2026年4月22日

井上鋼材 創業100周年/山口研二社長/柔らか頭で多角化経営/働きやすさ重視、高い社員定着率

 1926(大正15)年に横浜で創業した井上鋼材は、この4月に創業100周年を迎えた。同社が目指すのは、より「人」を大切にした経営基盤の構築だ。社員一人一人が感じる「幸せな暮らし」の中に、自然と「仕事へのやりがい」が根付くことを目指し、働きやすさを重視した環境整備を進めてきた。昨年、井上鋼材の第5代社長に就任した山口研二社長に、100周年を迎えた思いから「次なる100年」への期待などを聞いた。

 ――創業100年を迎えての思いから。

 「まさに激動の世界情勢の中で、経済環境が大きく変化しており、正直なところ不安が第一という心境だ。私の曽祖父・井上伊之助が始めた鉄屋の商売から100年間、井上鋼材の経営者たちがつないできたものを次世代に残し、継続していくことが役目と思っている。振り返れば、100年前は関東大震災(1923年9月)からの復興があり、昭和年代にはオイルショックがあり、バブル崩壊、平成になって東日本大震災、令和のコロナショックなど、企業として幾多の難局を乗り越えてきた歴代の経営者たちに感謝したい。特に直近まで井上鋼材を率いて、安定した経営を担っていただいた井上孝一会長には深く感謝申し上げる」

 ――井上鋼材として時代に合わせ業容を変化させてきた。

 「一般鋼材が取り扱いのメインだったが市場の多様化に合わせて、土木・建築・電気・通信・産業機械・建設機械・自動車・造船など、多用途の品目を扱う鋼材の総合商社に成長してきた。さらに、鋼材の加工・鉄骨工事・土木建材製品の販売や施工・敷鉄板のレンタル・ダンプカー用泥落装置スパッツのレンタルおよび販売まで多岐にわたる。また鋼材とはまったく違うジャンルの、書店『BOOK PORT』の店舗を経営。風通しの良い社風を心がけている当社は、鉄鋼業界に存在する柔らか頭の発想を採用し、多角化経営を展開している」

 ――社員の年齢層はどうか。

 「おかげさまでここ4―5年、入社する社員が増えた。一部偏りのある部署はあるが、営業では20代から70代まで幅広く在籍している」

 ――女性社員も活躍し、若手社員の定着率も高い。

 「政府が女性活躍社会と旗を振ってきたのとほぼ同じくして、女性社員が増えてきた。営業で5人おり、この4月にも1人新たに入社した。鉄鋼に4人、土木に1人という布陣だ。一方で、男性20代社員も5年で10人が入社してくれた。本社が横浜市にあるので、地元中心の採用と思われがちだが、関西や東北から応募し入社した社員もいる」

 ――高い定着率の背景は。

 「社内では働きやすい雰囲気づくりに注力している。やはり社員同士のコミュニケーションが重要だ。コミュニケーションが取りやすい部屋のレイアウトなど、若い人の意見を取り入れ、適宜反映させている」

 「採用にあたっては、私が人事面も見ているので、採用の面接を兼ねて1時間以上会話をするようにしている。大体、1時間も話せば人となりの輪郭は見えてくる。経験の有無は一切問わない。むしろ未経験の方が、入社後伸びるケースが多い気がする」

 ――山口社長自身も新卒で入社した。

 「おかげで全社員の顔と名前は一致している。ベテラン社員には若い頃からかわいがられてきたし、中小企業に入社する新卒社員の気持ちも分かる。そこが一番の強みかもしれない」

 ――ところで、変化の時代に経営面で気を付けていることは。

 「与信管理だ。当社は得意先さまの数が多い。金利も上がってくる時代になり、さまざまなことを想定しておかないといけない」

 「私が社会人になった90年代後半はまさに”ゼロ金利”の時代だった。しかし時代が変化し、半期ごとに金利が上昇する局面は経験していない。商売する上では好機でもあるが、より難しい時代になっている」

 ――次なる100年に向けて。

 「まずはベースである鉄鋼部+加工、建材部、機材部の各事業と社会的意義がある書籍部を継続させつつ、これまで培ってきたものにプラスするべく企業としての成長分野を模索したい。後継者不足で悩んでいる企業など事業継承としてのM&Aも視野に入れたい」

(菅原 誠)











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