2026年4月13日

鉄鋼業界で働く/女性現業職編/女性の働きやすさ魅力

 金属サイディング大手のアイジー工業(本社=山形県東根市、森安弘社長)では、複数の女性が現業職として活躍している。寒河江工場(山形県寒河江市)では生産技術第3チーム塗装ラインの新目玖理(あらため・くり)さんが鋼板への塗装作業を担っている。新目さんに入社の経緯や業務内容、業界に変わってほしいことなどについて聞いた。

 ――入社の経緯を。

 「山形県内の商業高校を卒業後、2016年に入社し、事務職の経理チームに配属されました。商業系だったので事務職で求人票を見ていました。地元が寒河江で、アイジー工業の工場があることを親が知っており、入社を勧められましたね。会社見学に行くと人事の方の対応がとても良くて、『受けたい!』と思いました。3年目に退職し、憧れていたカフェ店員など他の仕事を4―5年ほど経験。アイジーで再度働きたいと思い、23年に再入社しました」

 ――再入社した。

 「主人と結婚前に同棲を開始する際、金銭的に自立したいと思いまして。他の企業も見てみましたが、アイジーはもともと働きやすさを感じていたのと福利厚生が魅力的で。また挑戦したい、働きたいと思ったんです。相談していた青木信・寒河江工場長に、『工場なら中途採用がある』と教えてもらい、職種を問わずアイジーで働くことが望みだったので応募しました」

 ――初の現業職。

 「最初は工場に対して3Kのイメージを持っていましたね。男性しかおらず、夏の工場内は機械の熱も加わり暑い。あんまり女性が入りたい仕事ではないのではと思っていました。でも、それでもアイジーは“人”が良かったから、挑戦しようと思ったんです」

 ――現在の担当を。

 「製品の塗装ラインにいます。大きなインクジェットプリンターに製品を通して色や柄を付けています。出荷後は家の壁に使われますね。レンガ柄などかわいいものもありますよ。3人で担当していて、女性は私だけです。外壁を取り付ける部材を作る業務、アンコイラーの設置業務、検査・梱包作業も担当しています。工場全体の取り組みとして、改善提案活動、自主保全活動、リスクアセスメント活動にも関わっています」

 ――楽しい瞬間は。

 「最初は見習いで、先輩社員について業務を行ったり、トラブルが発生した時に先輩社員が率先して対応しサポートに回ったりすることが多かったのですが、完全に1人で対応できるようになった時楽しいと思いましたね。また改善提案活動につながることなのですが、鋼板を送る装置があり、送る際に詰まることが時々ありました。鋼板が載る部分の幅を広げる提案をしたところ採用され、作業効率が上がったり、不良品が減少したりしたとき、面白いと思いました」

 ――大変なことを。

 「最初、女性現業職が工場にそんなにいなくて、過保護に扱われたことですね。フォークリフトの操縦を『やるから見ていていいよ』と代わってくださることなどがあって。良くないなと思って、自分から積極的に取り組むように心がけました。自然と過保護がなくなり、できる仕事も増えていきました」

 ――忘れられない思い出は。

 「1人でできる業務が増えていったころ、トラブルが発生し、上司に確認作業に行った際、上司から『任せる!』と言われたことがありました。自分の仕事を認めてもらえたようでうれしかったです」

 ――ギャップは。

 「他の会社は分からないですが、思っていたよりも女性現業職に対しての環境が整っていて、働きやすいなと。良い意味でのギャップですね。昨年には工場で働く女性現業職を集めた座談会が開催され、『子育てとの両立』など女性が働きやすくなるにはどうしたらいいか、管理職とともに議論し合う機会がありました。女性の働きやすさを真剣に会社が考えてくれていると感じます」

 ――女性が少ない中での業務について。

 「いざ工場に入ってみると、確かに男性が多かったのですが、それが私には合っていました。女性特有のいざこざがないし、先輩社員は娘や孫のように接してくださる。在籍していなかった数年間に女子トイレや更衣室、休憩室など環境が整えられ、環境も改善されていました」

 ――結婚している。

 「昨年2月に結婚しました。今は家庭と仕事を両立できており、主人も仕事に理解があります。将来いつか子供に恵まれても、仕事を続けたいですね。地元で働いているので、親に頼ることも可能です。何より仕事をもっと頑張りたい気持ちでいっぱいです」

 ――業界にどう変わってほしいか。

 「女性現業職が今以上に多様な業務に挑戦し活躍できる環境になればいいなと思っています。工場の中で、女性現業職の担当業務に偏りがあるように感じていて。できないと決めつけず、挑戦をサポートしてくれる方々が増えてくれたらうれしいですね」

 ――今後の目標を。

 「現在担当しているラインを極めて、寒河江工場初の女性のチーフ職に就きたいです。管理職まではいかないのですが、チームのまとめ役のような存在ですね。後輩社員への育成にも積極的に取り組みたいです」

(芦田 彩)





 鉄鋼業界で活躍する女性をはじめとした多様な人材、未来を担う人材を、随時紹介していきます。









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