2019年7月5日

Daigasグループ・大阪ガスリキッド 水素製造への取り組み 熱処理分野など実績多数 小容量タイプ販売開始

大阪ガス100%子会社の大阪ガスリキッドは、オンサイト水素製造装置「HYSERVE」(ハイサーブ)を開発、金属熱処理分野で多数の実績を持つ。水素への取り組みと「ハイサーブ」シリーズについて紹介する。

大阪ガスリキッドの親会社である大阪ガスでは、天然ガスによる都市ガス供給以前では、石炭や石油から都市ガス製造を行っており、その当時から触媒や石炭タール技術を蓄積・向上していた。1990年代初頭の天然ガス転換が完了して以降、これら社内技術の活用先の一つとして触媒技術を活用した水素製造プロセスの商品化に着手した。

工場用の水素製造装置だけでなく家庭用燃料電池用改質装置を開発、実用化してきた歴史がある。水素エネルギーの普及・実用化に向けた動きが加速する中で、コンパクトタイプのオンサイト水素製造装置「ハイサーブ」シリーズも開発した。

ハイサーブは、2004年、水素製造量30N立方メートル(ノルマル立方メートル)/hの「ハイサーブ―30」を初号機として納入したのを皮切りに「ハイサーブ―100」「ハイサーブ―300」と、スケールアップした機種を実用化してきた。

Daigasグループ全体では本年3月末累計で、「ハイサーブ30」で18台、「ハイサーブ100」で8台、「ハイサーブ300」で7台の納入実績がある。適用分野は熱処理が最も多く、次いで水素ステーション向け、電子部品その他となっている。

大阪ガスリキッドは今年4月、ハイサーブシリーズ4機種目となる新製品として、燃料(都市ガス・プロパンガス)改質型の水素製造装置としては初となる1時間当たり水素製造量5N立方メートルの小容量タイプ「ハイサーブ―5」を開発し、販売を開始した。

事業所などの小容量の水素ユーザーは従来、ボンベやカードルなどの容器で供給を受けているが、水素の製造・配送拠点から距離が遠くなる場合は、配送費が上昇する。また、容器内の水素を全量消費する前に容器の返却・交換が必要となるため、水素のコストが割高になる傾向がある。

「ハイサーブ5」は、ユーザーの拠点構内で需要に応じて、都市ガス・プロパンガスから効率よく高純度な水素(99・99%以上)を製造する供給方法となる。タッチパネルの簡単操作で、タイマーによる起動・停止が設定可能。

水素ローダーやカードルなどの受け入れ対応の必要がなく、作業効率が向上する。定期メンテナンスや遠隔監視、突発トラブル対応などのオプションを設定し、ユーザーでの設備保全管理の手間を省くことも可能。実際に使用する分だけ製造するため、有効に水素を利用できる。

装置ユニットサイズは、幅4300ミリ×奥行き1200ミリ×高さ2500ミリ(本体・圧縮機ユニット込み、排気管部分高さを除く)。水素供給圧力0・65MPa(メガパスカル)。上水量は都市ガスで毎時5リットル。装置内最高使用圧力は1MPa未満のため、高圧ガス保安法対象外機器。乾燥重量は約2500キログラム。

スポンサーリンク