2021年5月12日

神戸製鋼 新中計 23年度ROIC5%超 DX強化に450億円 粗鋼630万トンで安定収益

神戸製鋼所は11日、3カ年(2021―23年度)の中期経営計画を策定・始動したと発表した。「KOBELCOグループ中期経営計画」は鉄鋼業界の構造的問題、コロナ禍を契機とした産業構造変化に加え、カーボンニュートラルの実現にむけた社会変革の動きがグローバルな潮流になる中、「安定収益基盤の確立」と「カーボンニュートラルへの挑戦」を最優先課題に掲げ、最終の2023年度でROIC(投下資本利益率)5%以上の収益レベルを確保し、将来的には8%以上を目指す。

重点施策として、長期的に内需減少が進む中、粗鋼生産量630万トン前提で安定収益を確保できる体制を構築する。電力事業は神戸1・2号機、真岡1・2号機の安定稼働に加えて、神戸3・4号機の営業運転を開始し、23年度から年間400億円程度の収益を確保。合理化で鋳鍛鋼とチタン、クレーンの不採算3事業を21―22年度にかけて黒字化を図る。自動車軽量化に係る戦略投資は早期収益貢献を実現する。

機械事業とエンジニアリング事業は、CO2削減をはじめとする環境貢献メニューを拡充し、グループ内連携を促進。建設機械事業は建設業界の働き方変革などソリューションを提供する「コト」ビジネスを収益化するほか、建設機械周辺ビジネスの事業化を進める。

新中計期間中は新規設備投資・投融資を厳選し、投資キャッシュフローを営業キャッシュフローの範囲内として、意思決定ベースの設備投資は年間1000億円レベルに抑制する。23年度末にはD/Eレシオ0・7倍以下を目指す。21年度及び22年度の配当性向は現行の15―25%を継続し、23年度以降は引き上げを含めて見直す。

一方、経営基盤強化として、経営体制を見直すとともに、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を推進する。4月にICT・AI分野の技術開発・事業適用を強化・加速するため、「デジタルイノベーション技術センター」を新設。また、グループのDX戦略を統括的に立案・実行する「DX戦略委員会」を設置しており、21年度から3カ年で450億円規模のIT設備投資を進める。

このほか、多様な人材の活躍をより一層推進するため、人事制度変革や人材育成強化、ダイバーシティ&インクルージョン、働き方変革にも取り組む。

50年に炭素中立目指す 多様な技術融合 強みに

神戸製鋼所は11日、二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロのカーボンニュートラルを2050年に目指す方針を発表した。「グループが大きく変わるチャンス」(山口貢社長)として取り組む。独自技術を開発し、外部の革新技術を活用。新鉄源のミドレックス、EVへの素材供給などを通じて社会全体のCO2削減に貢献する多様な技術融合が可能な強みを生かし、関連需要拡大を収益に取り込む。

30年の目標は生産プロセスのCO2排出を13年度比30―40%減とした。従来のBAU(対策を打たなかった場合)を変更し、独自ソリューション活用拡大を加味。技術・製品・サービスによるCO2排出削減貢献を30年6100万トン、うちミドレックス4500万トン以上、50年ビジョンを1億トン以上とした。

製鉄プロセスでは省エネ、スクラップ活用拡大、AI操炉など既存技術と部分水素還元などの革新技術に加え、独自のホット・ブリケット・アイアン(HBI)の高炉大量投入技術で差別化する。電炉の高級鋼製造も検討する。

鋼材、アルミ、鉄粉、チタンなど素材で自動車軽量化ニーズに対応。部門間連携でグループ総合力を発揮する。ミドレックスは水素還元製鉄への挑戦、電力ではバイオマス燃料、アンモニア混焼などの取り組みを強化する。

神戸製鋼所 山口社長 攻めと守り両面から

「新型コロナウイルス禍を契機とした産業構造の変化、カーボンニュートラルに向けた社会変革は重要な経営課題であり、攻めと守りの両面から取り組む」。神戸製鋼所の山口貢社長は中期経営計画に臨む決意を11日の会見で語った。

▽…「安定収益基盤の確立とカーボンニュートラルへの挑戦が最重要課題。変革をチャンスと捉え、鋼材事業の収益基盤強化や新規電力プロジェクトの安定稼働、戦略投資を進め、将来的にROIC8%以上を安定的に確保する」と収益性の向上に向かう。

▽…「粗鋼生産630万トンで安定収益を確保し、600万トンで黒字が確保できる体制を構築する。固定費、変動費を削減し、高付加価値品の比率を足元の45%から25年度に52%に引き上げる」と体質強化策に注力。

▽…「カーボンニュートラル実現を踏まえ、将来の上工程設備のあり方について検討を始める」。還元鉄の利用など独自技術を生かし、成長軌道への回帰を目指す。(植)

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