分かれ、詳細に言及しているが、基本的なキーワードとして、「収支相償」の重要性を指摘する。電線業界においては、メーカーおよび流通を問わず、「電線はなかなか儲からない」との声が少なくない。過度な価格競争により、最低限必要なコストも賄えない現実が一部にあり、きちんと利益を確保するため、最低でも収支を相償できる取引を各社が行っていく必要性を強調する。これら収益を上げるための商慣習改善は当面の大きな課題の一つで、継続的なフォローアップ体制構築が重要になってくる。
一方で、電線業界においては、短期および中長期で取り組むべき施策もさまざまにある。経産省がまとめた「金属素材競争力強化プラン」では、「技術開発戦略」「国内製造基盤強化戦略」「グローバル戦略」の3つに関し指摘される。このうち技術開発について、マテリアルズ・インフォマティクスに関して見ると、電線業界では現時点でIoT(モノのインターネット)・ビッグデータを利用した研究開発が、明確には見られない。こうした開発については、今後の検討課題と言える。
国内製造基盤強化に関しては、産業事故防止や事業再編による競争力強化、エネルギー・環境問題への対応、デジタル化が及ぼす変革への対応など、それぞれの問題について対処。個社で対応すべきものや、事故防止といった安全活動などは、業界として取り組むべき課題も多い。
また、グローバル戦略の一つとして、原材料供給リスクへの対応については、中国への銅スクラップ流出が、将来の原料不足を招くと懸念する。さらに原料の複合化や電線のアルミ化などにより、ハイブリッドリサイクルシステム確立の必要性も指摘。そのほか海外需要開拓は、対処すべき柱の一つに挙げられる。これらそれぞれの戦略における各項目に関し、今後の対応を図っていくことになる。
他方、東京五輪後のさらに10年先の2030年を見越した長期の見通しとして、電線では、建設や輸送機器、電力、通信・電力関係の各需要用途で、さまざまな課題が浮き彫りになる。例えば、主力の建設向けでは、人口の増加と経済発展が見込まれる東南アジア諸国を中心とする建設部門の需要をいかに捕捉できるかが鍵になる。ただし、コスト削減ニーズも強まると予想される。このため、技術面では、アルミ電線の技術開発促進や優位性を求めた合金導体の研究開発が課題。さらに、環境に配慮した導体サイズの適正化技術の拡大なども重要になる。これに対し、コスト的に新興国需要の取り込みのためには、海外と競合する低価格ケーブルとの競争が避けられない。このため、国内企業の海外拠点集約化が進む中、事業の集約、省エネ追求、合弁などによる海外企業の過剰製造設備利用など、低コスト化に向けた取り組みが求められる。そのほか、国内では商慣習改善への取り組みや日本発の国際標準化推進なども大切になってくるとみられている。
電線業界で今年起こった大きな話題の一つとしては、日本電線工業会が長年の商慣習改善を目指した取引適正化ガイドライン「電線業界の取引適正化のために」を取りまとめたことだろう。このガイドラインは、総論、各論、今後の対応にそれぞれ分かれ、詳細に言及しているが、基本的なキーワードとして、「収支相償」の重要性を指摘する。電線業界においては、メーカーおよび流通を問わず、「電線はなかなか儲からない」との声が少なくない。過度な価格競争により、最低限必要なコストも賄えない現実が一部にあり、きちんと利益を確保するため、最低でも収支を相償できる取引を各社が行っていく必要性を強調する。これら収益を上げるための商慣習改善は当面の大きな課題の一つで、継続的なフォローアップ体制構築が重要になってくる。
一方で、電線業界においては、短期および中長期で取り組むべき施策もさまざまにある。経産省がまとめた「金属素材競争力強化プラン」では、「技術開発戦略」「国内製造基盤強化戦略」「グローバル戦略」の3つに関し指摘される。このうち技術開発について、マテリアルズ・インフォマティクスに関して見ると、電線業界では現時点でIoT(モノのインターネット)・ビッグデータを利用した研究開発が、明確には見られない。こうした開発については、今後の検討課題と言える。
国内製造基盤強化に関しては、産業事故防止や事業再編による競争力強化、エネルギー・環境問題への対応、デジタル化が及ぼす変革への対応など、それぞれの問題について対処。個社で対応すべきものや、事故防止といった安全活動などは、業界として取り組むべき課題も多い。
また、グローバル戦略の一つとして、原材料供給リスクへの対応については、中国への銅スクラップ流出が、将来の原料不足を招くと懸念する。さらに原料の複合化や電線のアルミ化などにより、ハイブリッドリサイクルシステム確立の必要性も指摘。そのほか海外需要開拓は、対処すべき柱の一つに挙げられる。これらそれぞれの戦略における各項目に関し、今後の対応を図っていくことになる。
他方、東京五輪後のさらに10年先の2030年を見越した長期の見通しとして、電線では、建設や輸送機器、電力、通信・電力関係の各需要用途で、さまざまな課題が浮き彫りになる。例えば、主力の建設向けでは、人口の増加と経済発展が見込まれる東南アジア諸国を中心とする建設部門の需要をいかに捕捉できるかが鍵になる。ただし、コスト削減ニーズも強まると予想される。このため、技術面では、アルミ電線の技術開発促進や優位性を求めた合金導体の研究開発が課題。さらに、環境に配慮した導体サイズの適正化技術の拡大なども重要になる。これに対し、コスト的に新興国需要の取り込みのためには、海外と競合する低価格ケーブルとの競争が避けられない。このため、国内企業の海外拠点集約化が進む中、事業の集約、省エネ追求、合弁などによる海外企業の過剰製造設備利用など、低コスト化に向けた取り組みが求められる。そのほか、国内では商慣習改善への取り組みや日本発の国際標準化推進なども大切になってくるとみられている。
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