2022年11月9日

鉄鋼業界で働く/グローバル人材編/インタビュー/技術者として主張大事に

――日本への興味は。

「学生時代から日本に興味があり、たびたび旅行で訪れていた。そうした中で、日本語を話したり、知ることができれば、さらに面白くなると思い、独学で語学の勉強を始めた。その流れもあって、スチールプランテックに19年に入社することになった」

――とはいえ、新卒で海外の企業に入社するのは勇気がいるのでは。

「もともと若いうちに海外で働いてみたいという思いがあった。製鉄プラントにこだわっていたわけではないが、大学の専攻が機械系だったので、機械設計などプラントの仕事には関わりたかった。製鉄プラントは非常に大きな設備を同期化して製品を造るが、その巨大さも魅力的だった」

――現在の仕事は

「プラントエンジニアリング本部の製鋼エンジニアリング部転炉グループに所属している。もともと電炉や転炉など上流系(プラント)を希望していたので、ほぼ希望通りの職につけたと思っている。転炉グループという名称がついているが、転炉そのものだけでなく、二次精錬設備など製鋼工場の全てが管掌範囲。19年の入社以降、製鋼工場の新設というような案件はないが、転炉の炉体や傾動装置の更新などの案件に関わり、最近ではある設備のメインの設計担当を任された」

――これまでの仕事で印象に残っていることは。

「いずれも印象に残っているが、設計だけでなく、一部工事にまで参加したことは特に思い出深い。ベトナムで設備の試運転に参加したことがあり、海外で複数の外国人エンジニアと議論し、仕事をしたことは大きな経験となった。仕事に対する態度として、日本のメーカーはお客さまに対して最後まで責任を持つという意識が強いということも思った。技術者(エンジニア)として主張すべきことは主張し、その中でより良いものになるように調整していくことが大事。相互の主張(コスト・技術面を含めた)を全て受け入れることは不可能だが、説得するのもエンジニアとしての当然の努力だと認識した」

――今後、取り組んでみたい仕事は。

「まだ設計を初めて4年。知らないことが多いのも自覚している。しばらくは仕事・勉強することで、自分自身の技術知見を高めたい。今は転炉関係が中心だが、設備が変わるとまた特徴が違い、同じ製鋼関係の中でも一様ではない。電炉を含めてより上流の設備などに広げていけたら良いと思っている」

――社内コミュニケーションなどはスムーズか。

「社員一人一人が偏見なく接してくれているのはうれしい。業務でも業務外でも同期や先輩とコミュニケーションが十分に取れており、日本での生活をいろいろと教えてくれる」

――休日の過ごし方は。

「せっかく(日本に)いるので、いろいろなところに行かないともったいない。長期休暇は(韓国に)帰ることが多いが、日本国内も九州から北海道までいろいろなところに行った。出張も多いので、休日を生かせる場合は、自分でプランを作って楽しんでいる」

(絹川 政明)





製鉄プラントメーカーのスチールプランテックはダイバーシティー(多様性)推進のため、外国人や女性に働きやすい職場を目指している。その一環として、海外の大学の新卒者の採用にも積極的だ。2017、18年には韓国の新卒採用イベントに参加。新型コロナウイルス禍ということもあって、この数年は参加を見送っていたが、22年からは再び参加し、新卒採用の活動を再開する。韓国内だけでなく、アジアの中でもトップクラスに入るとされる成均館(ソンギュンガン)大学校卒で、海外新卒2期生ともいえる金宰延(キム・ジェヨン)さん(27)に話を聞いた。



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