2025年2月5日
需要家トップに聞く/コベルコ建機 山本明社長/デジタル磨き顧客と接点/新車需要は期待薄、アフター注力
コベルコ建機は基幹システム、3DCADの更新を進め、デジタル対応を強化する。『デジタル推進統括部』を核に顧客情報の見える化など営業から開発、生産など幅広くデジタル化して効率化し、生産性、競争力を高める。併せてカーボンニュートラル(CN)対応をにらんで建機の電動化、遠隔操作の展開など差別化を図る。本年度スタートした新中期経営計画も踏まえ、山本明社長に新年の見通し、取り組みを聞いた。
――建機市場の動向と25年、25年度見通しについて。
「建機市場の大幅回復はないと見ている。日本はせいぜい横ばい程度で、大きく増える状況ではない。買い替え需要はあるものの、建機オペレーターなど建設の人手不足のほか、建設資材の高騰による買い控えなど、これらの問題が一気に解決することはない。人手不足に対してはiコンストラクションなどで生産性向上を進めているものの、25年に大きく進展するとは思えない」
「海外はどの市場も底を打ったという感触だが、欧州、米国とも依然、在庫過多が続いている。25年度第2四半期位から上昇するかと見ているが、第3四半期にズレるかもしれない。ただ徐々に回復してくると思う反面、米国次第で先は読めない。もっともコベルコ建機としては顧客から要求されるものを提供することに変わりはない」
※――新中計がスタートしました。24年度第2四半期業績は売上高1975億円(前年当期比2・5%増)、経常利益61億円(同22%増)で、通期では売上高3940億円(同2・5%減)、経常利益120億円(同31・9%増)の見通しです。
※「エンジン認証問題からの回復や価格転嫁で減収増益だが、建機需要が落ちており、正直しんどい。当社はマイニング向けが少なく、一般建機、リサイクル機などが主力だが、一般土木は世界的に良くない」
――今後の取り組みは。
「25年に本格回復が見込み難い中で施策を打っていくしかない。部品展開でアフターマーケットのストックビジネスに力を入れていく。建機の寿命が延び、新車販売は縮小していくとみているが、逆に建機を長く使用するため、アフターマーケットは伸びる。再生部品の種類を増やすなど、取り組みを加速、広げていく」
「このためには顧客との接点を増やす必要があり、デジタルを活用した取り組みを拡大する。昨年、『デジタル推進統括部』を発足、デジタルマーケティングの強化を進めている。ホームページやアプリについても、もっと見やすく、分かりやすいものへ改善していく。例えば会員制のサイトを作ったり、用語解説をしたりと、建機のことをもっとわかってもらえるように、当社グループの魅力がよりアピールできるようにしたい。デジタルを磨けばお客様との接点が増え、声がダイレクトに聞こえる。顧客との距離を縮めていきたい」
――デジタル対応では基幹システム、3DCADの更新も進めています。
「部品の管理を強化することで、設計や生産のしやすさへ繋げる。SCMソリューションベンダーのブルーヨンダー社製システムの全世界展開を始めた。まだ完成していないが各拠点から顧客情報まで入るようになる。情報が見える化され、稼働状況、リテール(小売)情報を把握できる。これらを独自目線で拡大していく」
※「インフラ、セキュリティーはグローバルITシステム部が担当、顧客に近い部分を新設した『デジタル推進統括部』が担う。建機の稼働状況、稼働機からの情報はアフターマーケットに活かす。予防保全、予知保全なども含め、マーケティングにデジタルを活用していく。マーケティングから予防保全まで、ひとつのアプリで追えるようにすることが理想だ」
――システム更新のスケジュールは。
「基幹システムはまず中心部分を26年度から稼働させる。そこから全世界への横展開を進めたい。基幹システムはできるだけ縮小し、周辺領域をアジャイル開発して、アプリに変えていく」
「3DCADも更新する。基幹システム、CADとも更新し、進化させる必要がある。データを共通化し、ERPと周辺領域のアプリをシームレスに繋ぎ、需要予測判断などをより迅速化し、マーケティングにつなげる。これらを生産のアクセル、ブレーキに伝えやすくする。引いては我々の強みは何かを常に考え、利益を加味し、工場稼働に必要な汎用品は何かなど機種の絞り込みも含め、対応判断を速く行えるようにしたい」
※「一方で、これらを使う人材も増やす。データから使う情報を加工できなければならず、デジタル人材育成のため、リスキリングを進めていく」
――CN対応で建機の電動化は。
「着々と進めている。1・7トン機種、7トン機種の電動建機の市場モニターを25年度中に行い、顧客からの評価を受ける。ただ、動力の電動化だけでは差別化できない。油圧制御も電子制御に切り替わる可能性があり、自動化、遠隔操作と合わせて市場投入に際して差別化を図りたい」
「水素燃料電池ショベルでは、試作機について本年、神鋼と連携した高砂製作所での稼働実証と評価を進めていく。コベルコグループでは、水素を「つくる」「はこぶ」「ためる」「つかう」技術を持っており、これらとうまく繋げながら、研究開発を加速させるとともに、GX建機の開発や普及に取り組む」
――解体機、林業機の対応は。
「解体機の国内シェアは高いが、海外ではまだまだだと思っている。ただ、海外市場については良く分かっていない部分も少なくない。ニーズを追求する必要もある。本年度スタートした現行中計では強化分野の一つとして挙げており、しっかりマーケティングしていく。ここでもデジタル化が進めば、もっと見える化してくると考えている。体制も変えていく。解体機、林業機、リサイクル機は片手間でできる分野ではなく、アフターサービスに力を入れる中で、ビジネスモデルを変えていきたい。ビジネスモデルの変革と合わせて、社員が、自分たちのブランドや商品価値をしっかり把握し、アピールできるよう、教育やインナーブランディングも進め、アウター・インナーともに高度化、複合化していく」
