2025年12月1日
商社の経営戦略―事業・人財ポートフォリオ―/伊藤忠丸紅鉄鋼 石谷誠社長/基礎収益力さらに強化/高付加価値品拡充へ米で投資検討
――上期の連結純利益は276億円と前年同期比19億円減少した。特に投資を続けてきた米国の建材事業の利益貢献が低下した。
「既存の事業は鋼材市況の影響を受けやすく、利益は減少した。トランプ大統領が就任し、米国の鋼材市況が3―4月に上がったものの、その後下がり、建材事業のマージンが低下した。今後の金利や経済政策によるが、鋼材市況が上がれば建材事業の製品価格にも好影響となりマージンは改善する。鋼管事業については、米国の状況はさほど変わっていないが米国以外は堅調であり、特に中東の国営石油会社向けは好調だった。売上総利益は1120億円(前年同期1174億円)と減少したが、総利益率は7・6%(6・9%)と改善した。会社方針として総利益率の改善に全社挙げて取り組んでいる。加工をさらに取り込む、あるいは小口・即納の対価をお客様の理解を得ながらいただくなど商社機能の強化が総利益率に表れている。伊藤忠丸紅住商テクノスチールや各コイルセンター(CC)など国内グループ会社いずれも健闘し、需要が不調な中で総利益率を高めている」
――経営の最重要テーマである「基礎収益力の強化」の進捗は。
「連結経営意識を高めるために事業会社と一体で収益改善に取り組んでいる。本社の営業部が事業会社と連携することで事業会社の方で受注が増えている。健全なサプライチェーンの維持に向けてコストの上昇分はお客様の理解を得ながら転嫁を進めている。社員の意識改革に向けて昨年度に続き社長主催の少人数の勉強会を幹部層から行っており、現在は国内外の役職者と30歳代の社員、これから20歳代の社員との勉強会を開く。こうした施策の合わせ技で総利益率を上期に7%台に戻した。ベンチマークである米流通のリライアンスは30%と道程は遠いが、まずは10%台に乗せたい。他にもトランスフォーメーションをリードする取り組みとしてGHG排出量の見える化サービス『MIeCO2』についてパートナー企業との連携を深化させ、お客様に提供するサービスを拡充している。7月にエナーバンクと共同でお客様の電力共同購入を実現するプロジェクトを開始し、電力コストの削減と再生可能エネルギーの調達、脱炭素に貢献する。重点課題は基礎収益力の強化、トランスフォーメーション、次世代のMISIを担う経営人材の育成。将来に向けて世界で戦える人材を育てていく」
――近年の買収案件の進捗と手応えは。
「米薄板建材事業のCDBSを通じて買収したスタッズ・アンリミテッドの主要な顧客である建材流通との関係強化が進み、CDBSの販売量も増加している。クオリティ・エッジを通じて買収したジェネシー・ビルディング・プロダクツは計画通り順調に推移。欧州でも英B&Mを通じて買収したスコットランドの厚板加工会社のアンガスは建設市況が低調だが石油ガス需要を捉え堅調に推移している。太陽光発電の架台用耐食鋼板に取り組み、再生可能エネルギーの普及に鋼材供給を通じて貢献している。昨年にスペインの大手鉄鋼グループのNSRに出資した。本年はアイルランドで浮体式洋上風力向け係留アンカーの開発・据付を手掛けるサブシー・マイクロパイルズに出資し、今後も欧州での投資の機会を探っていく」
――下期の見通しと来年度の業績浮上の見込み、事業の改善に向けて重点的に取り組む課題とは。
「中国は国内の鋼材在庫が増加傾向にあり、引き続き高水準の鋼材輸出が続き、鋼材市況は低調に推移すると予想している。状況は厳しいが、市況や為替に左右されない岩盤としての基礎収益力の強化に向けて既存取引の利益率改善と成長投資の積み上げに引き続き取り組む。米国は例年1―3月に鋼材市況が上がる傾向にあり、国内市況も底打ちの動きをみせ、今以上に悪化することはないとみている。海外事業の利益貢献度は約7―8割だが、基礎収益力の強化で国内の利益も高まる。市況に左右されない事業構造に変えつつあり、重点施策を前に進め、来年度に反転上昇を目指す」
