2026年2月24日
丸藤シートパイル創業100周年/羽生成夫社長/工事部門伸び 受注好調/千葉工場リニューアル、自動化加速
丸藤シートパイルは3月1日に創業100周年を迎える。1926年に関東大震災の復興で使用された鋼矢板を再利用する加修整備技術を確立、「丸藤商店」としてスタートした。2030年中長期ビジョンに即して"コア事業の基盤強化と次の100年の創造"を掲げ、企業価値の向上へ収益力強化を柱とした構造改革が前進する。羽生成夫社長は「伝統に安住することなく、新たな価値を創造する、止まらない挑戦を貫きたい」と工事・加工部門の強化や高付加価値化を推進する。同社長に今後のかじ取りを聞いた。
――創業100年を迎える3月1日には記念式典が開かれます。
「一つの節目と思う。歴史ある日を迎え、長年にわたりご支援いただいた顧客、取引先、丸藤シートパイルグループ社員に感謝申し上げたい。100年で大きく環境は変わり、当社も変化してきた。次の100年はもっと早く変化していくだろう」
「当社では2030年へ向けた中長期ビジョンとして"コア事業の基盤強化と次の100年の創造"を掲げ、持続的な企業価値の向上を図っていく。100年の伝統に安住することなく、新たな価値を創造する、止まらない挑戦を貫きたい」
――羽生社長のご入社時と丸藤シートパイルの印象は変わりましたか。
「変わっている点というよりも、変わっていない点を挙げると『真面目さ』だと思う。91年1月の入社時はバブル崩壊も、まだ建設業は旺盛で、毎日真面目に現場に寄り添いながらコツコツ仕事をこなす人が多かった。今も若い社員は一生懸命に真面目に真摯に現場対応している。こうした風土が引き継がれ、真面目な人が多いと感じる」
――丸藤シートパイルの現状について。
「中長期ビジョンに即した取り組みで、企業基盤に磨きをかけることを継続、工事・加工部門の拡大に注力してきた。この取り組みで工事部門はうまく推移している。創業以来、当社の売上高構成では従来は販売の占める割合がトップだったが、現在は工事の占める割合がトップとなり、構造改革が進んだ」
――課題は。
「工事に比べ、加工が伸び切らなかったため、加工部門で整備能力、生産性向上に力を入れる。外注委託先の開拓も継続。現場の様々な加工ニーズに対応できる体制づくりを加速する」
――本年度の通期連決業績予想を上方修正しました。
「連結で売上高366億円、経常益21億円の予想を、売上高400億円、経常益24億円に上方修正した。工事の伸びが要因で、打込・引抜工事のSMW(三点式杭打機)工法、日本初のバイブロを併用した伸縮型油圧可変式超高周波バイブロ杭打機のRG工法、地中障害撤去工事の受注が順調だったほか、高付加価値工事として、鋼管杭と硬質・地中障害物貫通工法を合わせたジャイロプレス工法、全地盤対応堀削機によるARハンマ工法、鋼管杭などの受注を伸ばしており、計画より前進できた」
――中期経営計画の進捗は。
「現中計(24ー26年度)目標の売上高400億円、経常益20億円は1年前倒しで達成できる見通しだ。工場設備、基幹システムの更新など大規模投資があるものの、工事売り上げ、賃貸もプラスとなり、収益を上げられた。今後は中長期ビジョンを踏まえ、どう計画を進めるか検討中だ」
「企業価値向上へ向け、中長期的視点で当社のサービスが持続的に社会発展に貢献でき、顧客に頼りにされ『丸藤との仕事を続けたい』と言ってもらえ、社員がやりがいと向上心を持ってやっていける会社としたい。このため4月には抜本的に人事制度を見直す。合わせて100周年の一環で、現在は離れている本社と東京支店を統合して、来年3月野村不動産日本橋本町ビル(仮)に移転する。継続して工場の省力化投資を実行し、新基幹システムも来年4月には稼働する予定だ」
――基幹システム更新について。
「現行システムは導入から約10年が経ち、これまで当たり前と思いこんでいた非効率事務など業務プロセス自体を見直し、徹底したペーパレス化と社員の働き方に配慮した時代に合わせたシステムに刷新する。具体的には、見積もり、受注、出庫、請求など商流全体を通じた情報の一元化とそれによる迅速な経営判断を可能とする仕組みを開発中だ。」
――人手不足などの問題もあります。
「工場では毎年、数人ずつ減っている。これを見ていると5年後、10年後に継続できるか不安になる。当社ではシートパイルについて順次、表面の泥、汚れを取り除く自動ケレン機の導入を進める。茨城工場では3年かけて開発した、自動洗浄後、自動塗装し、洗浄から塗装、乾燥、集積まで一連の工程を完全自動化した覆工板自動整備ラインを、昨年12月導入した。順調に稼働しており、工場の生産性向上と収益アップにつなげる。4月から千葉工場のリニューアルを本格的に始める。事務部門でも業務効率向上のため、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)等のデジタル技術を活用し、定型業務の自動化、省力化を進めている」