――建機市場の動向と25年、25年度見通しについて。
「建機市場の大幅回復はないと見ている。日本はせいぜい横ばい程度で、大きく増える状況ではない。買い替え需要はあるものの、建機オペレーターなど建設の人手不足のほか、建設資材の高騰による買い控えなど、これらの問題が一気に解決することはない。人手不足に対してはiコンストラクションなどで生産性向上を進めているものの、25年に大きく進展するとは思えない」
「海外はどの市場も底を打ったという感触だが、欧州、米国とも依然、在庫過多が続いている。25年度第2四半期位から上昇するかと見ているが、第3四半期にズレるかもしれない。ただ徐々に回復してくると思う反面、米国次第で先は読めない。もっともコベルコ建機としては顧客から要求されるものを提供することに変わりはない」
※――新中計がスタートしました。24年度第2四半期業績は売上高1975億円(前年当期比2・5%増)、経常利益61億円(同22%増)で、通期では売上高3940億円(同2・5%減)、経常利益120億円(同31・9%増)の見通しです。
※「エンジン認証問題からの回復や価格転嫁で減収増益だが、建機需要が落ちており、正直しんどい。当社はマイニング向けが少なく、一般建機、リサイクル機などが主力だが、一般土木は世界的に良くない」
――今後の取り組みは。
「25年に本格回復が見込み難い中で施策を打っていくしかない。部品展開でアフターマーケットのストックビジネスに力を入れていく。建機の寿命が延び、新車販売は縮小していくとみているが、逆に建機を長く使用するため、アフターマーケットは伸びる。再生部品の種類を増やすなど、取り組みを加速、広げていく」
「このためには顧客との接点を増やす必要があり、デジタルを活用した取り組みを拡大する。昨年、『デジタル推進統括部』を発足、デジタルマーケティングの強化を進めている。ホームページやアプリについても、もっと見やすく、分かりやすいものへ改善していく。例えば会員制のサイトを作ったり、用語解説をしたりと、建機のことをもっとわかってもらえるように、当社グループの魅力がよりアピールできるようにしたい。デジタルを磨けばお客様との接点が増え、声がダイレクトに聞こえる。顧客との距離を縮めていきたい」
――デジタル対応では基幹システム、3DCADの更新も進めています。
「部品の管理を強化することで、設計や生産のしやすさへ繋げる。SCMソリューションベンダーのブルーヨンダー社製システムの全世界展開を始めた。まだ完成していないが各拠点から顧客情報まで入るようになる。情報が見える化され、稼働状況、リテール(小売)情報を把握できる。これらを独自目線で拡大していく」
※「インフラ、セキュリティーはグローバルITシステム部が担当、顧客に近い部分を新設した『デジタル推進統括部』が担う。建機の稼働状況、稼働機からの情報はアフターマーケットに活かす。予防保全、予知保全なども含め、マーケティングにデジタルを活用していく。マーケティングから予防保全まで、ひとつのアプリで追えるようにすることが理想だ」
――システム更新のスケジュールは。
「基幹システムはまず中心部分を26年度から稼働させる。そこから全世界への横展開を進めたい。基幹システムはできるだけ縮小し、周辺領域をアジャイル開発して、アプリに変えていく」
「3DCADも更新する。基幹システム、CADとも更新し、進化させる必要がある。データを共通化し、ERPと周辺領域のアプリをシームレスに繋ぎ、需要予測判断などをより迅速化し、マーケティングにつなげる。これらを生産のアクセル、ブレーキに伝えやすくする。引いては我々の強みは何かを常に考え、利益を加味し、工場稼働に必要な汎用品は何かなど機種の絞り込みも含め、対応判断を速く行えるようにしたい」
※「一方で、これらを使う人材も増やす。データから使う情報を加工できなければならず、デジタル人材育成のため、リスキリングを進めていく」
――CN対応で建機の電動化は。
「着々と進めている。1・7トン機種、7トン機種の電動建機の市場モニターを25年度中に行い、顧客からの評価を受ける。ただ、動力の電動化だけでは差別化できない。油圧制御も電子制御に切り替わる可能性があり、自動化、遠隔操作と合わせて市場投入に際して差別化を図りたい」
「水素燃料電池ショベルでは、試作機について本年、神鋼と連携した高砂製作所での稼働実証と評価を進めていく。コベルコグループでは、水素を「つくる」「はこぶ」「ためる」「つかう」技術を持っており、これらとうまく繋げながら、研究開発を加速させるとともに、GX建機の開発や普及に取り組む」
――解体機、林業機の対応は。
「解体機の国内シェアは高いが、海外ではまだまだだと思っている。ただ、海外市場については良く分かっていない部分も少なくない。ニーズを追求する必要もある。本年度スタートした現行中計では強化分野の一つとして挙げており、しっかりマーケティングしていく。ここでもデジタル化が進めば、もっと見える化してくると考えている。体制も変えていく。解体機、林業機、リサイクル機は片手間でできる分野ではなく、アフターサービスに力を入れる中で、ビジネスモデルを変えていきたい。ビジネスモデルの変革と合わせて、社員が、自分たちのブランドや商品価値をしっかり把握し、アピールできるよう、教育やインナーブランディングも進め、アウター・インナーともに高度化、複合化していく」

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