2013年10月24日

世紀の大合併から1年―新日鉄住金、世界最強を目指す― ―5― ■第1部 技術・研究開発戦略/相互技術の強み融合

顧客仕様対応力高める

中期経営計画では総合力世界ナンバーワン鉄鋼メーカーの早期実現に向けて、「技術先進性の発揮」がメーンテーマの1つに掲げられている。旧新日本製鉄、旧住友金属工業の製造技術力、商品技術力、研究開発力を融合することで、シナジーを発揮している。

【製銑技術】

この中で、製銑は低品位原料使用比率を高めることが大きなテーマである。旧新日鉄、旧住友金属ともに非微粘結炭の使用量を増やして、強粘結炭の使用量を減らす技術アプローチを続けてきた。原料コストを低減するため、コークス比を下げるとともに、微粉炭吹き込み量を増やす目標に挑戦。旧新日鉄では君津第2高炉の拡大改修工事に伴って微粉炭吹き込み能力を増強しており、ハード面の整備は完了していた。

統合後は低品位原料使用に関する技術、操業ノウハウを共有化。需要回復、円高修正等に伴い、足元、製鉄所の生産量が増加している状況下、高い出銑量を確保しながら、コークス比を下げ、微粉炭吹き込み量を増やす取り組みに注力。その結果、「旧新日鉄、旧住友金属ともに製鉄所の現有製銑設備能力をフルに発揮できる状態になりつつある」(製銑技術担当)という。

次世代コークス製造技術「SCOPE21」や、旧住友金属の微粉鉱石使用増加、焼結鉱製造時間短縮を実現する返鉱バイパス添加造粒法「RF―MEBIOS」の要素技術を横展開していく。関連設備の改造や新規投資などハード面の整備に関しては「次のステップ」(同)としており、操業ノウハウを実機に適用し、フル発揮するための投資を検討していく考えだ。その一方で、製鉄所における製銑部長の交流人事を早い段階から実施し、これを室長クラスにも広げており、操業に対する考え方、高炉の補修や管理方法などの知見を共有していく。

【製鋼技術】