2022年9月9日

鉄鋼業界で働く/女性営業職編/インタビュー(下)/自分で前例作りたい

塩ビライニング鋼管や都市ガス用バルブなどを製造販売する協成(本社=大阪市西区、冨川清社長)で、営業本部海外営業部の丸山千尋さんが、同社唯一の女性営業職として輸出業務などに従事している。担当している台湾は以前から女性活躍が進んでおり、現地で働く女性から得る刺激も多い。鉄鋼業界で女性が働くことについて感じること、必要と感じる変化、今後の目標などを聞いた。

――女性が働くことについて。

「台湾は共働きが主流の社会ということもあり、多くの女性が活躍しています。お客さまにも女性の担当者がたくさんおられます。女性の副部長や購買部長が価格交渉する姿を拝見すると、かっこいいなと感じますね。新型コロナウイルス感染拡大前には、旧正月の忘年会にもお招きいただき、台湾で働く現地の方々とたくさん交流する機会を得ました。日本の鉄鋼業界も女性が増えるのは大事だと思います。以前に比べると周囲の理解は広まっているのでしょうが、いまだに時々古い体質が残る業界だと感じることもあります。女性の社会進出の必要性などについて、一層理解が広がれば良いなと期待しています」

――今後、女性の後輩が入る可能性も。

「営業として、総合職の女性社員の後輩が入ってくれるとうれしいです。私が入社した際は、営業の仕事の相談ができる女性の先輩がいませんでした。後輩が入る時には、私が感じた不安などをその子に感じさせない先輩になりたいです。『私が前例を作っていきたい』という心構えでいます。結婚して子育てをする時が来たら、仕事と両立して、後輩にその姿を見せたいと思っていますね」

――鉄鋼業界にどう変わってほしいか。

「鉄鋼関連や配管関連の展示会を訪問する機会が多いのですが、皆さん同じようなダーク系のスーツ姿です。ブースを訪問しても声をかけてこられる方は少なく、受け身な姿勢だと感じます。展示会が新規開拓というより、顔見知りの担当者とのあいさつの場になっているように思いますね。印刷関連の展示会に先日行ったのですが、ブースにいる女性の方が『何かお探しですか』と積極的に声をかけてくださったり、ポロシャツを色違いで着用して参加されたり、とても明るい印象を受けました。もし自分が今就活生だったら、どっちの業界を受けたいと感じるだろう?と気になりましたね。全く違う業界の展示会を見に行くことで、新たに取り入れたらいいのではと思うアイデアがいくつもありました。一見関係がなくても、ふらっと見てくるだけでも勉強になると思います。こういった気付きを取り入れれば、業界のイメージアップになるのではないでしょうか」

――製品カタログの刷新も担当している。

「入社前に会社の製品カタログを見て、『少し時代遅れだな』と感じていたんです。今の時代に見合った製品カタログにすべきなのではと思い、社内のアイデア企画に応募しました。内容を一新するのはもちろん、電子版に変更し、ペーパーレス化することで廃棄代などの経費を削減することができます。営業統括部長がこの案に賛同してくださり、一緒にやりたいと仰ってくださいました。同部長を中心的存在とし、仲間も募っていただいて、現在カタログ内容の見直しから始めています。年度内の完成を目指し、各部署の希望も聞きながら、現代的な製品カタログを作る予定です。会社のイメージアップにもつなげたいですね。電子版のカタログをホームページにも掲載し、誰でも見られるようにすることで、就活生も目にすると思います。学生時代の私と同じ感想を持たれないものにすべく、苦戦しながらも頑張っています」

――今後の目標を。

「現在担当しているお客さまは、上司が10年以上かけて売り上げを8倍にした重要な取引先です。若手の私が任されていいのか?とプレッシャーを感じていますが、さらに売り上げを伸ばし、社内で最上位の取引先になるよう営業活動に取り組みたいですね。また違う業種への参入を目指し、新しい商材を取り扱うことも目標にしています。これまで実績がまったくない、新しいことにどんどん挑戦したいです!」

(芦田 彩)



鉄鋼業界で活躍する女性をはじめとした多様な人材、未来を担う人材を、随時紹介していきます。

スポンサーリンク