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金属リサイクル―融合する東アジア市場

<非鉄スクラップ編>

日刊産業新聞 2003/4/14

 ガス抜き弁でなく、一つの事業分野――。国内非鉄スクラップ業界では、輸出に対してこうした意識が高まっている。02年、代表品種である銅は細径の廃被覆電線など低グレードものを中心に20万トンを突破し円換算で125億円規模に達した。銅分が仮に50%、いやそれ以下だとしても、この水準は中堅の国内銅製錬メーカーが造る電気銅の量に、金額ベースでは最大手の非鉄専業問屋の年商に匹敵する。取引指標である産銅建値が戦後最安値圏であるトン当たり20万円台前半で低迷を続け、選別加工コストとの見合いで、品種によって輸出に回した方が事業性が高いという判断が働く。そして、受け皿として機能しているのが中国。東アジア市場融合の主役だ。

 ▼輸出量の変遷

 別掲グラフは、この10年間の銅スクラップ輸出量推移。93年に2万トン弱だった水準は24万トン弱へ12倍と膨張。銅に次いでアルミでも伸び率が高く、亜鉛がこれに続く。

 以前は、非鉄スクラップの輸出と言えば、鉛の韓国向け、銅でも台湾向けが主流だったが、80年代後半から中国向け輸出が本格着手された。92年には香港向けも含めて1万トン台(総量約2万5000トン)に乗り、97―98年にかけて5万トン台(同7万―8万トン)、00年に10万トン、01年に15万トン、02年に20万トンと節目を足早に通り過ぎてきた。

 総量を示す別掲グラフ数値との比較で分かるのは、銅については年々、対中国集中度が高まっている点だ。

 なお、アルミや亜鉛でも同様の傾向にあり、ここ15―20年間の伸び率は著しい。日本の通関分類では、鉄に属する中国向けミックスメタルも非鉄回収が目的で、実は、中国は、日本の鉄と非鉄の境界をも溶かしている。

 ▼国内市況への影響

 鉄スクラップと異なり、国内の非鉄スクラップ輸出市場には団体が存在しない。非鉄、鉄、産廃関係業者が個別に輸出し、市況の指標となるのは産銅建値、あるいはそこから派生する製錬メーカーによる冷材用故銅購入価格や有力伸銅メーカーの購入価格。そこからおよその銅分を換算してレス幅を決めていくのが通例。

 ただ、実際には、時々の売買ポジションによる相対取引で決まるケースが多く、ここ数年間は、常にひっ迫感があって取り合い状態になっており、銅分には完全スライドせず、割高な水準が定着している。

 集荷競争は現在も過熱する一方で、製錬向け冷材や銅ナゲット母材の流出という事態を引き起こし、一部には炉前材も出始めた。

 競争の激化は国内市況を採算とは別に割高水準に押しとどめる作用をもたらしている。

 ▼今後のアジア市場

 中国は、世界最大級の銅・亜鉛消費(生産)国として台頭しているが、自給率は鉱石事情や生産効率の悪さから下がっている。

 この分、さらにスクラップに頼ることになり、東アジア圏での吸引力が強まるのは必至だ。政府も環境規制と並行、資源政策の一環として促進する動きを見せ、韓国など日本以外が中国向け輸出の有望性を注目している。

 地金価格は近年、中国国内の方が国際市況よりも高い。スクラップも同じで、中国が購買力を高めていけば、その価格差分だけ良質なものも買えるリクツが成り立つ。

 日本の非鉄スクラップ市場では、輸出が常態化しても国内向けと住み分けてきたと、とらえられてきた。だが、その壁が崩れる日が近づいているかもしれない。メーカーが生産と販売でグローバル展開するのと数歩遅れて、スクラップでも融合が進む。非鉄スクラップ業界にとどまらない、メーカーの原料対策にも影響することは言うまでもない。