2022年9月14日

鉄鋼業界で働く/女性営業職・室長編/インタビュー(上)/大きな業界、責任重く

JFE商事広島支店では、自動車鋼材本部西部自動車鋼材部広島自動車鋼材室で佐藤めぐ美さんが室長を務めている。2002年に入社後、一般職から総合職へ転換。同社の営業部門で初の女性室長となった。入社の経緯やこれまでの業務内容などについて聞いた。

――入社までは。

「大学時代は人文学部日本文化学科で日本思想を主に学んでいました。卒業論文は明治時代に結成された青踏社について研究。平塚らいてうなど、女性に焦点を当てたものでした。閉ざされた社会で活躍された女性ってすごいなと思いまして。就職活動では鉄鋼にこだわらず商社を志望しており、総合職の営業を目指し、メーカーなども受けていました」

――一般職で内定を。

「当時はまだ総合職の女性が少ない上に就職氷河期。なかなかうまくいかず、就活をいったんやり直すことにしました。大学の就職課でJFE商事の一般職の求人を発見。当時は一般職から上級一般職への昇級制度があると会社説明会で聞き、興味を持ちましたね。面接官の人柄が良く、印象が良いとも感じました。鉄を中心に、自動車関連など身近なものを扱いたいと思ったのも入社したきっかけの一つです」

――入社後は。

「本社の東部自動車鋼材室で、自動車メーカーや部品メーカーへの自動車用鋼板のデリバリー、事務処理といった営業アシスタントを担当しました。入社前は淡々とパソコンで事務処理をする印象でしたが、実際はお客さまの生産変動に合わせて供給を確保するため、鉄鋼メーカーの工程担当や物流担当の方々と調整を行ったり、現場に行ったり大変でしたね。苦労しましたが、仕入れ先や物流メーカーと粘り強く折衝し、信頼を得て関係構築する楽しさも感じました」

――失敗から学んだ。

「入社3年目の時に、デリバリーでミスをしました。月間使用量100キロの極小ロットを欠品させそうになったんです。お客さまや鉄鋼メーカーの方、上司、近隣部署といったたくさんの方に助けられ、何とか供給をつなぐことができました。自分が携わっている業界がいかに大きく、責任の重い業務であるか知るとともに、やりがいを感じましたね」

――総合職へ。

「当時は鋼材供給危機もあり、総合職が毎日多忙な中、一般職として総合職の負担を軽減するため自主的に職務拡大に努めました。取り組むうちに、私もよりお客さまの近くで仕事がしたいと思い、総合職への転換制度ができた08年度に希望を出しました。上司の推薦や試験、面接などを経て、09年4月から同部署で総合職のキャリアを歩み始めました」

――苦労したことを。

「当初は総合職の先輩とともに自動車メーカーを担当しました。ちょうどコイルセンターの加工先移管があり、移管業務とシステム構築に携わりました。各方面との連携やIT知識が必要な難しい業務でしたが、システム関連に強くなり今も重要なスキルとなっています。また同じ部署内で一般職から総合職に転換したので認識はしていましたが、前面に立って交渉するのが想像以上に大変で苦労しましたね。鋼材をはじめ深く広い知識が必要で、お客さまの知識に付いていけず話が合わないんです。先輩方や鉄鋼メーカーの方々に専門知識を教えていただきながら、皆さんに育ててもらいました」

――女性として困ったことは。

「ひも付きの営業なので、皆さん会社対会社という形で見てくださいます。自動車メーカーなどの購買部門には女性もいらっしゃるので、女性だから苦労したという点はありませんでしたね。でももしかしたら、お客さまからすれば頼みにくいことがあったかもしれません。クレームが出たら『すぐに引き取りに来てください!』と男性なら言えるけど女性には言いにくいな、とか。そう思わせないよう、積極的に工場に通い関係構築に努めましたね」

――良かったことを。

「ある自動車メーカーを主担当として任されることになった時、新規車種の立ち上げなどがない、はざまの時期でした。時間を有効活用できる今のうちにできることを考え、コスト低減や業務改善、業務負荷低減など、双方向でメリットが出せる仕組みづくりに注力しました。一般職時代の経験も生かせたのではと感じています。地味な活動かもしれませんが、自分の存在意義を認めていただけたように思いましたね。また自動車部門だと価格交渉を商社が行うことは少ないのですが、樹脂の受注関連で価格を見直す機会がありました。仕入れ先に何度も足を運び、過去の経緯などを確認・議論し、お客さまに受け入れてもらえるよう交渉を続け認めていただきました。その後も変わらず良好な関係を築くことができ、自信につながりましたね」(芦田 彩)



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