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2024.11.29
2021年12月17日
条鋼/盛り上がり欠く形鋼需要/異形棒 原料価格下落で様子見
形鋼市場は盛り上がりを欠く秋の需要が冬場もほぼ同水準を保つ見方が大勢だ。首都圏は大型物件の計画が相次ぎ、中小物件も低調ながら徐々に出件が持ち直すとみられている。とりわけH形鋼はメーカーの生産に制限があり、需給はメーカーロール、市中ともタイトな状況が年明け以降も続く見通しだ。
足元の市況は店売り向けベースサイズでH形鋼がトン11万円。一般形鋼(溝形鋼・等辺山形鋼)は12月に2000円方上がり、11万円台に乗った。流通各社がメーカーの値上げを転嫁しようと唱えを上げ続け、秋に価格帯が一段上昇。足元横ばいながら基調は強いままだ。
日本製鉄によると形鋼流通で構成する「ときわ会」の11月の日当たり出庫は前月比2・9%増えており、荷動きは一定量を維持している。入庫が減り、在庫の水準は今年前半に比べ低い水準にとどまっている。鉄骨加工業者の受注はなお堅調。メーカーの生産動向は変わらず、需給はさらに締まる可能性がある。
◇ ◇
「ゼネコンやデベロッパーは様子を見るだろう」(商社筋)。鉄スクラップ価格が下落したことで需要家は買いに慎重になり、大きく上がった異形棒鋼の価格の下げを待つ。
首都圏のマンション建築戸数は10月に前年同月比15%減と3カ月連続減少した。足元は1―2月の納期で必要な材料の手当てのみで本格的な商談は見られない。東京近郊でマンション案件が一部見られるが物件は少なく、1―3月期に需要が活気づく気配はない。
「需要が出たとしても関東メーカーの余剰能力は埋まらず、需給はタイトにならない」(同)。それでもメーカーに販売価格を下げて量を取る動きは見られない。副資材や輸送費などが軒並み上がる一方で出荷単価の上りは鈍く、赤字が続いているためだ。
市況はトン9万3000円で綱引きだが、「メーカーは販価を下げられず、流通は価格を上げなければならない」(同)。メーカー販価の9万5000円を目指す状況が続く。
鋼管/需要堅調、上げ基調続く/流通、マージン確保急務
鋼管の1―3月需給バランスは均衡を保ったまま推移しそうだ。下期以降の挽回生産が伝えられていた自動車は足元で再び計画通りの生産体制に戻れるかは不透明。自動車メーカー各社の挽回生産に備え、在庫や人の確保を進めてきた部品サプライヤーからは、足元の生産計画のブレに身構え楽観論は聞かれない。一方、建設機械は絶好調を維持しており、関連部材を加工する流通大手などは設備増強に注力する。首都圏再開発による大型建築向けや国土強靭化に関連した土木関連向けも数量ベースで前年比増と右肩上がりで推移しており、需要は総じて堅調さが続く。供給面では高炉メーカー、熔協メーカーともに底堅い生産水準を維持する見通し。
全国鋼管製造協同組合連合会がまとめた生産数量は6月以降、11月まで一進一退で推移してきたが、減少月における数量を比較したトレンドでは微増傾向にある。同組合に加盟する引抜鋼管メーカーは自動車用途が圧倒的に多く、次いで建機、工作機械などと続く。直近11月実績は2019年11月の数量を上回った。
建築では中小鉄骨造(着工床面積2000平方メートル未満)、大規模鉄骨造(同1万平方メートル以上)、中規模鉄骨造(同2000―1万平方メートル以上)とも鉄骨需要量(国交省建築着工統計から推計)は増加しており、S造は総じて好調を維持。データセンターや物流倉庫を中心に病院、小売業向けなどに鋼管(配管)需要が見込まれる。
鋼管を取り扱う流通では仕入れ価格の高騰に対する再販売価格の引き上げが経営課題となっている。黒ガス管、STK(一般構造用鋼管)とも市況はトン当たり4万―5万円上昇したが、日鉄鋼管などの大手メーカーが値上げした幅は20年度下期からの累計で7万円以上となっており、売値が仕入れ値に追いついていないのが現状だ。ある扱い筋は「納期が遅れており、製品と一定マージンの確保が急務」と話す。店売りマーケットでは年明け以降も上げ基調が続く。
