2026年4月14日
創刊90周年記念インタビュー(上)/経済産業事務次官/藤木俊光氏/官民挙げて新機軸に投資/グリーン価値付加は日本の勝ち筋
国連、世界貿易機関(WTO)などの戦後秩序が揺らぎ、地域紛争や米関税政策、中国の過剰生産などのうねりは、半導体や重要鉱物の確保など新たな国家間、有志国間競争に発展し、産業政策も見直しを迫られる。10年先をにらむGX、DX、経済安保を軸とした産業、通商、エネルギーなど政策課題について藤木俊光・経済産業事務次官に聞いた。
――新機軸が必要となる。
「世界秩序で当然とされた前提が大きく変わる。あるいは人工知能とか量子コンピューター、その先に核融合が出てきて技術自体が変わる。日本が独自の価値を世界に発信することが大切だ。いろいろな形でイノベーションを起こすことだ。GX、AIそれも言語モデルをさらに超えたフィジカルAIだったり、新しい価値を世界に発信するためには投資しなければいけない。設備投資、研究開発投資、人材投資を促す。将来新しく生み出すものに官民挙げて成長投資、あるいは高市内閣における『危機管理投資』、これを将来に向けて今動かしていく。それが新機軸の本質だ」
――産業政策に国の関与がより必要。
「環境が変わる中で民間だけでは背負い切れない、例えばかなり大きな投資をする、不確実性がかなり高いものにも賭けるという民間企業だけで達成が難しい分野も出ている。産業政策は国が勝者を選択するという言われ方を過去にしたが決してそうではなく、今勝負しなければいけないもののリスクを分担しながら必要なスピードと規模で投資する、そういう形の官民の協調は必要だ」
――成長戦略で17分野を挙げた。
「分野で17、横割りの課題で8つ検討している。技術開発、研究開発とか基礎的なところからやる話もあるし、今すぐ実装する話もある。分野に応じて時間軸と戦略が違ってくる。足元のことだけではなく、10年、20年先の種を育てなければいけない。一定の時間軸の中でどういうことが求められているか、分野ごとに議論する意味のあることだ。例えば戦略分野の一つである『マテリアル』は、金属とか素材系の技術に日本が強みを持っている。どう伸ばすか、世界と勝負するか考える。素材だけでいいとはならないわけで、それを使ったソリューション、製品などが世界の中で競争する。1億人の国が何か一つで食べていけるほど簡単ではないし、むしろ一連の総合力で日本の価値が出てくる面もある。川上から川下まで一定のサプライチェーンを保持しているのが日本の特色だし強みを生かさない手はない」
「資源は輸入せざるを得ないが素材からいろいろな生産材、中間材を作る。最終材ができ、プラスアルファのサービス、付加価値を乗せる形で稼いできた構造に変わりはない。価値の源泉はいろいろなところに眠っている。それを価値として認めてもらってわれわれの豊かさに還元するにはいろいろな工夫も必要だ。ものプラスサービスみたいな仕事の仕方を考えなければいけない。単に安く作るのが得意ということでは国全体として豊かにならない。いかに付加価値を取れるか、高く売れるかをもっと意識しなければいけない」
――GXは米国の撤退などブレーキも。
「グリーンは新しい価値と世界中の人が言っているわけで、日本にとって大切なチャレンジだ。一つはテクノロジーでグリーンを達成する。同時にグリーンという価値をどうお金に変えるか考える。もともと資源に恵まれない国として過去の積み重ねも含めてノウハウ、経験のある勝負しがいのある分野だ。省エネも得意だし新しいエネルギーを使っていくことも、あるいはどういう製品に乗せて同じ自動車でもより環境に良い形での使い方、作り方あるいはその素材のあり方を提案していけるかチャンスはたくさんある。日本にとって新しい付加価値を得るキーワードだ。世界のトレンドというよりは日本の勝ち筋として追求すべき柱だ」
――グリーン鉄、グリーンアルミも。
「グリーンスチールは世界のトップランナーとしてある程度形になっているのはさすが日本の鉄鋼業だ。これをどう商売にしていくか民間に頑張ってもらうところもあるし、国として制度を用意する面も、公共調達で工夫しなければいけないかもしれない。官民知恵を出し合う分野だ。当然国際的な合従連衡を含めてルール作りをグローバルに考える。日本の素晴らしいものが世界で評価されマーケットとしても成長することを志向する」
――人材など日本の製造業基盤維持、強化に行政の役割は大きい。
「これから必要なのはどういう人材か。これまでとは違う人の育て方、人の使い方を会社も考えなければいけないし、個人のキャリアでも働く位置付けが変わる。新しい人材育成、活用のあり方は文科省とも議論していて、教育のシステムも見直す。人材の流動化は転職市場は活発になっているし、日本はそうでもないが、国際的に人材が流動しているのでしっかり対応する。むしろ世界中の優れた知識、人材をどう活用するかを考えないといけない」
