1
2024.12.4
2022年11月25日
非鉄業界で働く/女性技術職編/インタビュー/免震部材の普及に注力
昭和電線ホールディングス(HD)子会社の昭和電線ケーブルシステム(本社=川崎市川崎区、CS)相模原事業所で、地震の揺れから建物を守る免震部材の設計や検査業務に力を入れる清水美雪(しみず・みゆき)さん。建築学科出身という立場から、合格が難しいと言われる一級建築士の資格を仕事と並行して取得するなど、努力家の一面を持ち合わせる。HDで昨年発足した女性活躍推進プロジェクト(PJ)のメンバーも務めるなど何事にも意欲的に取り組む清水さんに、仕事に対する思いなどを聞いた。
――大学時代の過ごし方を。
「建築学科を専攻し、設計やデザインなど建築全般を学びました。日本は地震が多いので地震に強い建物などの研究ができればと思い、防災関係をメインに手掛ける研究室に所属してからは地震被害や地盤振動の調査にも取り組みました」
――現在の職務に就こうと考えた理由。
「2004年に発生した新潟県中越地震の被害調査に同行したのがきっかけでした。震源に近いところでも免震を採用しているかいないかで被害が異なる状況を目の当たりにし、免震にかかわる仕事がしたいと思うようになりました」
――昭和電線HDへの入社のきっかけは。
「大学の研究室の先輩から紹介してもらいました。当時は昭和電線CSに吸収合併される前で、昭和電線デバイステクノロジーという会社でした。会社が設立された初期の頃から『防振ゴム』の開発・販売を手掛け、それから発展した免震技術でも長年のノウハウを持つ企業というところがポイントでした。新卒採用で受験し、内定がもらえたので入社しました」
――これまでの仕事について。
「入社後は免震制振部の技術課に配属され、免震部材関連の製品の設計をはじめ、国土交通省の大臣認定を受けるための実験や申請にかかわってきました。積層ゴムや弾性すべり支承などが該当します。14年からは振動解析を基にした免震部材の提案も担当し、現在は2つの業務を兼務している状況です」
――一級建築士の資格を持っている。
「13年に取得しました。資格を仕事に生かしたい思いがあったのが理由です。難易度が高いため、なかなか受からず、一度あきらめた時期もありました。そんな中、社内に二級建築士の資格を持っている人がいることを知り、建築学科出身でありながら資格を持たないことへの後ろめたさなどから再挑戦を決め、取得に至りました。免震部材の提案は資格を取得してからの業務になります。それまで引き合いがなかった需要家にも製品をPRできるようになり、やりがいを感じています」
――印象に残っている出来事は。
「11年に発生した東日本大震災です。本来であれば地震が発生せず、免震部材といった製品を使わないことが一番いいのですが、日本にいる限りは避けられません。被災地で当社の製品を採用する建物がいくつかあり、免震構造のおかげで人命が救われたといった話を聞きました。自らも携わる製品が少しでも被害の軽減につながったのであればよかったと思っています」
――女性活躍推進PJのメンバーも兼任している。
「啓発チームの一人として社外向けを対象としたPR活動などに取り組んでいます。女性社員が少ない理由の一つに、当社に対する一般ユーザーの認知度の低さが影響していると思っています。女性が働きやすい環境に向けた制度も整いつつありますので、夏に当社で開催した理工チャレンジ(リコチャレ)といったような外部向けのイベントに合わせて、社内の取り組みを外部に発信できればと考えています」
――働きやすい環境には社員一人一人の協力が必要だ。
「社内の制度を変えていくなど、女性が活躍できる環境を作るためには男性社員の協力が必要ですし、そういった環境になることは男性社員にとっても重要なことだと思っています。女性活躍推進PJという名称ではありますが、女性に限らず、従業員全員が働きやすい環境を目指していきたいです」
――今後の目標を。
「建設業界で建物の着工が減っていることに加え、免震は部材が追加されることで費用が高くなるため、最終的に耐震構造にされてしまう傾向があります。また過去には免震業界の一部のメーカーで不正が行われるなど、信頼が損なわれた時期がありました。一方で免震構造を採用していたことで被害が軽減された例もあるので、信頼の回復に努めるとともに免震部材の普及に取り組んでいきたいです」
――この夏、新しい家族が増えた。
