女性の現業職が少しずつ増加している。JFEエンジリアリング津製作所(所在地=津市)では、製造部製造プロセス室鉄構工場中組グループの荻しずくさんが2019年に入社し、鋼の溶接を日々行っている。入社のきっかけや現在の業務、今後の目標などについて聞いた。
――入社前は。
「三重県桑名市出身で、小さい頃から図画工作など、何かを作ることが好きでした。ものづくりを仕事にできればと思い、桑名工業高校の機械科に進学。機械研究部に所属し、部活動で自作のゴーカートのようなものを作った際に溶接を初めて経験しました。普段体験することがない作業に楽しさを覚えましたね。きれいにできた際には周囲に褒められ、うれしさも感じました。顧問の先生から、JFEエンジニアリングに溶接の仕事があると教えてもらったのがきっかけで志望しました」
――19年に入社。
「最初は鉄構工場内で大きな部材を組立溶接する『大組1グループ』に所属し、23年以降はその前工程でより小さな部材を組立溶接する『中組グループ』で日々溶接を行っています。入社前は、職人気質でコワモテの人が多いのかなと思っていましたが、ふたを開けてみれば、意外と皆さんフレンドリーで、悩みを親身に聞いてくださる先輩も。女性があまりいなかったのでお互い探り探りの部分はありましたが、優しい人が多くて良い意味で予想と違いました」
――担当業務を。
「高速道路などの橋梁やケーソンほか沿岸構造物などに使用されるさまざまな部材の溶接を行っています。津製作所ではこういった社会インフラに関連するものづくりを行っており、全国に出荷、建設され人々の暮らしに役立てられています」
――やりがいは。
「溶接の仕事は面白いし楽しいです。部材の溶接検査で合格した際は、特にうれしく感じますね。合格基準が厳しいので不合格になることもあるのですが、その時はしんどい、悔しいなと思います。『まだまだだな、次こそは1回で合格!』と奮起しますね」
――ギャップを。
「工場で作業する際に大変なのは、思っていたよりも力仕事が多かったこと。溶接ワイヤのリールを持って作業場に行かないといけない場面があるのですが、15キロくらいあり、抱えることで精いっぱいになります。今はもう慣れましたけど、重いものは重い。これに尽きます」
――家族の反応は。
「姉2人は全然違う仕事をしているんですが、父が工場で部品を作る仕事をしていて、祖父も工場経営者ということもあって、やっていることは異なりますが受け入れられていますね。一度、津製作所で毎年開催されている秋祭りに母が来てくれたことがあって。仕事に関わるものを見てもらったら、『全然分からないけど、すごいなぁ。暑いと思うけど頑張ってね』と笑顔で感想をもらい、達成感を得ました」