2022年7月13日

鉄鋼業界で働く/女性現業職編/インタビュー/汗かき働く姿に憧れ

JFEスチール西日本製鉄所(倉敷地区)では、現業職の女性がさまざまな工場で働いている。鋼片工場では、2015年入社の成相瑠華(なりあい・るか)さんが唯一の女性社員として活躍。工業高校での経験から鉄鋼業界を志した。入社までの経緯や業務内容、今後の目標などについて聞いた。

――入社までの経緯を。

「中学時代、技術の科目が一番好きで、工業高校に進学しました。父親が運送など現場に関わる仕事をしていることもあり、家政科などよりは工業関連に興味があったのも関係していると思います。高校では電子機械科だったのですが、金属に触れる機会がとても多く、鉄鋼業界に興味を持つようになりました。工場で働くとなると親が不安がるのではと心配していましたが、岡山県出身の私にとって身近なJFEスチールであれば、地元ですし寮もあるので、安心してくれるのではと思いましたね」

――決め手は。

「高校3年の夏に西日本製鉄所(倉敷地区)を見学させていただきました。上工程から下工程まで回り、汗をかきながら働く現場の方々を見て『かっこいい!』と思ったんです。私もこんなふうに働きたい、と。また大きな設備を動かす仕事という点にも惹かれました」

――入社後は。

「新入社員研修時の見学で、初めて鋼片工場へ入りました。鉄を伸ばす作業をしていて、やりがいがあって楽しそうだと感じましたね。配属先の第一希望にし、希望通りに配属されました。現在鋼片工場は社員が47人いて、女性は私1人です」

――業務内容を。

「主に2つのポジションを担当しています。VHミルで鉄を伸ばす作業と、VHホットソーで仕上げられた鉄を切断する作業です。どちらも1人で行うものですね。丸棒や角棒など、さまざまな材質、サイズ、規格の鉄が次から次へと高熱のまま流れてきます。瞬時の判断が必要となり、大きな責任がある仕事です。それぞれの鉄に合った伸ばし方を考えることにやりがいを感じます」



――大変なことは。

「VHホットソーでは重量物を扱うことが多いです。製品の径を確認するサンプルを取るために、直系90―260ミリ、重さ15キロ前後の鉄を、安全を考慮した火箸でつかんで移動させます。しっかり腰を入れて持たないと落下などの原因にもなるので、とても気をつけていますね。VHホットソーは基本的に自動なのですが、場合によっては手動での作業が必要です。過去に自分の確認不足で、必要な数値を見逃して作業し、ミスをしたことがありました。ミスをしてから、作業ごとに一呼吸置くことの大切さを学びました。次から次へと鉄が来ても、一呼吸することで頭の整理ができます」

――入社後のギャップを。

「高校3年生の時は、見学範囲が限られていました。入社してから初めて製鉄所内の全工場を見て、扱っているものが多様でびっくりしたのを覚えています。溶けている鉄もあれば、固まっている鉄、冷えている鉄も…。形も厚みも工場によってバラバラです。鉄イコール熱いイメージだったので、勉強になりました」

――食堂の整備もされたとか。

「鋼片工場の操作室内に簡易的な食事スペースがあったのですが、工場のラインが丸見えで、気持ち的に休めない印象を受けたんです。2年目の時に、もっと休まる場所に変えようと決心。食事スペース部分の壁を優しいピンク色に塗り替え、机にランチョンマットを席数分用意しました。これまでは土足でしたが、カーペットを敷いてスリッパに履き替えるスタイルに変更。ラインが見えないようにパーテーションも設置し、少しでも切り替える時間が作れるよう工夫しました。3カ月ほどかかったのですが、『やりたいようにしていいよ』と仰ってくださった上司、塗装などを手伝ってくださった先輩方のおかげで無事完成しました」

――女性ならではの気付きかもしれません。

「現在は製鉄所内の他工場でも食堂を整備する動きが広がっていると聞いており、うれしく思います」

――女性が働くことについて。

「西日本製鉄所(倉敷地区)では12年から現業職の女性社員を積極的に採用し始めました。結婚や出産などライフイベントに関する制度は整っているのですが、鋼片工場では他に女性社員がいないため前例がなく、個人的に将来子育てなどと両立できるか気になりますね」

――鉄鋼業界に女性が増えてほしいか。

「増えてほしいです。JFEスチールは女性社員のことをとても考えてくれていて、上司にも困ったことを伝えると解決に向けて動いてくれます。製鉄所は大変な仕事も多いけど、ぜひ来てほしいですね。昔は人気だったのに、現代の若者はなかなか鉄鋼業界に目を向けない印象があります。汚い、暑いという先入観を持たれがちですが、そういったものが払しょくできたらなと思っていますね。ちなみに現業職の同期社員のうち13人は女性なんですよ。みんな工場が違うので業務中の接点はないですが、一人暮らしをするまでは、寮の廊下や洗濯場で『元気?』と声を掛け合っていました」

――今後の展望を。

「鋼片工場内で未経験のポジションが3つあるので、いずれそちらもこなせるようになりたいです。また、危険物取扱者や消防設備士など、工場で生かせる国家資格を取りたいと思っています」

(芦田 彩)

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