形鋼市場は盛り上がりを欠く秋の需要が冬場もほぼ同水準を保つ見方が大勢だ。首都圏は大型物件の計画が相次ぎ、中小物件も低調ながら徐々に出件が持ち直すとみられている。とりわけH形鋼はメーカーの生産に制限があり、需給はメーカーロール、市中ともタイトな状況が年明け以降も続く見通しだ。
足元の市況は店売り向けベースサイズでH形鋼がトン11万円。一般形鋼(溝形鋼・等辺山形鋼)は12月に2000円方上がり、11万円台に乗った。流通各社がメーカーの値上げを転嫁しようと唱えを上げ続け、秋に価格帯が一段上昇。足元横ばいながら基調は強いままだ。
日本製鉄によると形鋼流通で構成する「ときわ会」の11月の日当たり出庫は前月比2・9%増えており、荷動きは一定量を維持している。入庫が減り、在庫の水準は今年前半に比べ低い水準にとどまっている。鉄骨加工業者の受注はなお堅調。メーカーの生産動向は変わらず、需給はさらに締まる可能性がある。
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「ゼネコンやデベロッパーは様子を見るだろう」(商社筋)。鉄スクラップ価格が下落したことで需要家は買いに慎重になり、大きく上がった異形棒鋼の価格の下げを待つ。
首都圏のマンション建築戸数は10月に前年同月比15%減と3カ月連続減少した。足元は1―2月の納期で必要な材料の手当てのみで本格的な商談は見られない。東京近郊でマンション案件が一部見られるが物件は少なく、1―3月期に需要が活気づく気配はない。
「需要が出たとしても関東メーカーの余剰能力は埋まらず、需給はタイトにならない」(同)。それでもメーカーに販売価格を下げて量を取る動きは見られない。副資材や輸送費などが軒並み上がる一方で出荷単価の上りは鈍く、赤字が続いているためだ。
市況はトン9万3000円で綱引きだが、「メーカーは販価を下げられず、流通は価格を上げなければならない」(同)。メーカー販価の9万5000円を目指す状況が続く。
鋼管/需要堅調、上げ基調続く/流通、マージン確保急務
鋼管の1―3月需給バランスは均衡を保ったまま推移しそうだ。下期以降の挽回生産が伝えられていた自動車は足元で再び計画通りの生産体制に戻れるかは不透明。自動車メーカー各社の挽回生産に備え、在庫や人の確保を進めてきた部品サプライヤーからは、足元の生産計画のブレに身構え楽観論は聞かれない。一方、建設機械は絶好調を維持しており、関連部材を加工する流通大手などは設備増強に注力する。首都圏再開発による大型建築向けや国土強靭化に関連した土木関連向けも数量ベースで前年比増と右肩上がりで推移しており、需要は総じて堅調さが続く。供給面では高炉メーカー、熔協メーカーともに底堅い生産水準を維持する見通し。
全国鋼管製造協同組合連合会がまとめた生産数量は6月以降、11月まで一進一退で推移してきたが、減少月における数量を比較したトレンドでは微増傾向にある。同組合に加盟する引抜鋼管メーカーは自動車用途が圧倒的に多く、次いで建機、工作機械などと続く。直近11月実績は2019年11月の数量を上回った。
建築では中小鉄骨造(着工床面積2000平方メートル未満)、大規模鉄骨造(同1万平方メートル以上)、中規模鉄骨造(同2000―1万平方メートル以上)とも鉄骨需要量(国交省建築着工統計から推計)は増加しており、S造は総じて好調を維持。データセンターや物流倉庫を中心に病院、小売業向けなどに鋼管(配管)需要が見込まれる。
鋼管を取り扱う流通では仕入れ価格の高騰に対する再販売価格の引き上げが経営課題となっている。黒ガス管、STK(一般構造用鋼管)とも市況はトン当たり4万―5万円上昇したが、日鉄鋼管などの大手メーカーが値上げした幅は20年度下期からの累計で7万円以上となっており、売値が仕入れ値に追いついていないのが現状だ。ある扱い筋は「納期が遅れており、製品と一定マージンの確保が急務」と話す。店売りマーケットでは年明け以降も上げ基調が続く。
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