2018年7月13日

西日本豪雨の影響 中・四国の物流寸断 一部復旧も正常化に時間 海上への輸送シフトも

西日本各地に大きな被害をもたらした「平成30年7月豪雨」。中国・四国地区では鋼材流通や加工業者の工場・倉庫に直接の被害はなかったものの、幹線道路が土砂崩れなどの影響で寸断され、物流に深刻な影響が出ている。主要道路では急ピッチで復旧工事が進み順次、開通しはじめているが、正常化には時間が掛かりそうだ。

12日午前の時点で山陽自動車道の通行止め区間は広島―河内間(39キロメートル)のみ。西日本高速道路は11日、同区間の通行止めを15日に解除できる見込みと発表、東西をつなぐ大動脈の回復で混乱は徐々に落ち着くものとみられる。

6日の被災直後は山陽自動車道の通行止めに伴い、鳥取県、島根県を通る山陰自動車に迂回する車両が多かったが、9日に中国地区の中央部を横断する中国自動車道が全線復旧して以降は、中国道への迂回車両が増えているようだ。

陸路が閉ざされたことで海上への輸送シフトも見られた。大阪と北九州、四国と本州を結ぶフェリーを利用しようと運送業者が殺到、乗船できないケースが多発した。鋼材についてはメーカー、流通が内航船を使った海上輸送への切り替えを検討するが、豪雨で瀬戸内海に流れ込んだ土砂や流木が出荷の妨げになる恐れがあり、簡単には変更できないようだ。

広島県では主要道路の一つ、国道2号線の竹原市から大竹市の間で6カ所の通行止め(12日午前8時30分時点)が発生している。迂回路が開通しており通行は可能なものの依然、渋滞は緩和されていない。21日ごろまでに段階的に通行止めは解除される予定という。海田町から呉市に至る国道31号は11日深夜に全面復旧したほか、県を南北に通る国道54号も全面通行可能となっている。

四国地区では愛媛県と高知県をつなぐ高知自動車道の川之江東―大豊間で切土のり面の土砂が崩落し、立川橋(全長64メートル)の上部工(上り線)が押し流された。現在、下り線を対面通行で開通させるため、作業が行われており、13日には通行可能となる見通しだ。

主要道路に加え、県道や市町村道でも土砂崩れが発生したことで、物流だけでなく企業の操業にも影響が出ている。広島県東部から岡山県西部のエリアでは6日以降、社員の通勤が困難となっている企業も多い。岡山県で鋼材の一次加工を手掛ける流通は「通勤困難で人手が足りず、大幅に加工スケジュールがズレ込んでいる」と話す。

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