2022年9月14日

鉄鋼業界で働く/グローバル人材編/インタビュー/製品の出荷に喜び

基礎工事用機械器具の製造・販売・レンタルを行う基礎建販(本社=大阪市福島区、植田賴親社長)尼崎工場では、ベトナム出身のブイ・ダン・フングさんが日々業務に汗を流している。子供の時から興味のあった日本で働く夢をかなえ、製品の図面作成から製造までの一連の過程を担当。来日後の苦労や業務内容、今後の目標などについて聞いた。

――来日の経緯を。

「子供の時に漫画『ドラえもん』を読んでいました。登場する日本の景色がきれいで興味を持ち、行ってみたいなと思っていましたね。大学で電子工学を学んだのち、ベトナムで電機技術者として5年間従事。照明の図面作成などを担当していました。退社後の2016年1月から日本語学校に通い、5月に来日。景色が美しいのはもちろん、電車と自動販売機が便利で、スーパーマーケットに何でも置かれていることにびっくりしましたね」

――入社前後は。

「当時はひらがなを覚えていたものの、基本的なあいさつや単語が分かる程度の語学力でした。入社試験の面接で自己紹介や自分の専門について話したのですが、緊張しましたね…。同6月に入社し、製品の図面作成から材料の選定、製造作業までを担当しています。尼崎工場は日本人5人とベトナム人3人の計8人で操業しています」

――苦労が多かった。

「最初は仕事も日本語も大変でした。仕事面では、ベトナムと日本で図面の書き方が異なるため戸惑いましたね。語学力が不十分なこともあり、工場長が手伝いながら教えてくれました。経験を重ねるうちに1人でもできるようになりました。日本語については常にノートを持ち歩き、同僚に教えてもらった言葉をどんどんメモしていきました。また、関西で働いているということもあり、同僚の日本人の方は大阪弁を使われます。日本語の発音は難しく、ただでさえ聴き取るのが大変なのですが、『いいです』が『ええで』になるなど、次々に出てくる大阪弁が理解できないこともよくありました」

――文化の違いは。

「ベトナムも日本も仕事の内容自体は似ているのですが、日本人は仕事に対して真面目で、技術が高い印象です。作業面でも日本の方が難しく感じて、最初はびっくりしました」

――1歩ずつ学んだ。

「まずはスクリューやスクリュー羽根など、比較的構造が簡単なものを担当しました。その後、異径ジョイント、ケーシング・ヘッド、地盤改良用ヘッド、直径2000ミリのケーシングパイプ、ハンマーロッド――と順番に難しい製品にも携わるようになりました。昨年からはコニカルヘッドの担当をしています。複雑な形状をしていますが、慣れてきたところです」

――仕事の魅力を。

「製品が完成し出荷される時、お客さまのところに行くと思うとうれしく感じますね。製品を作るのが楽しいです。仮付け、溶接、塗装を含む仕上げの順番で作業するのですが、自分の作る製品がだんだん仕上がっていくのを見ると楽しく感じますね。また新しい製品を作る時は日本人の同僚と一緒に作業します。それがきっかけで少しずつ同僚との距離が縮まりましたね」

――同僚に支えられている。

「仕事だけでなく、初めての日本生活においても、同僚の皆さんがいろんなことを教えてくださいます。例えば安いスーパーがどこにあるか、ポイントカードはどう作るのか。バイクが壊れた時、タイヤはどこに売ればいいのか。壊れた炊飯器のリサイクル回収についても教えてもらいました(笑)。皆、優しくて親切です」

――入社7年目に。

「仕事に関する日本語はもう問題ないのですが、現在もオンライン形式で日本語の授業を受講しています。最近は『〇〇するつもり』といった文法や新たな漢字を学びました。来日するきっかけとなった日本の景色も少しずつ見ていますよ。近場だと京都や神戸、難波などの景色を好んでいます。いつか、最年長の先輩の故郷である沖縄や、富士山、東京に行ってみたいですね。日本の景色をもっと見たいです」



――今後の目標を。

「近い目標だと、来年くらいにはオーガーモーターの担当になりたいです。現在担当しているコニカルヘッドよりもさらに構造が複雑なものなんです。将来的にはいつかリーダーになって、教える立場になれたらと思いますね。働き続けながら、難しいことにどんどん挑戦していきたいです」

(芦田 彩)



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