――国内は川下の強化を取り組む。
「これまで以上に需要家に目を向けることで、潜在的な投資候補が見えてくると考えている。省人化に貢献する製品や工法、部材加工など付加価値を高めていく。マツダスチールと紅忠サミットコイルセンターを10月に統合したが、鉄鋼流通の再編が求められている。まずは商社間で協業が進むだろう。日本のサプライチェーンを守り、鉄鋼流通の効率化につながるよう役に立っていきたい」
――日本製鉄によるUSスチール買収を受けて事業の体制を強化している。米国事業の成長の策とは。
「ピッツバーグ事務所を開設し、取締役経験者を派遣した。USスチール、日本製鉄との関係をより強固にすべく、サプライチェーンを強化する投資を検討していく。ミシガン州のCCのジャクソン工場は長い間、USスチール材を扱っており、機能を生かしてく。事業ポートフォリオとして、米国に力を入れ、建材事業は引き続き主力になる。工場であらかじめ成形加工した製品を工事現場に納入するなど省人化のニーズに対応するサービスを拡充する。薄板建材の商品は屋根材など限られているので商品群を増やす。ボラティリティを抑えるのが経営の課題。付加価値の高い製品は原価に占める鋼材比率が低くなり、鋼材コストが下がると逆にマージンが上がる。新たな工法にスタートアップ企業を通じて取り組んでいる。鋼管も同様で単純な在庫販売だと市況に打たれるので高付加価値の分野を手掛ける。日系企業による米国投資も増え、伸びる需要を捉えるが、全体の加工能力を増やさないよう自社の増強だけではなく買収や他社との連携で能力を増やすことも考えている」
――需要の拡大が続くインドでも投資を進めることに。
「鉄鋼需要は経済成長以上の早いペースで増えていく。JSWスチールとの合弁事業のJSWMIを通じて、伸びゆく需要を捕捉する。JSWMIの加工能力は年間110万トンだが、200万トンへの拡張を視野に入れている。EVや自動用バッテリーなど環境関連分野向け中心に自動車用鋼板など多様な鋼板の供給を行う事業を強化し、需要の成長に合わせて新工場建設と既存工場の拡張を検討する。工場は現在4拠点で来年に1拠点の追加を検討している」
――アフリカ市場の開拓にも手を打つ。
「アフリカ最大手の建材会社のサファル社とのパートナーシップを通じてプレゼンスを高めていく。ナイロビ支店を設置し、新たな商材の発掘や情報・サービスの提供を強化している。時間はかかるだろうが、将来に向けて事業の種をまき、芽を育てていく」
――アジアは効率化の方向に。
「中国は大きなマーケットであり、現地化を進めて競争力を維持していく。中国人幹部を養成しており、上海、浙江省嘉興、大連、長春のCCは中国人社員がトップを務めており、彼らが次の中国人幹部を育てている。インドネシアはCCを統合し、USCに一本化した。タイはUCCが中核で、PSPCはCC事業から撤退して造管事業のみとし、効率化を図っている」
――人財戦略を強力に推し進めている。
「単体社員は1047人と初めて1000人を超えた。採用を積極的に行い、新卒採用は昨年80人で今期は60人、キャリア採用は昨年12人で今年も同程度の見込みだが必要な人材を常に求めている。2030年代の経営環境を見据えて鉄鋼流通業界のグローバルトップを目指し、長期ビジョンの実現に向けた次世代経営人材の育成は最重要課題だ。10年後に経営を担う次世代人材の育成に注力している。高度な専門性に加えてグローバルな視野、ビジネスをコーディネートする総力を備えた経営人材、世界で戦える人材を育てていく。昨年に総合職の6%にあたる35人をハーバード大などビジネススクールに派遣し、今年も21人を国内外のビジネススクールに派遣する。経営者として積極的に早期登用するストレッチアサインメントを実施している。ポジションを20カ所以上用意し、30代の若手を国内や海外で事業会社の社長や幹部に登用していく。また、営業と職能の管理部門のローテーションも組んでいく」
