2012年9月6日

昭和電工、温暖化ガス分解装置を開発 乾式ハイブリッドで高効率

 昭和電工は5日、温暖化ガス分解装置「HB―3000」を開発したと発表した。水処理工程が要らない乾式のハイブリッドシステムを採用しており、処理能力の増加に加えてランニングコストも削減できる。2012年中に液晶や半導体業界向けなどに販売を開始し、15年には排ガス処理装置全体で年間30億円の売り上げを目指す。

 液晶パネルや半導体のエッチング工程で使うPFC(パーフルオロカーボン)は、地球温暖化係数の高い温室効果ガス。使用した後の排出時には、分解処理する必要がある。分解方法には化学反応方式と触媒方式があるが、今回開発した製品はハイブリッドシステムを採用し、両方式の利点を融合した。

 化学反応方式は排水処理が要らず、二酸化炭素排出量が少ないのが特長。ただしPFCの分解とその時に発生するフッ素の固定を同時に行う高性能の反応剤を使うため、ランニングコストがかかる。反応剤の充填容器の容量制限で、処理できる排ガス量も毎分200リットル程度までに限られる。

 触媒方式はPFCを触媒分解し、分解生成したフッ素分を水に吸収させるシステム。ランニングコストが安く大型化による大量の排ガス処理が可能になるが、排水などの後処理が必要という。

 開発した製品は、フッ素の除去工程を安価なカルシウム系の反応剤を使い乾式化することに成功した。

 反応剤を直接装置に自動供給・排出するため、充填容器の容量制限がなくなり、毎分3500リットルという従来の大型の触媒方式と同等の排ガス処理能力を保った。後処理工程が要らないために、20フィートコンテナに収まる省設計を実現した。

 また化学反応方式と比べた反応剤にかかるランニングコストや、触媒方式と比べた水処理コストを削減できる。除害後に発生するフッ化カルシウムを、合成蛍石として再利用することもできる。