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世界一めざし30年 ドバイアルミ

年産240万トンアジア拡販

日刊産業新聞 2010年11月08日

 ドバイアルミニウム(DUBAL)は創業30周年を迎え、新たなスタートを切った。また、同社が出資するエミレーツアルミニウム(EMAL)は昨年12月の操業から、間もなく1年を迎える。

 2013年、EMALのアルミ製錬能力は年産140万トンに拡大し、単一製錬所としては世界最大級となる。これにより、DUBALと合算し年240万トンの生産体制が構築される見通しだ。日本市場では、販売代理店である伊藤忠商事が今後も拡販を図る。

 09年、DUBALは年間販売量が創業以来初となる100万トンの大台に達した。自社製錬したアルミ新地金に付加価値を付けて販売する事業戦略で、建設や輸送機器向けの押出用ビレットや、自動車向けを中心とする鋳物用合金、電解用コンデンサーや航空機向けの高純度アルミ地金が主力製品だ。

 79年に操業開始した同社の歴史は、「アジア諸国への販売とともに始まった」(ムハンマド・カンバール・アジア地域マーケティング・営業本部長)。売り上げの地域別内訳(09年実績)は、アジア地域が38%と最も高く、2位の欧州地域28%を大きく上回る。

 そのアジア市場の中で、最も販売量が多いのが日本向けで、今年の販売量は前年実績の10万トンから13万―16万トンに増加する見込み。伊藤忠商事は引き続き日本市場の開拓を進め、13年には販売量を25万―30万トンに大幅に引き上げる計画だ。

   EMALはDUBALと政府系投資会社、ムバダラが折半出資し07年に設立された。DUBALが開発した最新の製錬技術「DXシステム」を全製錬所に導入し、高品質のアルミ新地金を生産する。今年の生産量は28万トンになる見込みで、年末までに年産75万トンのフル操業をめざす。13年には第2期拡張工事が完了し、同140万トン体制が整備される。

 EMALは今春から、日本の圧延メーカーや押出メーカーに対し、スポットベースでの販売を開始。約2カ月間のトライアルを経て、7―9月期から四半期ベースの供給に移行した。日本国内に加え、タイやインドネシア、フィリピンなどの東南アジア諸国やインドで稼働する日系メーカーの工場へ出荷している。品質に対する評価は一様に高く、来年以降は引き合いが一層強まることが確実視される。

 伊藤忠商事は今年、日本の需要家向けにEMALのアルミ新地金を4万トン販売する計画だ。非鉄・金属原料部の野中英二・軽金属原料課長は「来年はアルミ新地金に加え、ビレットや高純度アルミ地金などを含め、目標販売量を8万トンに設定し、13年には15万トンに増やしたい」意向を示す。

 国際市場において揺るぎない地位を確立したDUBAL。同社が長年にわたり培ったノウハウが凝縮され設立されたEMAL。両社は今後、高品質と安定供給力、世界に広がる販売ネットワークなどを強みに、マーケットシェアを大きく伸ばし、その存在感をさらに高めていく。

ドバイアルミ


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