――キャリアやエンゲージメントを重視する若手にいかに応えていくか。
「若手の勉強会では将来の展望が見えるよう話をし、そこに向けてどのように仕事に取り組むべきか、どのような勉強をしておいてほしいかなどを伝えている。他の役員にも勉強会に加わってもらい、どのようにキャリアを積めばよいか、具体的に伝える機会にしている。本年に本社を東京ミッドタウン八重洲の32―34階に移転し、共有スペースを多く設置して開放し、気持ちよく仕事をしてもらっている。社員ひとりひとりの生産性向上が実現できる環境を整え、エンゲージメントの醸成につなげている。社員のコミュニケーションを活発化しようと設けた社内のMISIカフェにはよく社員が集まって意見を交わしている。オフィスに来るとコミュニケーションの機会が増える。出社するのがワクワクする会社にしたいという考えだが、そうなってきていると思う。また、健康経営にも尽力しており、健康経営優良法人(ホワイト500)に認定された」
「今年の短期経営計画の目玉として掲げているのが『学び教え合う文化の醸成』。若手が自発的に勉強会を行っており、集まってアイデアを出し合って議論している。ベンチャーキャピタル2社に出資したが、これも若手の提案だった。提案者達は何度も跳ね返されながらもあきらめず、最後は経営会議を通した。考えが斬新で熱心であり、懲りずに立ち向かってくる。これまでも社員から新規ビジネスのアイデアを集めてきたが難しいところがあった。スタートアップ企業は鉄鋼流通に展開できる完成度の高いアイデアを提供してくれる。まさしくオープンイノベーションであり、すでに事業の改善に生かしている。学び教え合う文化の醸成は始まったばかりだが、積極的に進めていきたい。ある営業本部では収益の改善案をテーマとした発表コンテストを行い、プレゼンし合うことで、皆が勉強になっている。ハードな交渉で鍛えたメンタルが他事例でも生きた、など共感を呼ぶようなものがあり、学び教え合う文化が浸透しつつある」(植木 美知也)
「既存の事業は鋼材市況の影響を受けやすく、利益は減少した。トランプ大統領が就任し、米国の鋼材市況が3―4月に上がったものの、その後下がり、建材事業のマージンが低下した。今後の金利や経済政策によるが、鋼材市況が上がれば建材事業の製品価格にも好影響となりマージンは改善する。鋼管事業については、米国の状況はさほど変わっていないが米国以外は堅調であり、特に中東の国営石油会社向けは好調だった。売上総利益は1120億円(前年同期1174億円)と減少したが、総利益率は7・6%(6・9%)と改善した。会社方針として総利益率の改善に全社挙げて取り組んでいる。加工をさらに取り込む、あるいは小口・即納の対価をお客様の理解を得ながらいただくなど商社機能の強化が総利益率に表れている。伊藤忠丸紅住商テクノスチールや各コイルセンター(CC)など国内グループ会社いずれも健闘し、需要が不調な中で総利益率を高めている」
――経営の最重要テーマである「基礎収益力の強化」の進捗は。
「連結経営意識を高めるために事業会社と一体で収益改善に取り組んでいる。本社の営業部が事業会社と連携することで事業会社の方で受注が増えている。健全なサプライチェーンの維持に向けてコストの上昇分はお客様の理解を得ながら転嫁を進めている。社員の意識改革に向けて昨年度に続き社長主催の少人数の勉強会を幹部層から行っており、現在は国内外の役職者と30歳代の社員、これから20歳代の社員との勉強会を開く。こうした施策の合わせ技で総利益率を上期に7%台に戻した。ベンチマークである米流通のリライアンスは30%と道程は遠いが、まずは10%台に乗せたい。他にもトランスフォーメーションをリードする取り組みとしてGHG排出量の見える化サービス『MIeCO2』についてパートナー企業との連携を深化させ、お客様に提供するサービスを拡充している。7月にエナーバンクと共同でお客様の電力共同購入を実現するプロジェクトを開始し、電力コストの削減と再生可能エネルギーの調達、脱炭素に貢献する。重点課題は基礎収益力の強化、トランスフォーメーション、次世代のMISIを担う経営人材の育成。将来に向けて世界で戦える人材を育てていく」
