2015年5月7日

庚申山広徳寺、本堂再建へ 地元は消極的

焼失前の本堂
 真鍮(黄銅)信仰で知られる庚申山広徳寺(滋賀県甲賀市水口町山上642―1)の復興に向け、地元住民による協議が行われた。2年前に全焼した本堂再建について、先月の住民総会で初めて議題に上がったものの決まらず、半年ほどの意見交換の期間を設けることになった。今のところ費用負担などを理由に消極的な声が多く、再建のめどはまだ立たない状況だ。

 広徳寺は桃山時代に真鍮を発明したとされる藤左衛門を祀り、江戸時代から「庚申さん」として全国の銅業者の篤い信仰を集めてきた。ところが2013年4月22日、漏電により本堂が全焼。同年9月には大型台風により山上への道が崩落し、復旧に時間がかかっていた。

 関係者によると、4月25日に開催された住民総会では、再建費用や再建後の維持管理の負担などを考えて、再建に賛成したのはごく少数だった。広徳寺信徒は40戸で、高齢化も進んでいる。また、焼失を免れた本堂から離れた本坊で法要などの行事も実施できており、再建を急ぐ必要はないとの意見が多かった。

 一方で伸銅業界側からは、昨年12月の住民代表との会談の場で、本堂再建に際して支援する意向を伝えている。業界側の窓口として活動する京都伸銅会の岡田保雄会長(丸江伸銅社長)は、「全国で唯一の伸銅の神様という庚申さんの歴史的意義を、地元や業界の若い人たちに伝えるためにも、住民の皆さんの前向きな決定を待ちたい」と話す。

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