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2004年鉄鋼業界10大ニュース

日刊産業新聞 2004/12/22

(1) 鋼材需給ひっ迫
(2) 中国の成長止まらず
(3) 原料需給ひっ迫
(4) 世界粗鋼初の10億トンへ
(5) 鋼材価格が大幅に上昇
(6) 鉄鋼メーカー、商社が過去最高益
(7) 高炉が能力増強に転換
(8) 高炉計画相次ぐ
(9) 高炉原料投資拡大
(10) メキシコ、比とFTA

(1)鋼材需給ひっ迫

日本の高炉メーカーは、フル操業でも需要家の増量要請に応えられない状況。鋼材不足で自動車組み立てラインが一時休止へ。自動車メーカーが海外鉄鋼メーカーに緊急出荷を要請する事態に発展。

(2)中国の成長止まらず

中国政府の投資抑制で伸びは一時鈍化したが、年央から急回復。04年粗鋼生産は2億6000万―2億7000万トンとなる見込み。鉄鉱石の輸入は2億トンに増え、原料炭輸入量も増大するなど、世界の原料需給に大きな影響を与えた。

(3) 原料需給ひっ迫

  中国の需要増を背景に、原燃料海上輸送価格は軒並み過去最高水準に。04年度原燃料輸送費のアップ分は7000億円を超える。原料炭が2倍超に値上がりするなど、05年度の原料高は前年度を上回るとみられる。

(4) 世界粗鋼初の10億トンへ

  IISIは、世界粗鋼が10億トンに達すると発表した。中国の生産増を主要因に、04年の世界粗鋼生産は前年の9億6000万トンから、初の10億トン台乗せが確実。

(5) 鋼材価格が大幅に上昇

  需給のひっ迫で店売り、輸出価格が先行して大幅に上昇。自動車、造船メーカー向けで異例の期中値上げを実現するなど、遅れていた大口需要家向け価格の改善も進んだ。

(6) 鉄鋼メーカー、商社が過去最高益

  値上げをテコに、日本の高炉メーカーが過去最高益を更新へ。高炉5社の経常利益は1兆円に達する見込み。電炉も収益改善が進み、東京製鉄は過去最高益を更新。資源投資収益などで大手商社の金属部門も、過去最高益を更新する。

(7) 高炉が能力増強に転換

  新日鉄は君津と名古屋で亜鉛めっきライン(CGL)を増強、住金が鹿島新1号炉建設、CGLを新設する。各社ボトルネックの解消を急いでいる。JFEは福山5高炉改修へ、また中国広州で高炉一貫製鉄の事業化調査を進めるなど、能力拡大志向が鮮明に。

(8) 高炉計画相次ぐ

  上海宝鋼、アルセロール、POSCO、ティッセンクルップは伯CVRDと合弁で計3件の一貫スラブ工場を計画。POSCOはインドでも一貫製鉄所計画を。台湾CSCは新高炉を建設する。タイや韓国でも新たな高炉建設構想が浮上、中国以外でも能力拡張機運は高まる。

(9) 高炉原料投資拡大

  新日鉄、JFE、住金が鉄鉱山、原料炭の権益を取得するなど、相次いで資源投資に乗り出した。コークス炉の増設や原料輸送船の整備を進め、優良な原料の長期安定確保、調達コスト削減を図る。

(10) メキシコ、比とFTA

  日墨、日比の自由貿易協定(FTA)が締結された。鉄鋼製品の関税撤廃など貿易の拡大につながる。