「8月にチワワとミニチュアダックスのミックス犬を1匹飼い始めました。夫の実家で犬を飼っていて、2人でずっと飼いたいと言っていたんです。機会があれば旅行に連れて行ってみたいですね」
(松田 元樹)
非鉄業界で活躍する女性をはじめとした多様な人材、未来を担う人材を、随時紹介していきます。
――大学時代の過ごし方を。
「建築学科を専攻し、設計やデザインなど建築全般を学びました。日本は地震が多いので地震に強い建物などの研究ができればと思い、防災関係をメインに手掛ける研究室に所属してからは地震被害や地盤振動の調査にも取り組みました」
――現在の職務に就こうと考えた理由。
「2004年に発生した新潟県中越地震の被害調査に同行したのがきっかけでした。震源に近いところでも免震を採用しているかいないかで被害が異なる状況を目の当たりにし、免震にかかわる仕事がしたいと思うようになりました」
――昭和電線HDへの入社のきっかけは。
「大学の研究室の先輩から紹介してもらいました。当時は昭和電線CSに吸収合併される前で、昭和電線デバイステクノロジーという会社でした。会社が設立された初期の頃から『防振ゴム』の開発・販売を手掛け、それから発展した免震技術でも長年のノウハウを持つ企業というところがポイントでした。新卒採用で受験し、内定がもらえたので入社しました」
――これまでの仕事について。
「入社後は免震制振部の技術課に配属され、免震部材関連の製品の設計をはじめ、国土交通省の大臣認定を受けるための実験や申請にかかわってきました。積層ゴムや弾性すべり支承などが該当します。14年からは振動解析を基にした免震部材の提案も担当し、現在は2つの業務を兼務している状況です」
――一級建築士の資格を持っている。
「13年に取得しました。資格を仕事に生かしたい思いがあったのが理由です。難易度が高いため、なかなか受からず、一度あきらめた時期もありました。そんな中、社内に二級建築士の資格を持っている人がいることを知り、建築学科出身でありながら資格を持たないことへの後ろめたさなどから再挑戦を決め、取得に至りました。免震部材の提案は資格を取得してからの業務になります。それまで引き合いがなかった需要家にも製品をPRできるようになり、やりがいを感じています」
――印象に残っている出来事は。
「11年に発生した東日本大震災です。本来であれば地震が発生せず、免震部材といった製品を使わないことが一番いいのですが、日本にいる限りは避けられません。被災地で当社の製品を採用する建物がいくつかあり、免震構造のおかげで人命が救われたといった話を聞きました。自らも携わる製品が少しでも被害の軽減につながったのであればよかったと思っています」
――女性活躍推進PJのメンバーも兼任している。
「啓発チームの一人として社外向けを対象としたPR活動などに取り組んでいます。女性社員が少ない理由の一つに、当社に対する一般ユーザーの認知度の低さが影響していると思っています。女性が働きやすい環境に向けた制度も整いつつありますので、夏に当社で開催した理工チャレンジ(リコチャレ)といったような外部向けのイベントに合わせて、社内の取り組みを外部に発信できればと考えています」
――働きやすい環境には社員一人一人の協力が必要だ。
「社内の制度を変えていくなど、女性が活躍できる環境を作るためには男性社員の協力が必要ですし、そういった環境になることは男性社員にとっても重要なことだと思っています。女性活躍推進PJという名称ではありますが、女性に限らず、従業員全員が働きやすい環境を目指していきたいです」
――今後の目標を。
「建設業界で建物の着工が減っていることに加え、免震は部材が追加されることで費用が高くなるため、最終的に耐震構造にされてしまう傾向があります。また過去には免震業界の一部のメーカーで不正が行われるなど、信頼が損なわれた時期がありました。一方で免震構造を採用していたことで被害が軽減された例もあるので、信頼の回復に努めるとともに免震部材の普及に取り組んでいきたいです」
――この夏、新しい家族が増えた。
「8月にチワワとミニチュアダックスのミックス犬を1匹飼い始めました。夫の実家で犬を飼っていて、2人でずっと飼いたいと言っていたんです。機会があれば旅行に連れて行ってみたいですね」
(松田 元樹)
非鉄業界で活躍する女性をはじめとした多様な人材、未来を担う人材を、随時紹介していきます。
スポンサーリンク