JX金属の基礎材料事業本部金属・リサイクル事業部で働く三山優さんは、サステナブルな社会づくりに貢献できる現在の仕事にやりがいを感じている。2023年までの海外駐在では夫を帯同するという、同社で初めての事例も経験した。三山さんにこれまでの経験や仕事に対する思いを聞いた。
――JX金属に入社したのは。
「上智大学で教育政策などを学び、国際学力テストで上位に名を連ねる北欧の国々に関心を持ちました。それで10―11年に交換留学でノルウェーのオスロ大学に通ったのですが、北欧社会ですでに『持続可能性』という考え方が浸透していることに興味がわきました。また、海外に住んでみて日本のものづくりへの評価を感じることも多く、就職活動では『製造業』と『持続可能性』という2つの軸で会社を探し、リサイクルを長く手掛けてきたJX金属に巡り合いました」
――最初の配属が金属リサイクル事業本部。
「13年に入社し、希望通りの部署に配属されました。会社は同年から女性総合職の採用を増やしたのですが、金属・リサイクル事業部で女性の営業職は私が最初だったようです。主にグループで生産する鉛、錫、三酸化アンチモンなどのリサイクル原料由来の製品販売を担いました。その後、Eスクラップ(廃電子基板類)などリサイクル原料の海外調達を担当。はじめは米国・カナダ、次にアジアを担当し、香港や台湾、シンガポール、タイ、インドネシアなどを回りました」
――海外との仕事はどうだった。
「特にアジア担当のときは人間関係が大事で、どうしたら信頼されるのか最初は少し苦戦しました。良いことも悪いことも直球で言われ、面食らうこともありました。ただ、付き合いを続ける中で次第に信頼を得て、一度懐に入れば濃い人間関係が築けるというのは新たな気づきでした。アジア担当の最後の方では、取引先からの紹介で、欧州でのEスクラップ集荷ビジネスを拡大しました」
――それでドイツのフランクフルト事務所に異動。
「最初はアジア担当をしながら欧州でも営業活動を並行して行っていましたが、結構な数量になってきたため現地に担当を置いても良いのでないかという話が浮上し、私に声がかかりました。駐在するとドイツだけでなく北欧やイタリア、ポーランド、スロバキアなど欧州全域を回る日々で、毎週違うところにいるような生活は体力がいりましたが、刺激的でもありました」
――駐在には旦那さんが帯同したと。
「17年に結婚して2年位のタイミングで異動が決まりました。海外駐在で男性が夫人を伴うパターンは多いと思いますが、それなら逆も良いですよねと会社に確認したところ大丈夫だとの回答。夫は鉄鋼商社に勤めていたのですが、海外勤務志向が強く、私が異動の打診を受けた時に『ついてくる?』と聞いたら、『じゃあ行こうかな』と(笑)。夫は退職し、私が赴任した3カ月後に来ました」
――夫婦での転勤は心強い。
「ただ、夫は現地で就職したローカル企業の勤務先が家から300キロメートルほども離れていたため、平日はそちらで暮らしていました。私は欧州をほぼ飛び回る生活。週末だけ一緒にいるような生活でしたね」