トップ > 記事特集

拡大続く太陽電池市場/<上>

非鉄関連に新たな需要/環境立国へ政府戦略

日刊産業新聞 2009年01月15日
 金融危機に端を発した世界同時不況が尾を引きそうな本年。自動車、家電、建材などの市場は後退を余儀なくされ、非鉄業界にも暗雲が垂れ込めている。そうした中で唯一成長が続きそうなのが太陽電池の市場である。

そもそも太陽電池は、昨年中に高騰した原油の代替エネルギーとして採用が検討されてきた。金融危機以来その原油価格は下がったが、温室効果ガスの排出抑制は人類にとっても避けては通れない問題だ。今後の日本景気の回復と新たな成長のカギには、間違いなくこの「環境」というキーワードがある。太陽電池に関係する素材といえば、モジュールの主原料である高純度シリコンのほか、化合物系太陽電池に使うレアメタル、製造装置ではアルミ厚板、内部配線ユニットには民生用電線など、非鉄関連で幅広い需要が見込まれている。最有望株の太陽電池市場の現状と今年の市場予想を占ってみよう。  

政府の太陽電池戦略

 special_1582007年6月に定められた「福田ビジョン」では、30年までに原油4000万キロリットル相当の新エネルギー導入目標を掲げた。風力発電、廃棄物発電、バイオマス発電などがあるが、そのうち太陽光発電(太陽電池)が担う割合は50%以上を占め、新エネルギー目標の中核に据えられた。現状の発電量の40倍をめざすことになる。

 普及に必要なのが発電コストの引き下げだ。現在の発電コストは1キロワット当たり46―47円で、一般家庭向けの電気料金の約2倍。策定されたロードマップでは、10年までに薄膜型太陽電池が市場に本格投入され、その後に蓄電池付きのシステム開発が進み、20年には14円をめざす。その後も超薄型化や高性能化、新材料の登場などにより、半分の1キロワット7円程度に引き下げていく目標だ。太陽電池は環境立国の名を賭けた、日本の国家プロジェクトなのである。  

世界市場と日本勢

 太陽電池の世界総需要は、金融危機に端を発した実体経済の悪化が多少響くとみられるが、年率30―40%の高度成長を当面維持する見通しだ。市場は欧州のドイツを中心に、スペインやイタリアなど南欧にも広がっており、今後は北米やアジアにおける拡大も期待される。

 07年統計の世界の太陽電池発電量は原子力発電3基に相当する373万キロワット。地域別の生産量は、欧州が106・3万キロワット(28%)、日本が92万キロワット(25%)、米国が26・6万キロワット(7%)となっている。

 メーカー別のシェアはドイツのQセルズが、7年連続で世界首位だった日本のシャープを07年に抜いた。世界3位の中国のサンテック・パワーは数年前に設立されたベンチャー企業だが、猛烈な勢いで生産量を伸ばしている。台湾モーテックの増産も目覚ましい。日本勢のシェアは50%から25%まで落ちた。

 今年を境に、日本のメーカーを悩ませていた高純度シリコンの原材料不足は解消される見通し。シャープ、三洋電機、京セラなど大手3社は巻き返しとともに、最先端技術を集めた薄膜型や化合物系などの新機種を武器に、シェア回復をめざす。経済産業省もこのほど、世界戦略に向けた産官学連携の研究会を発足させており、電池、住宅、素材メーカーの関係者が参加して研究開発の方向性を探り、国際競争力を高めていく方針を示した。  

太陽電池の種類

 種類は大きく分けてシリコン系と化合物系の二つがある。シリコン系は単結晶と多結晶の結晶系、薄膜型のアモルファス系などがある。現在の市場の90%以上は多結晶シリコン系が占めている。

 シリコンの材料となる金属ケイ素は、地球上に酸素に次いで多い元素だが、製造には大量の水素と電力を使用する。太陽電池向けに需要が上向いた当初は需給がひっ迫し、国際価格(長期契約ベース)はキロ当たり20―30ドルから60―70ドルまで高騰。スポット価格は175―200ドル(07年末には投機筋が入って500ドル)に達した。スポットで買い集めた中国メーカーなどは、生産コストの70%以上をシリコンウエハー代が占めた。

 この不安定な供給と価格を背景に、省シリコン・薄膜化の研究開発が進んだ。現在のウエハーの最小膜厚は0・20ミリだが、現在の研究レベルでは0・07ミリまで成功し、将来は0・05ミリ以下が目標とされる。非結晶のアモルファスシリコン系は、現在の研究レベルでは発電効率が10%以下と低いが、低コストで省資源・省エネルギー型として期待されている。

 また、モジュールの仕様によっては薄膜化は高効率化を伴い、三洋電機はアモルファスと単結晶を組み合わせた「HIT太陽電池」において、研究レベルのセル交換効率では世界最高の22・3%、量産レベルでは19・7%を実現している。


・ 本連載記事の続きは日刊産業新聞をご覧下さい → 購読申し込み
・ 記事は、記事データベース検索サービス(有料)でも閲覧できます → 記事検索