――千葉工場のリニューアルについて。
「老朽化している製造設備の刷新、機械化・自動化の加速による生産性向上、社員・協力会社の作業員の働き方にも配慮した作業環境の改善のため、4期に分けて、本格的なリニューアルを検討している。資材の作業ヤードも新たに確保した」
――協力会社を含めたサプライチェーンの維持強化も重要です。
「当社の『成長』は現業部隊の工事、工場、運送の協力業者があってこそ成し遂げられる。協力業者の発展がなければ、サプライチェーンは成り立たない。協力会社の安定的な発展は当社の企業成長の礎とも言え、共存共栄の形をとっていきたい。このため年1回、協力業者とディスカッションし、どう取り組んでいくか意見を聞きながら変革を進めている」
――収益構造の変革も奏功し始めました。
「当社は土木メインで通常は上期に動きがないのだが、稼働率が高く、賃貸事業が収益貢献した。工事も伸び、価格転嫁も進んだ。今後も販売に頼らず、アセットビジネスを梃子に工事、加工に注力、収益力にさらに磨きをかけたい。株価純資産倍率(PBR)はまだ1倍割れであり、将来の成長を加速化するための設備投資、それによる資産効率の改善を図り、主力となりつつある高付加価値工事などトン数より収益性を優先した運営をしていく。山留に加え、当社の新技術・商品を提案するなど新しい事例を内外に紹介し、先駆的な取り組みを心がけ、将来につなげたい」
――改革も実践することに。
「4月には新たな人事制度を導入する。社員自らがキャリアコースを選択でき、自己の能力を最大限発揮してもらい、個々の社員の仕事の成果をこれまで以上にきちんと反映することで、社員のキャリア形成に向き合っていく。社員のライフイベントや働き方にも柔軟に対応すべく、従来のキャリア職だけでなく、本人の希望でエリア勤務やスペシャリスト職を選択でき、途中でのコース切り替えも可能とした。複数のキャリアパスを設け、フレキシブルに対応、モチベーションを高める。時代に合った制度にしていく」
――人材確保は。
「重仮設の認知度を高めるため、昨年から大学の学食トレイに当社の公告を掲載している。全国10数校で理系を中心に広告掲載中だ。ユーチューブ、TVerでCMも流し、都営地下鉄では1年間、吊革に広告を載せている。シートパイルを消しゴムにしたノベルティも配布。学生とその親を対象にPRを継続する」
――100周年では『留めた100年、支える100年、止まらない挑戦』をキャッチフレーズとしました。
「社員一人一人が誇りをもって、時代を切り開く担い手となる企業文化がないと成長はないと思う。社会、顧客、取引先、社員とその家族と次の100年を創っていきたい」
「100周年のキャッチフレーズとロゴは社員が考案した。若手社員がプロジェクト、委員会に自ら手を挙げて参加する風潮が出てきた。今までは会社が決めたことをやっていた感じだったが、最近は社員が一緒になって会社をつくっていきたいという思いが芽生えきた。100周年の記念事業、本社移転プロジェクトも若手社員を入れたワーキンググループにて議論。詳細は全てワーキンググループの決定に委ねている。100周年記念ノベルティの配布・デザインも社員の発案だ。自ら手を挙げ、新しいことに挑戦している。与えられたことではなく、自分たちで考えて行動し、『動いたら変わる』という意識が定着してきた。社員には感謝するとともに、こうした風土を継続して作っていきたい」
「これまでビジネスカジュアル導入なども幅広い世代の社員の意見を汲み上げるなどして検討してきた。100周年を契機に『自分たちで良くして、会社をつくっていこう』という風土ができてきた。プロジェクト、委員会を通じて違う地域の社員との交流が生まれ、仲間意識が高まる相乗効果もある。若手が経験することが、型にはまらず、将来の時代に合った流れをつくることに生かされると思う。年配者から若手と全社的に変えていこうとする意気込みが根付いてきた」
――次の100年へ向けた展望を。
「重仮設の供給を続け、陰ながら生活基盤を支えてきた。地震、津波、台風と自然災害ではいち早く対応、復旧工事に貢献している。東日本大震災で当社は仙台工場が被災し、この時も復興を最優先に必要な資材を供給した。当社の経営理念に"社会貢献"があり、これに基づいて災害時の資材供給は責務だ。こうした理念を継続するとともに、次代へ向け100年の伝統に安住せず、新たな価値創造を続け、止まらない挑戦を貫く。そのため環境に配慮し、技術革新を継続、多様性を尊重、求められる責務を果たして、社会から選ばれる企業を目指したい」