――近年の買収案件の進捗と手応えは。
「米薄板建材事業のCDBSを通じて買収したスタッズ・アンリミテッドの主要な顧客である建材流通との関係強化が進み、CDBSの販売量も増加している。クオリティ・エッジを通じて買収したジェネシー・ビルディング・プロダクツは計画通り順調に推移。欧州でも英B&Mを通じて買収したスコットランドの厚板加工会社のアンガスは建設市況が低調だが石油ガス需要を捉え堅調に推移している。太陽光発電の架台用耐食鋼板に取り組み、再生可能エネルギーの普及に鋼材供給を通じて貢献している。昨年にスペインの大手鉄鋼グループのNSRに出資した。本年はアイルランドで浮体式洋上風力向け係留アンカーの開発・据付を手掛けるサブシー・マイクロパイルズに出資し、今後も欧州での投資の機会を探っていく」
――下期の見通しと来年度の業績浮上の見込み、事業の改善に向けて重点的に取り組む課題とは。
「中国は国内の鋼材在庫が増加傾向にあり、引き続き高水準の鋼材輸出が続き、鋼材市況は低調に推移すると予想している。状況は厳しいが、市況や為替に左右されない岩盤としての基礎収益力の強化に向けて既存取引の利益率改善と成長投資の積み上げに引き続き取り組む。米国は例年1―3月に鋼材市況が上がる傾向にあり、国内市況も底打ちの動きをみせ、今以上に悪化することはないとみている。海外事業の利益貢献度は約7―8割だが、基礎収益力の強化で国内の利益も高まる。市況に左右されない事業構造に変えつつあり、重点施策を前に進め、来年度に反転上昇を目指す」
――国内は川下の強化を取り組む。「これまで以上に需要家に目を向けることで、潜在的な投資候補が見えてくると考えている。省人化に貢献する製品や工法、部材加工など付加価値を高めていく。マツダスチールと紅忠サミットコイルセンターを10月に統合したが、鉄鋼流通の再編が求められている。まずは商社間で協業が進むだろう。日本のサプライチェーンを守り、鉄鋼流通の効率化につながるよう役に立っていきたい」
――日本製鉄によるUSスチール買収を受けて事業の体制を強化している。米国事業の成長の策とは。
「ピッツバーグ事務所を開設し、取締役経験者を派遣した。USスチール、日本製鉄との関係をより強固にすべく、サプライチェーンを強化する投資を検討していく。ミシガン州のCCのジャクソン工場は長い間、USスチール材を扱っており、機能を生かしてく。事業ポートフォリオとして、米国に力を入れ、建材事業は引き続き主力になる。工場であらかじめ成形加工した製品を工事現場に納入するなど省人化のニーズに対応するサービスを拡充する。薄板建材の商品は屋根材など限られているので商品群を増やす。ボラティリティを抑えるのが経営の課題。付加価値の高い製品は原価に占める鋼材比率が低くなり、鋼材コストが下がると逆にマージンが上がる。新たな工法にスタートアップ企業を通じて取り組んでいる。鋼管も同様で単純な在庫販売だと市況に打たれるので高付加価値の分野を手掛ける。日系企業による米国投資も増え、伸びる需要を捉えるが、全体の加工能力を増やさないよう自社の増強だけではなく買収や他社との連携で能力を増やすことも考えている」
――需要の拡大が続くインドでも投資を進めることに。
「鉄鋼需要は経済成長以上の早いペースで増えていく。JSWスチールとの合弁事業のJSWMIを通じて、伸びゆく需要を捕捉する。JSWMIの加工能力は年間110万トンだが、200万トンへの拡張を視野に入れている。EVや自動用バッテリーなど環境関連分野向け中心に自動車用鋼板など多様な鋼板の供給を行う事業を強化し、需要の成長に合わせて新工場建設と既存工場の拡張を検討する。工場は現在4拠点で来年に1拠点の追加を検討している」
