2021年10月6日

鉄鋼業界で働く/女性IT職編 インタビュー/「サポートのプロ」目指す

JFE商事甲南スチールセンター(本社=神戸市東灘区、石﨑順社長)で、社内や工場で起きたシステムトラブルの対応に奔走する女性がいる。業務部の富永祐美さんだ。当初はパソコンのセットアップも未経験だったが、勉強を重ね、現在ではさまざまなサポートを担当。初めて同社の総合職採用で入社した女性社員であり、常に明るく社内の愛され者と評判の富永さんに、入社の経緯や業務内容、鉄鋼業界について感じていることを聞いた。

――中途入社と伺いました。

「武庫川女子大学を卒業後、ゼミの教授に誘われて大学に残り、教務助手をしていました。学生に配布するレジュメの印刷、授業のサポート、学生に分からない部分を教えてあげるための予習など、業務は多岐にわたります。任期が5年と定められていたので、任期満了を経て転職活動を始めました」

――当初は事務希望だったとか。

「事務希望で転職エージェントに相談し、複数の企業を受ける中、こんな会社があるよと薦められたのがJFE商事甲南スチールセンターでした。ただ、事務ではなく業務部の募集でして(笑)。大学でパソコンのワードなどを使った程度の一般人レベルなので不安でしたが、社内の不具合をシステム業者に伝える仕事だと聞き、『教務部と教授の橋渡しを行う教務助手と近いものがある』と感じ応募しました」

――入社試験の思い出は。

「女子大出身、女子大勤務だったので、まず面接官の男性3人が強く印象に残りました。全然違う世界に来たなと。また面接後に工場見学があり、初めて鉄鋼業界の現場を目の当たりにしました。鉄のコイルが沢山あって、ものすごく大きな機械音が鳴り響き、従業員のみなさんはヘルメットにゴーグルを装着して顔が見えない状態。『え! なにこれ!』と驚きの連続でした」

――初の総合職採用の女性として入社した。

「当時は営業部門の勤務地が別の場所にあったため、本社は工場も含めると約50人中5人しか女性がいない環境でした。男性ばかりの職場で働くのは初めてで、最初は男性と話すこともできませんでした。担当する仕事内容において、女性の採用にネガティブな反応があったと聞き不安になることもありましたが、話しやすい方もたくさんいて、3カ月もすると男性とも普通に話せるようになりました」

――現在の仕事内容を。

「主にパソコン関係の仕事です。システムエラーなどの不具合が発生した場合、他のシステムも立て続けにダウンしてしまう可能性があるためすぐに対処します。オフィスでのトラブルはもちろん、工場からも報告を受けたらすぐにヘルメットを被って駆け付け、対応にあたります。そのため常日頃から作業着を着用しているんですよ。プリンターや検査表、アクセスポイントなどシステムトラブルの内容はさまざまで、全然ない時期もあれば、1日に何回も発生することもありますね。昨春から総務部で経理業務も手伝っています」

――システムトラブルとは。

「例えば『ハンディタイプのバーコードリーダーの電波が悪く、アンテナが立たない』という報告が来た場合、バーコードリーダーとパソコンのどちらかに不具合が起きているので、工場へ確認に行きます。作業用のアプリが落ちている可能性もありますし、バーコードリーダー側に問題があるかもしれません。その場合は電源をいったん切って再起動し、設定項目を確認しますね」

――大変なことは。

「10年以上経験のある前任者が異動され、入社から半年ほどで1人になったので、不安で最初は分からないことの連続でした。『検査表が出ない』という報告が来ても、何の検査表なのか、何をして出てこなくなったのか分かりません。内線で何を聞いたらいいかも分からず、ただただ戸惑っていました。そんな自分に対し、すごく悔しくなり、同時に社内の皆さんに迷惑を掛けたくないと思いました。とにかく仕事はすぐに動こう、分からないことはすぐに上司か製造部に聞いてとにかくまず挑戦してみよう、という姿勢へ変わっていきました」

――やりがいは。

「日常業務でシステムが次々とダウンしてしたり、あちこちからトラブルの内線が来たり、プログラムを立て直してもまた落ちてしまったり…と大変なことの連続ですが、直属の上司に『ようやったな』と褒めていただいたり、トラブル解決後に工場の従業員から『おつかれさん!』『大変やったやろ!』と明るく声を掛けてもらったりすることで、見ていてくれる人がいるんだとうれしくなります」

――鉄鋼業界に女性が増えてほしいと思いますか。

「増えてほしいですね。鉄は男性のイメージがありますし、鉄鋼業界が求人を出しても女性からの応募は来ない印象です。でも、事務など女性がいることで柔らかく対応できることもあると思うし、男性の多い鉄鋼業界に女性がもっと入ることで、業界の雰囲気が和らぐ部分もあるんじゃないでしょうか」

――今後の目標を。

「何を聞かれても解決できるような、サポートのプロフェッショナルになりたいです。みんなの役に立てるよう、今後も勉強を続けていきます」(芦田 彩)

鉄鋼業界で活躍する女性をはじめとした多様な人材、未来を担う人材を、随時紹介していきます。



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