(正清俊夫、田島義史)
――新機軸が必要となる。
「世界秩序で当然とされた前提が大きく変わる。あるいは人工知能とか量子コンピューター、その先に核融合が出てきて技術自体が変わる。日本が独自の価値を世界に発信することが大切だ。いろいろな形でイノベーションを起こすことだ。GX、AIそれも言語モデルをさらに超えたフィジカルAIだったり、新しい価値を世界に発信するためには投資しなければいけない。設備投資、研究開発投資、人材投資を促す。将来新しく生み出すものに官民挙げて成長投資、あるいは高市内閣における『危機管理投資』、これを将来に向けて今動かしていく。それが新機軸の本質だ」
――産業政策に国の関与がより必要。
「環境が変わる中で民間だけでは背負い切れない、例えばかなり大きな投資をする、不確実性がかなり高いものにも賭けるという民間企業だけで達成が難しい分野も出ている。産業政策は国が勝者を選択するという言われ方を過去にしたが決してそうではなく、今勝負しなければいけないもののリスクを分担しながら必要なスピードと規模で投資する、そういう形の官民の協調は必要だ」
――成長戦略で17分野を挙げた。
「分野で17、横割りの課題で8つ検討している。技術開発、研究開発とか基礎的なところからやる話もあるし、今すぐ実装する話もある。分野に応じて時間軸と戦略が違ってくる。足元のことだけではなく、10年、20年先の種を育てなければいけない。一定の時間軸の中でどういうことが求められているか、分野ごとに議論する意味のあることだ。例えば戦略分野の一つである『マテリアル』は、金属とか素材系の技術に日本が強みを持っている。どう伸ばすか、世界と勝負するか考える。素材だけでいいとはならないわけで、それを使ったソリューション、製品などが世界の中で競争する。1億人の国が何か一つで食べていけるほど簡単ではないし、むしろ一連の総合力で日本の価値が出てくる面もある。川上から川下まで一定のサプライチェーンを保持しているのが日本の特色だし強みを生かさない手はない」
「資源は輸入せざるを得ないが素材からいろいろな生産材、中間材を作る。最終材ができ、プラスアルファのサービス、付加価値を乗せる形で稼いできた構造に変わりはない。価値の源泉はいろいろなところに眠っている。それを価値として認めてもらってわれわれの豊かさに還元するにはいろいろな工夫も必要だ。ものプラスサービスみたいな仕事の仕方を考えなければいけない。単に安く作るのが得意ということでは国全体として豊かにならない。いかに付加価値を取れるか、高く売れるかをもっと意識しなければいけない」
――GXは米国の撤退などブレーキも。
「グリーンは新しい価値と世界中の人が言っているわけで、日本にとって大切なチャレンジだ。一つはテクノロジーでグリーンを達成する。同時にグリーンという価値をどうお金に変えるか考える。もともと資源に恵まれない国として過去の積み重ねも含めてノウハウ、経験のある勝負しがいのある分野だ。省エネも得意だし新しいエネルギーを使っていくことも、あるいはどういう製品に乗せて同じ自動車でもより環境に良い形での使い方、作り方あるいはその素材のあり方を提案していけるかチャンスはたくさんある。日本にとって新しい付加価値を得るキーワードだ。世界のトレンドというよりは日本の勝ち筋として追求すべき柱だ」
――グリーン鉄、グリーンアルミも。
「グリーンスチールは世界のトップランナーとしてある程度形になっているのはさすが日本の鉄鋼業だ。これをどう商売にしていくか民間に頑張ってもらうところもあるし、国として制度を用意する面も、公共調達で工夫しなければいけないかもしれない。官民知恵を出し合う分野だ。当然国際的な合従連衡を含めてルール作りをグローバルに考える。日本の素晴らしいものが世界で評価されマーケットとしても成長することを志向する」
――人材など日本の製造業基盤維持、強化に行政の役割は大きい。
「これから必要なのはどういう人材か。これまでとは違う人の育て方、人の使い方を会社も考えなければいけないし、個人のキャリアでも働く位置付けが変わる。新しい人材育成、活用のあり方は文科省とも議論していて、教育のシステムも見直す。人材の流動化は転職市場は活発になっているし、日本はそうでもないが、国際的に人材が流動しているのでしっかり対応する。むしろ世界中の優れた知識、人材をどう活用するかを考えないといけない」
(正清俊夫、田島義史)
















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