2024年1月26日

鉄鋼業界で働く/女性営業職編/インタビュー/困難を乗り越え結束

日本製鉄の薄板営業部建材薄板室に勤務する高橋万里乃さん。2015年に入社後、電磁鋼板の国内営業や東日本製鉄所での総務の業務を経て、現在は建材薄板室でグループ会社向け母材の販売に従事している。入社の経緯やこれまでの仕事でのエピソード、今後の目標などを聞いた。

――日本製鉄に入りたいと思う決め手となったのは何か。また、入社後の印象は。

「仕事に対する志が高い社員が多い点に魅かれました。特に役職任命や人事考課で男女差がなく、高いモチベーションで仕事に集中できる環境であると感じ、入社を志望しました。入ってから意外だったのは、重厚長大産業なので古い体質の部分も多いのではと想定していたところ、そのようなことはなく、世の中の変化に柔軟に対応している点です。テレワークの導入も新型コロナウイルス禍以前と早かったです。異動の内示も以前は異動日の1週間前に言い渡されていましたが、今はもっと余裕を持って伝えられています。人事異動も育児や介護の有無などの家族事情について上司との対話を踏まえて検討していると聞いています」

――入社から現在までの仕事内容を。

「入社後の4年間は電磁鋼板の国内営業に携わりました。主にエコカーのモーターなどに使われる電磁鋼板を取り扱い、社内で営業担当者と製鉄所の間に入って需給管理をする仕事からスタートして、客先窓口も担当させてもらいました。その後、東日本製鉄所君津地区人事総務室に2年弱在籍し、製鉄所の各会議体の運営やリスクマネジメント、広報業務などに従事して、2021年2月から現在の建材薄板室に所属しています」

――建材薄板室の業務内容とは。

「土木・建築向けのめっき鋼板の営業が主体ですが、私はグループ会社の日鉄鋼板がめっき鋼板やカラー鋼板を生産する際に母材として使う冷延鋼板を販売する業務を担当しています」

――やりがいを感じる瞬間は。

「チームで一つの大きな目標に向かって、各人が最善を尽くし、それをやり遂げた時の達成感は何物にも代えがたいものがあります。特に印象に残っているのは、当社の旧日鉄日新製鋼との統合後、日鉄鋼板も旧日鉄日新製鋼建材と統合したことを踏まえて、統合シナジーを最大化すべく、グループ全体で生産体制の最適化を進めてきたことです。需要に見合った生産能力という観点だけではなく、輸送距離削減も考慮しながら見直しに取り組み、約2年がかりで実現した案件もあります。統合直後、旧会社が異なるメンバーで会議を重ねていた際には、業務用語もシステムも異なる中で難しさも感じましたが、それを乗り越えたことによって、製鉄所の工程管理や技術の方々との結束も強まっています。こうした地道な取り組みを通じて、メーカーとしての競争力を高めることができるのだと思います」

――現在の部署での女性社員の割合は。

「32人中12人が女性で、そのうちグローバル職(総合職)が2人、エリア事務職が10人です。営業部内にはグローバル職の女性も多いですが、建材薄板室では私が初めてと聞きました」

――女性が総合職として長く働いていく上で何が必要か。

「出産や育児などの家庭での負担が女性に偏らないよう社会の在り方や価値観を変えていくことが必要だと考えます。男性の育休取得に対する理解が社会全体で進んでほしいですし、当社では実際に取る人が増えつつあります。また、同様に当社では業務効率化の推進やフレキシブルな勤務体制による働き方改革も進んでいますが、男女問わず全ての人が互いのプライベートに配慮しながら仕事の成果を上げられる風土をつくっていきたいと思います」

――鉄鋼業界にも女性が増えてほしいと思うか。

「性別に限らず、国籍やキャリア、専門性など、多様なバックグラウンドを持った方が増えてほしいです。人材確保の観点だけでなく、投資家からの資金調達の面でもD&I(多様性と包括性)の重要性が増していくと思います」

――今後の目標を。

「まず、現在の部署では、グループ一体での高耐食めっき製品の販売拡大や安定供給を通じて、カーボンニュートラルなどの課題解決に貢献していきたいです。さらに先の目標としては、君津や建材薄板室での、製鉄所や会社の統合により日々大きく変化する環境の中で多様な人と業務を進めてきた経験を生かして、輸出営業や海外勤務にも挑戦したいと考えています。海外での仕事を通じて、より多様な文化や商習慣に触れ、仕事の進め方の違いを知り、より視野を広げて学んでいきたいです」(音成 泰文)



鉄鋼業界で活躍する女性をはじめとした多様な人材、未来を担う人材を、随時紹介していきます。

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