2025年6月11日

非鉄業界で働く/女性総合職編 インタビュー(下)/制度整い選択余地広がる

三菱マテリアルグループの中核商社、三菱マテリアルトレーディング(本社=東京都中央区)で働く大金はるかさんは昨年、出産を経て管理部門に異動した。営業職時代とは違うやりがいをいまは感じている。

――結婚、出産をして法務・コンプライアンス部に異動されました。

「学生時代のボランティアの経験からCSRに関わる業務に携わりたいという考えを持っており、当社制度の自己申告で以前から希望を出していました。それまではずっと営業職でしたが、2023年に2人目を出産し、産休・育休後に復職する際、希望が叶い当時のCSR室(現在の法務・コンプライアンス部)に異動が決まりました。22年に1人目を出産し営業職として復職した際には、これまでのようにフットワーク軽く現場に足を運ぶ働き方ができないことにもどかしさを感じましたが、CSR室であれば今の自分の状況がハンデにならず働けるとも思い、内示を聞いた際はうれしく感じました」

――現在の仕事を教えてください。

「社内のリスクマネジメントやガバナンス、コンプライアンスに関する事項の管理・運用を行っています。輸出管理や風土改革、ハラスメント対策、法令順守、あとは会社が取得している建設業や古物商などの許認可関係の対応など幅広い業務があります」

――営業とは違うやりがいがありますか。

「社内の方から下請法や独占禁止法、輸出管理などに関する問い合わせを受けた際、スムーズに対応できるよう勉強することは多いです。そこで自分の学びが直接役に立ち、良く分かりましたとかありがとうと言ってもらえるのはうれしいですし、新しい勉強をしてスキルアップできることもやりがいにつながっています。営業から管理部門に異動するケースは少ないため、どちらの立場も分かるからこその提案ができたら良いなと思っています。また、ハラスメント防止などで女性に限らず全ての社員が働きやすい職場づくりに貢献したいと思っています」

――入社から10年目、女性社員が増えて会社の雰囲気は変わりましたか。

「現在では女性総合職が30人ほどいます。当時は総合職イコール男性という感じでしたが、そういう固定観念が薄れて雰囲気もだいぶ変わったように感じます。最近、管理職になれる登用年数を最短11年から半分程度に短縮する人事制度改正がありました。これは女性管理職を増やす観点でも効果的だと思っています。産休・育休から復帰すると、なかなか子供ができる前と同じような働き方ができない場合がありますが、その前にできるだけキャリアを築きやすくなるのではないでしょうか。男性社員にも育休の取得を促しており、それも効果的な取り組みだと考えています。男性が家庭にもっとコミットしやすくなる雰囲気づくりができれば、結果的に女性も働きやすくなるなと思います」

――在宅勤務やフレックス制度も整備されました。

「在宅勤務は月に10日可能ですが、理由があればその上限を超えて認められるため、私は10日より多く使わせてもらっています。フレックス制度も、一昨年からは時短勤務でも使えるようになりました」

――子育てしながら働く女性総合職も増えているのでしょうか。

「一つ上の先輩も育休から復帰して、現在営業として業務をしています。希望するキャリアは人それぞれだと思いますので、必ずしも職場復帰しなければいけないとか、管理職を目指し続けなければいけないということではないと思っていますが、さまざまな制度が整ってきたことで、希望するキャリアを選択できる余地ができてきたと考えています」

――仕事と子育てにこれからどう臨んでいきたいですか。

「会社では、私と同じように出産からの職場復帰を希望する方がいれば、後押しできる存在でいたいですね。経験者がいるのといないのでは、心持ちが違うと思うので。仕事が大変だと思うこともありますが、子供の存在によって前向きになれることもあります。元気をくれる子供たちには私が頑張る姿を見せたいですし、いつか子供たちに目標や夢ができた時にそれを後押しできるような母でいられたら良いなと思っています」

(田島 義史)