2023年4月19日

非鉄業界で働く /グローバル人材編/インタビュー/中国語さらに上達したい

昨年創業100周年を迎えた大紀アルミニウム工業所(本社=大阪市西区、山本隆章社長)では、複数のグローバル人材が輸出入などの業務に関わっている。2011年に入社した資材管理部資材管理課の李冰(リ・ビン)さんもその1人だ。来日や入社の経緯、これまでの業務内容、女性として、グローバル人材として働く中で感じること、今後の思いなどを聞いた。

――来日前後は。

「中国の遼寧省大連市で生まれました。小さな街で、工業が盛んなのが特徴です。3歳の時に来日し、ずっと日本に住んでいます。親の仕事の都合で急に決まったので、日本語が分からないまま幼稚園に入園。にんにくたっぷりのギョーザをお弁当に入れて行ったら周囲に驚かれ、なぜ驚かれているのか理解できなかったのを覚えています(笑)」

――その後は。

「日本語の吸収が早く、気付いたら普通に話せるように。そのまま地元の小学校に入りました。市役所が通訳担当者を手配してくださいましたが、最初の1カ月で通訳は不要と判断されるレベルになっていましたね。父は日本語を流ちょうに話すのですが、母がまだ少し慣れておらず、家庭内の会話は日本語と中国語を混ぜています。大学は英文学科へ進みました」

――新卒で入社。

「就職活動当初は将来への明確なビジョンがなくて。人生を振り返ると、航空業界を目指そうと思った時期もあるほど飛行機が元々好きなこと、どんな仕組みで飛んでいるのか興味を持っていたことが頭に浮かびました。当時、機体の60%にアルミ合金が使われていたことから、アルミを扱う仕事に興味を持つように。ご縁があって大紀アルミニウム工業所に入社しました。飛行機関連の事業はないのですが、『飛行機に1歩近づいた!ラッキー!』と喜んだのを覚えています」

――入社後は。

「入社時から昨年まで、3国間貿易と輸入手続き業務を行っていました。アルミ二次合金を製造するための原在料の一部を中国で仕入れ、海外の製造拠点に手配するという流れです。入社直後は毎日が初めてのことばかりで、ミスばかり起こしていて。何度も心が折れそうになりましたが、先輩方が根気強く教えてくださいました」

――現在の業務を。

「昨年後半から、アルミダイカスト用のインゴット(AD12・1など)の輸入業務を担当しています。今年からは、お客さまのニーズを営業部から聞いて仕入れ先と交渉、船積み時期を決めて日本向けに輸出してもらう――という契約関連の業務も一部関わっています。相場に左右されるので、上司のアドバイスをもとに、その都度適した条件で手配するよう努めていますね。多くの情報を精査して価格を判断するのですが、まだまだ上司に頼りきっている状態。早く自立できるよう日々奮闘しています! 」

――やりがいは。

「3国間貿易で自社の製造拠点に手配した材料に対し、品質も価格面も満足され、現場から『ありがとう』『良かった』と言っていただけること。とてもうれしいですね。母に『感謝される人になりなさい』と言われて育ったので、そうなれるよう今も努力しています」

――大変なことを。

「数字を扱う業務で苦戦することが多いです。売り上げと重量を基幹システムに登録する際、トン単位で入力すべきところを、キロ単位のまま小数点を付けずに入れてしまったことがありました。売り上げの何百倍という数値になり、基幹システムがストップ。ITセクションの社員の方々が残業してくださったおかげで解決しました。明日からクビになるのではという不安でいっぱいでした」

――言語の悩みも。

「中国出身ですが、ずっと日本で暮らしているので中国のことに詳しくありません。面接で『中国語はあまり話せません』と伝えましたが、言葉通りではなく、謙虚な人柄だと受け取られたようで……。語学力に期待されて採用された部分があると思うので申し訳ないですね。日本で働いていて気付いたことですが、中国の方々は、中国語を話す仲間がいるとより心を開き、親密な関係を築く傾向にあります。一方で、私は子供が話すような中国語しか使えず、相手にされないことも。漢字も苦手で……。関係強化のためにも一定基準の中国語が必要だなと。言語の壁を感じています」

――社内環境は。

「入社当時は、本社社員約50人中5人が女性総合職でした。最近はもっと増えましたね。もともと男性寄りの性格で、幼少期は男の子用のおもちゃでよく遊んでいたこともあり、男性が多い環境に対して抵抗はないです。皆さん気さくに接してくださいますよ。逆に私が人見知りする性格なので、対応に戸惑うほど(笑)」

――業界に女性が増えてほしいか。

「増えてほしいです。女性が働くにはしんどそう、という印象が払拭できればと思いますね。しんどいことはあるけれど、その先に達成感もあります。非鉄金属が使われるのは、缶、ビル、自動車など生活になくてはならないものばかり。身近な存在、なくてはならないものだと広く知っていてもらいたい。SDGsの観点でも環境に優しい素材です。私たちがPRをしなくてはと思っています」

――今後の目標を。

「まずは情報収集能力と、それを精査する目を養いたいですね。多方面の方々とコミュニケーションを取る必要があるので、人見知りしないようになりたいです。中国語や英語を主言語とする海外の仕入れ先と交友を増やしたいですし、中国語も、漢字で書かれた文章をさっと訳せるレベルになりたいです」

(芦田 彩)



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