2013年2月28日

東北大学、配線用銅ペーストを開発 太陽電池向け15年量産

 東北大学は、太陽電池の配線用銅ペーストの実用化技術を開発した。現在使われている銀ペーストと比べ、材料コストの2割以上低減を期待できる。来年度に銅ペーストの製造会社を立ち上げ、実用化サイズでの実証試験や量産技術の開発を行い、2015年の販売開始を目指す。

新製品・新技術 太陽電池の受光面の電極には、主に銀配線が使われる。市場では価格が安い銅へのシフト要求もあるが、銅はシリコンウエハー中に拡散したり、酸化して抵抗値が高まったりする課題があった。

 東北大学未来科学技術共同研究センターの小池淳一教授の研究室は、ウエハーと銅配線の間に拡散バリア層を形成し、酸化させずに銅ペーストを焼結する要素技術を確立した。

 5―10ナノメートルの拡散バリア層を形成することで、ウエハーへの銅の拡散を防ぐだけでなく、銅ペーストの密着性も高める。バリア材料は非結晶の酸化物で、現在特許を申請している。

 銅ペーストの焼結は通常、酸化を防ぐため窒素環境下で行わねばならず、樹脂などの不純物が残りやすい。同研究室は酸化と還元を同時に実施することで、銅の酸化を防ぎながら不純物も除去する独自プロセスを開発。焼結後の電気抵抗率は銀と同水準に抑えられることを確認した。

 太陽電池セルの材料コストで銀は4分の1から半分程度を占め、銅に置き換えればコストが2割以上下がる。欧州などでは銅配線シフトのロードマップも示されており、「こうしたニーズを取り込めれば、新規参入でもシェア拡大できる」(小池教授)とみている。









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