――創業100年を迎える3月1日には記念式典が開かれます。
「一つの節目と思う。歴史ある日を迎え、長年にわたりご支援いただいた顧客、取引先、丸藤シートパイルグループ社員に感謝申し上げたい。100年で大きく環境は変わり、当社も変化してきた。次の100年はもっと早く変化していくだろう」
「当社では2030年へ向けた中長期ビジョンとして"コア事業の基盤強化と次の100年の創造"を掲げ、持続的な企業価値の向上を図っていく。100年の伝統に安住することなく、新たな価値を創造する、止まらない挑戦を貫きたい」
――羽生社長のご入社時と丸藤シートパイルの印象は変わりましたか。
「変わっている点というよりも、変わっていない点を挙げると『真面目さ』だと思う。91年1月の入社時はバブル崩壊も、まだ建設業は旺盛で、毎日真面目に現場に寄り添いながらコツコツ仕事をこなす人が多かった。今も若い社員は一生懸命に真面目に真摯に現場対応している。こうした風土が引き継がれ、真面目な人が多いと感じる」
――丸藤シートパイルの現状について。
「中長期ビジョンに即した取り組みで、企業基盤に磨きをかけることを継続、工事・加工部門の拡大に注力してきた。この取り組みで工事部門はうまく推移している。創業以来、当社の売上高構成では従来は販売の占める割合がトップだったが、現在は工事の占める割合がトップとなり、構造改革が進んだ」
――課題は。
「工事に比べ、加工が伸び切らなかったため、加工部門で整備能力、生産性向上に力を入れる。外注委託先の開拓も継続。現場の様々な加工ニーズに対応できる体制づくりを加速する」
――本年度の通期連決業績予想を上方修正しました。「連結で売上高366億円、経常益21億円の予想を、売上高400億円、経常益24億円に上方修正した。工事の伸びが要因で、打込・引抜工事のSMW(三点式杭打機)工法、日本初のバイブロを併用した伸縮型油圧可変式超高周波バイブロ杭打機のRG工法、地中障害撤去工事の受注が順調だったほか、高付加価値工事として、鋼管杭と硬質・地中障害物貫通工法を合わせたジャイロプレス工法、全地盤対応堀削機によるARハンマ工法、鋼管杭などの受注を伸ばしており、計画より前進できた」
――中期経営計画の進捗は。
「現中計(24ー26年度)目標の売上高400億円、経常益20億円は1年前倒しで達成できる見通しだ。工場設備、基幹システムの更新など大規模投資があるものの、工事売り上げ、賃貸もプラスとなり、収益を上げられた。今後は中長期ビジョンを踏まえ、どう計画を進めるか検討中だ」
「企業価値向上へ向け、中長期的視点で当社のサービスが持続的に社会発展に貢献でき、顧客に頼りにされ『丸藤との仕事を続けたい』と言ってもらえ、社員がやりがいと向上心を持ってやっていける会社としたい。このため4月には抜本的に人事制度を見直す。合わせて100周年の一環で、現在は離れている本社と東京支店を統合して、来年3月野村不動産日本橋本町ビル(仮)に移転する。継続して工場の省力化投資を実行し、新基幹システムも来年4月には稼働する予定だ」
――基幹システム更新について。
「現行システムは導入から約10年が経ち、これまで当たり前と思いこんでいた非効率事務など業務プロセス自体を見直し、徹底したペーパレス化と社員の働き方に配慮した時代に合わせたシステムに刷新する。具体的には、見積もり、受注、出庫、請求など商流全体を通じた情報の一元化とそれによる迅速な経営判断を可能とする仕組みを開発中だ。」
――人手不足などの問題もあります。
「工場では毎年、数人ずつ減っている。これを見ていると5年後、10年後に継続できるか不安になる。当社ではシートパイルについて順次、表面の泥、汚れを取り除く自動ケレン機の導入を進める。茨城工場では3年かけて開発した、自動洗浄後、自動塗装し、洗浄から塗装、乾燥、集積まで一連の工程を完全自動化した覆工板自動整備ラインを、昨年12月導入した。順調に稼働しており、工場の生産性向上と収益アップにつなげる。4月から千葉工場のリニューアルを本格的に始める。事務部門でも業務効率向上のため、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)等のデジタル技術を活用し、定型業務の自動化、省力化を進めている」
――千葉工場のリニューアルについて。