――アフリカ市場の開拓にも手を打つ。
「アフリカ最大手の建材会社のサファル社とのパートナーシップを通じてプレゼンスを高めていく。ナイロビ支店を設置し、新たな商材の発掘や情報・サービスの提供を強化している。時間はかかるだろうが、将来に向けて事業の種をまき、芽を育てていく」
――アジアは効率化の方向に。
「中国は大きなマーケットであり、現地化を進めて競争力を維持していく。中国人幹部を養成しており、上海、浙江省嘉興、大連、長春のCCは中国人社員がトップを務めており、彼らが次の中国人幹部を育てている。インドネシアはCCを統合し、USCに一本化した。タイはUCCが中核で、PSPCはCC事業から撤退して造管事業のみとし、効率化を図っている」
――人財戦略を強力に推し進めている。
「単体社員は1047人と初めて1000人を超えた。採用を積極的に行い、新卒採用は昨年80人で今期は60人、キャリア採用は昨年12人で今年も同程度の見込みだが必要な人材を常に求めている。2030年代の経営環境を見据えて鉄鋼流通業界のグローバルトップを目指し、長期ビジョンの実現に向けた次世代経営人材の育成は最重要課題だ。10年後に経営を担う次世代人材の育成に注力している。高度な専門性に加えてグローバルな視野、ビジネスをコーディネートする総力を備えた経営人材、世界で戦える人材を育てていく。昨年に総合職の6%にあたる35人をハーバード大などビジネススクールに派遣し、今年も21人を国内外のビジネススクールに派遣する。経営者として積極的に早期登用するストレッチアサインメントを実施している。ポジションを20カ所以上用意し、30代の若手を国内や海外で事業会社の社長や幹部に登用していく。また、営業と職能の管理部門のローテーションも組んでいく」
――キャリアやエンゲージメントを重視する若手にいかに応えていくか。
「若手の勉強会では将来の展望が見えるよう話をし、そこに向けてどのように仕事に取り組むべきか、どのような勉強をしておいてほしいかなどを伝えている。他の役員にも勉強会に加わってもらい、どのようにキャリアを積めばよいか、具体的に伝える機会にしている。本年に本社を東京ミッドタウン八重洲の32―34階に移転し、共有スペースを多く設置して開放し、気持ちよく仕事をしてもらっている。社員ひとりひとりの生産性向上が実現できる環境を整え、エンゲージメントの醸成につなげている。社員のコミュニケーションを活発化しようと設けた社内のMISIカフェにはよく社員が集まって意見を交わしている。オフィスに来るとコミュニケーションの機会が増える。出社するのがワクワクする会社にしたいという考えだが、そうなってきていると思う。また、健康経営にも尽力しており、健康経営優良法人(ホワイト500)に認定された」
「今年の短期経営計画の目玉として掲げているのが『学び教え合う文化の醸成』。若手が自発的に勉強会を行っており、集まってアイデアを出し合って議論している。ベンチャーキャピタル2社に出資したが、これも若手の提案だった。提案者達は何度も跳ね返されながらもあきらめず、最後は経営会議を通した。考えが斬新で熱心であり、懲りずに立ち向かってくる。これまでも社員から新規ビジネスのアイデアを集めてきたが難しいところがあった。スタートアップ企業は鉄鋼流通に展開できる完成度の高いアイデアを提供してくれる。まさしくオープンイノベーションであり、すでに事業の改善に生かしている。学び教え合う文化の醸成は始まったばかりだが、積極的に進めていきたい。ある営業本部では収益の改善案をテーマとした発表コンテストを行い、プレゼンし合うことで、皆が勉強になっている。ハードな交渉で鍛えたメンタルが他事例でも生きた、など共感を呼ぶようなものがあり、学び教え合う文化が浸透しつつある」(植木 美知也)












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