2023年2月21日

日本製鉄、カナダ原料会社の株式取得 高炉水素還元へ高品質強粘炭を安定調達

 日本製鉄は21日、世界第2の高品質原料炭サプライヤー、加テック・リソーシズが原料炭事業をエルク・バレー・リソーシズ(EVR)として分離、上場する際に普通株式などを一部取得する契約をテック社と結んだと発表した。11億5000万カナダドル(約1100億円)で取得する。EVRから原料炭を長期で引き取る契約を結ぶことでもテック社と合意した。脱炭素化のなかで原料炭開発が滞り、供給量低下が懸念されるなか、日本製鉄は自ら権益投資を拡大、低炭素製鉄プロセスに不可欠な高品位原料炭を安定確保、連結収益の安定化にもつなげる狙い。

 EVRの普通株、優先株、ロイヤルティを各10%取得予定。EVR上場後、普通株は17・5%まで買い増すことが可能。鋼材価格とは異なる次元で原料炭コスト高が収益を圧迫するリスクが高まるなか、原料権益からの収益を拡大、連結収益を安定化させる。

 日本製鉄はカーボンニュートラル実現に向けて高炉での水素還元などの技術開発を進めている。既存高炉の水素還元で二酸化炭素(CO2)排出削減と銑鉄生産の安定性、効率性を両立させるためにはコークスの品質と強度を高める必要がある。品質の高い原料炭の安定確保がより重要になる。

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