2013年12月24日

鉄鋼新経営―新たな成長シナリオ― シリーズトップに聞く ■山陽特殊製鋼社長 武田 安夫氏 アジア捉え利益成長を 非鋼材セグメントも拡充

――4―9月期は、経常利益が前年同期比76%増の40億円を計上。通期見通しも上方修正した。

「昨年10―12月期は、新興国経済の減速や超円高の継続に伴う需要の停滞に加え、尖閣問題を契機として自動車分野を中心とする需要の減退と、これに伴う大規模な在庫調整発生で受注量が大幅に減少し、極めて厳しい状況だった。今期はそれらの状況からの回復が順調に進み、販売数量も増加。足元の操業率はフル生産に近い状況だった11年度比で、約90%強にまで戻っている」

「下期は、自動車向けの需要が上期から引き続き好調なことに加え、遅れている建設機械・産業機械向けの回復が期待される一方、タイやインド、欧州など海外需要が調整期に入っていることで、ほぼ上期並みの生産、販売レベルで推移すると予想する。ただ、電力料金やLNGなどの燃料費や原料スクラップ価格の高騰などによるコストアップが損益上、下期に影響してくることで、下期の経常利益は上期比で10億円減少し、通期では70億円を見込んでいる」

――原燃料価格の高騰は、電炉メーカーにとって企業存続にかかわる死活問題だが。

「震災後の原発停止を背景に、電気料金を値上げした電力会社では、燃料調整費の基準変更も同時に行っている。燃料調整費アップ分を合わせると、当社の年間コストは30億円程度増加となる。