2022年5月11日

鉄鋼業界で働く/女性営業職・課長補編/インタビュー(下)/計画立て定時で結果残す

ステンレス・特殊鋼の専門商社、大同興業大阪支店(所在地=大阪市中央区、関公彦支店長)で、鉄鋼営業本部鉄鋼第四部ステンレス第2チーム課長補の樋口真衣さんが日々業務を行っている。総合職の女性営業職としては同社最年長だ。2回の出産を経験し、その間に管理職に就任した。女性総合職としての悩み、新型コロナウイルス禍での業務、今後の目標などを聞いた。

――管理職になって感じることを。

「今までは、どうしても女性として印象強く見られることが多く悩んでいました。ところが名刺に『課長』の文字が入った途端、お客さまの反応が変わったんです。女性だから、女性なんだという話題はなくなり、課長補という肩書きで自分を見ていただけるようになりましたね。社内でも若手のくくりから抜け出して、仕事がやりやすくなったように感じています」

――以前は。

「仕事の評価が良かった時に、『女性だから特別目をかけてもらっているんだ。女性活躍を推進したいから良い評価をもらえているんだ』と言われショックを受けたことがありました。営業の女性総合職で最年長ということもあり、『樋口さんは将来が約束されているもんね』と社内で言われてがっかりしたことも。どれだけ頑張ってもフィルターを通した目で見られているようで、会社の中で周囲からどう思われているのか今でも本当に気になっていますね。なので特別扱いされないように常に心掛けています。変な意味でも良い意味でも、目立つからこそ社則から外れたことは絶対にしない。ちょっと頑張ったくらいでは本当の評価はされない。そう考えています」

――現在、子育てとの両立中です。

「結婚後、今までは残業をしても誰かに迷惑を掛けることがなく、コロナ禍前は午前様になることもありました。出産を機に、残業ができなくなることもあり、今まで以上に先を見通して計画を立てようになりましたね。まとめて提出しなければならない資料も早め早めに、来たらすぐ展開しています。定時で結果を残すことが自分にとって重要となっていますね。ただ子供が小さい時は、どうしても急病などで仕事を休ませてもらい、電話対応のみにならざるを得ないことがあります。同じチームの社員に迷惑を掛けますし、お客さまにはアポイントを変更してもらい、申し訳ないと感じますね」

――お2人目は1歳半ですよね。

「次男はまだ小さく、離乳食の段階です。復職後から朝と晩しか家にいないので、会える時間が限定されているのは幼児ながらに理解しているようです。が、やはり母親が恋しいようで、帰宅するととても甘えてきてくれますね。早く帰宅して子供や家族の顔を見たいのも、モチベーションにつながっています」

――コロナ禍で2回目の復職となりました。

「リモート会議は手軽ですが、相手のちょっとした言葉の端々や表情など反応を感じ取るのが難しいです。同時に話すと音も反響しますし、お互いけん制し合って話しているようで、正直、対面でお話したほうがいいなと思うのが実情です。良い面だけを話すのなら問題ないかもしれませんが、取引となると悪い面もお話する必要があります。あまり聞きたくない話や知りたくない話があっても、後で知って苦労するのはお互いさまですから。悪い面などについても前持ってご説明しお客さまに選択肢を持っていただきたいので、こういったことをリモートで話す時、お客さまの気持ちを受け取るのが特に難しいです」

――鉄鋼業界に女性が増えてほしいと思いますか。

「鉄鋼業界ではまだ女性が少ないのが現状です。大同興業では女性総合職の採用を行っていますが、人事など総務関係への配属が多いように感じます。女性総合職で営業担当は片手で数える程度しかいません。大阪支店では私と部下の2人で、他の部署にはいない状態ですね。多く女性を採用することで、『女性だから』と言われることがなくなるのではと思います」

――鉄鋼業界に変わってほしいことを。

「今ではどの企業にも産休や育休をはじめ、地域限定職など女性が働きやすい環境が整えられています。でも、制度を作るだけでなく、実際使ってみてどうだったかを発信するのも重要ではないかと思いますね。鉄鋼業界に限ったことではありませんが、女性がより長く働けるようになるといいなと思います」

――今後の展望は。

「今の会社が好きなので、働くことを理解し協力してくれる夫に感謝しながら、これからも働き続けたいです。ステンレス第2チームには15年から所属していますが、その間に2回出産しているので実際の勤務期間はそんなに長くありません。大同興業では3―4年ごとに異動があります。入社から一貫して大阪支店で勤務しているので、ゆくゆくは東京支店や海外支店など他の勤務地でも働いてみたいですね」

(芦田 彩)

スポンサーリンク