「老朽化している製造設備の刷新、機械化・自動化の加速による生産性向上、社員・協力会社の作業員の働き方にも配慮した作業環境の改善のため、4期に分けて、本格的なリニューアルを検討している。資材の作業ヤードも新たに確保した」
――協力会社を含めたサプライチェーンの維持強化も重要です。
「当社の『成長』は現業部隊の工事、工場、運送の協力業者があってこそ成し遂げられる。協力業者の発展がなければ、サプライチェーンは成り立たない。協力会社の安定的な発展は当社の企業成長の礎とも言え、共存共栄の形をとっていきたい。このため年1回、協力業者とディスカッションし、どう取り組んでいくか意見を聞きながら変革を進めている」
――収益構造の変革も奏功し始めました。
「当社は土木メインで通常は上期に動きがないのだが、稼働率が高く、賃貸事業が収益貢献した。工事も伸び、価格転嫁も進んだ。今後も販売に頼らず、アセットビジネスを梃子に工事、加工に注力、収益力にさらに磨きをかけたい。株価純資産倍率(PBR)はまだ1倍割れであり、将来の成長を加速化するための設備投資、それによる資産効率の改善を図り、主力となりつつある高付加価値工事などトン数より収益性を優先した運営をしていく。山留に加え、当社の新技術・商品を提案するなど新しい事例を内外に紹介し、先駆的な取り組みを心がけ、将来につなげたい」
――改革も実践することに。「4月には新たな人事制度を導入する。社員自らがキャリアコースを選択でき、自己の能力を最大限発揮してもらい、個々の社員の仕事の成果をこれまで以上にきちんと反映することで、社員のキャリア形成に向き合っていく。社員のライフイベントや働き方にも柔軟に対応すべく、従来のキャリア職だけでなく、本人の希望でエリア勤務やスペシャリスト職を選択でき、途中でのコース切り替えも可能とした。複数のキャリアパスを設け、フレキシブルに対応、モチベーションを高める。時代に合った制度にしていく」
――人材確保は。
「重仮設の認知度を高めるため、昨年から大学の学食トレイに当社の公告を掲載している。全国10数校で理系を中心に広告掲載中だ。ユーチューブ、TVerでCMも流し、都営地下鉄では1年間、吊革に広告を載せている。シートパイルを消しゴムにしたノベルティも配布。学生とその親を対象にPRを継続する」
――100周年では『留めた100年、支える100年、止まらない挑戦』をキャッチフレーズとしました。
「社員一人一人が誇りをもって、時代を切り開く担い手となる企業文化がないと成長はないと思う。社会、顧客、取引先、社員とその家族と次の100年を創っていきたい」
「100周年のキャッチフレーズとロゴは社員が考案した。若手社員がプロジェクト、委員会に自ら手を挙げて参加する風潮が出てきた。今までは会社が決めたことをやっていた感じだったが、最近は社員が一緒になって会社をつくっていきたいという思いが芽生えきた。100周年の記念事業、本社移転プロジェクトも若手社員を入れたワーキンググループにて議論。詳細は全てワーキンググループの決定に委ねている。100周年記念ノベルティの配布・デザインも社員の発案だ。自ら手を挙げ、新しいことに挑戦している。与えられたことではなく、自分たちで考えて行動し、『動いたら変わる』という意識が定着してきた。社員には感謝するとともに、こうした風土を継続して作っていきたい」
「これまでビジネスカジュアル導入なども幅広い世代の社員の意見を汲み上げるなどして検討してきた。100周年を契機に『自分たちで良くして、会社をつくっていこう』という風土ができてきた。プロジェクト、委員会を通じて違う地域の社員との交流が生まれ、仲間意識が高まる相乗効果もある。若手が経験することが、型にはまらず、将来の時代に合った流れをつくることに生かされると思う。年配者から若手と全社的に変えていこうとする意気込みが根付いてきた」
――次の100年へ向けた展望を。
「重仮設の供給を続け、陰ながら生活基盤を支えてきた。地震、津波、台風と自然災害ではいち早く対応、復旧工事に貢献している。東日本大震災で当社は仙台工場が被災し、この時も復興を最優先に必要な資材を供給した。当社の経営理念に"社会貢献"があり、これに基づいて災害時の資材供給は責務だ。こうした理念を継続するとともに、次代へ向け100年の伝統に安住せず、新たな価値創造を続け、止まらない挑戦を貫く。そのため環境に配慮し、技術革新を継続、多様性を尊重、求められる責務を果たして、社会から選ばれる企業を目指したい」














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