2022年3月18日

鉄鋼業界で働く/女性駐在員編/インタビュー(5)/潤滑油のような役割に

【伊藤忠丸紅鉄鋼・嘉興JFE精密鋼管(JJP)勤務の李梅さん】

――まずは経歴を教えてください。

「中国の大学で金融貿易を学んだあと1年間、中国で貿易の仕事をしていました。その後、縁あって日本に来て大学院に入学、修士課程を修了して2006年4月に伊藤忠丸紅鉄鋼に入社しました。鋼管本部の鋼管貿易第一部ラインパイプ第一課に半年所属した後、グループ会社のケー・アンド・アイ特殊管販売で約7年半、特殊管の輸出業務に携わりました。14年7月に鋼管本部に戻り、鋼管貿易第二部油井管第二課で2年を過ごしました。16年8月から中国・上海の伊藤忠丸紅鉄鋼貿易(上海)で海外実務研修生として1年、17年8月からJFEスチール、JFE溶接鋼管、MISI、台湾の萱華工業との中国合弁会社である嘉興JFE精密鋼管(JJP)で1年それぞれ研修し、また鋼管本部に戻りました。そして20年4月から出向という形でJJPに所属しています」

――JJPではどんな役割を担っていますか。

「主に自動車用鋼管の営業担当をしています。中国のマーケットで新規開拓がメインです。本部長は日本人男性で、社内も女性より男性の方が多いですが、親切に接してもらっています」

「お客さまは自動車部品メーカーの購買部が主ですが、中国企業の応対者は女性が結構いらっしゃいます。女性同士の会話は弾みますね。個人的な感想ですが中国の鉄鋼メーカーでも女性比率は日本より高いと思いますし、男女比率も大きく離れていないと思います。女性にとっては働きやすい環境にあると思います」

――これまで印象深い仕事は。

「ケー・アンド・アイ特殊管販売が長かったので、最も思い出に残っています。発電用ボイラーや石油化学プラントの熱交換器や配管用の特殊管と言われるシームレス鋼管の輸出の営業が主な業務でしたが、ロットが小さくかつ案件も多いために、各営業担当の裁量に任せてもらえることが多く、頑張っただけの成果が出ました。営業範囲は中国全域、東南アジア、インドと広く担当させてもらっていました」

――日本と海外での働き方の違いは感じますか。

「日本にいる時は、自分が中国人であることを意識しながら接し、あまり中国色を出し過ぎないようにしていました。主張すべき時は主張しますが、周囲の雰囲気に合わせた方が良いと思ったときは合わせるようにしていました」

「当社は2015年に操業を開始した若い会社です。社風などはこれから作られていくと思います。現地スタッフの中で、駐在員との考え方や価値観の違いなどはあると思いますが、両方の立場を知る身として潤滑油のような役割を果たせれば良いかなと思います」

――李さんの仕事上の目標は。

「短期的な目標は今の会社で日々の営業活動を通じて安定的な収益源となる商権を作り上げていくことです。中長期的にはアジアを含めて、海外での鉄鋼事業の仕事に関わっていき常に利益を出せるようにしていきたいです。その傍らには常に夫がいてくれるというのが理想であり、おかげさまで本人もそのように考えてくれています」

――休日の過ごし方を教えてください。

「天気がいい日はテニス、バドミントンをやっています。テニスは日本人駐在員のサークルで、バドミントンは現地スタッフ達と楽しんでいます。また家ではピアノも弾いて夫に聞いてもらっています」(菅原 誠)

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