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2024.10.30
2022年11月10日
TASS 台湾・高雄から循環経済を世界へ/台湾各産業で進むCEや脱炭素の動き
■半導体産業
ASEグループ、成信実業、品日科技
TASSでは半導体産業の資源循環における世界初の試みが発表された。1Cパッケージングの世界最大手の日月光(ASE)グループから廃棄された半導体シリカ(二酸化ケイ素)を、台湾のスタートアップ企業である成信実業が高純度化、品日科技が製品化することでクローズドループリサイクルを実現する。世界的半導体企業とスタートアップ企業による今回の取り組みは、台湾内外で大きな注目を集めた。
台湾は世界有数の半導体製造国で、製造工程から発生する使用済み半導体シリカの廃棄量も世界トップクラスだが、従来は主に廃棄処分されていた。だが、今回のクローズドループリサイクルでは、使用済み半導体シリカを、再び半導体製造工程に戻せるレベルまで再資源化する取り組みを3社が連携して行う。
クローズドループリサイクルのプロセスでは台湾の名門、成功大学の博士・修士号を持つ社員を多数抱える成信実業が、ASEグループのパッケージング工程で排出された廃棄物に含まれる半導体シリカの純度を、半導体への使用に耐え得るレベルまで引き上げる。
それを原料に品日科技が、金型の剥離剤や成型コンパウンドなどに製品化し、ASEグループがそれらを再利用する循環型リサイクルシステムを構築した。今回のTASS2022では3社によるクローズドループリサイクルに関する共同発表も行われ、半導体産業の資源循環の歴史に新たな一歩を刻むこととなった。
■紡績産業
宏遠興業
紡績大手でリサイクル原料の活用に注力している。特にカキの殻やパイナップルの皮、芋の皮などを回収し、それを繊維として再利用する有機廃棄物のリサイクル事業を積極的に進めている。衣料に用いる原料に占める割合は1%程度だが、それらを添加することで防水や赤外線カット、消臭、虫よけなど様々な効果を得ることができる。
リサイクル衣料への注目度は高く、世界的な衣料メーカーなどからも引き合いが相次ぐ。同社は、自社ブランド「幸福台湾」なども確立し、環境にやさしい衣料品として台湾各地のデパートやショップ、アウトレットに店舗を設けているほか、ネット販売なども積極的に行っている。
また、焼却炉の汚泥の再利用の技術なども確立している。自社の焼却炉から排出された汚泥のカロリーになる部分は、焼却炉のエネルギーとして再利用する。最後に残った残渣はレンガなど建材に加工し、米国のグアムなどで利用するなど、その技術は紡績にとどまらない。
力麗グループ
同じく台湾紡績大手で資源循環や環境保護、再生エネルギーの活用に注力する。同グループは紡績を中心に廃水処理、レジャー、化学、物流、食品、建設、貿易、再生エネルギー、老人ホーム経営まで幅広く台湾国内で事業を展開する。多様な分野で数々の受賞歴を持ち、日本統治時代から残る文化財の保護などにも注力していることで知られる。
環境分野では同グループでも焼却炉の汚泥処理に取り組む。汚泥に含有する金属なども選別して分け、再利用が可能なものについては資源循環を徹底して行っている。また、グリーンエネルギー事業では太陽光発電の開発と運営を行い、風力発電も手掛け、グループのサステナブル経営を支えている。
益鈞環保科技
使用済みオムツのリサイクルに取り組む。
台湾樹脂大手の台湾プラスチックや政府の研究会開発機関の工業技術研究院、大学などとも連携して技術開発を推進。おむつの再資源化を実現した。
廃棄されたおむつはこれまで焼却処分されてきた。だが、同社の技術を用いることで資源として再利用が可能になる。再生プロセスでは回収後、殺菌・洗浄して破砕・分解する。その後、精製して吸水材やプラスチック、パルプの原料として再利用を図る。排水処理に用いた水も独自技術で浄化でき、環境を汚染する事なく再資源化できることが特徴だ。
■鉄鋼産業
中国鋼鉄(CSC)
台湾の鉄鋼メーカー最大手がブースを構え、資源循環や脱炭素に向けた取り組みを紹介した。2030年には18年比22%減を目標に置く。その目標に向け、添加物の投入量の抑制や燃料の天然ガスへの切り替えのほか、スクラップ材料の使用比率上昇などにも繋げていく方針を示している。また、子会社が行う太陽光発電事業なども紹介し、幅広くグリーンエネルギーの活用を推進する姿勢を示した。
ポールワークス
世界有数の製鉄プラントメーカーのSMSグループで、本社は欧州のルクセンブルクにある。グリーンスチールを全面的にアピールし、鉄鋼業界の二酸化炭素削減の動きをアピール。台湾でグリーンスチールの本格的な普及を図るサポートに取り組んでいる。
■カーボンクレジット
エンキング・インターナショナル
インドのカーボンクレジットのトレーディング企業。2008年にインドで設立し、現在では3000を超えるユーザーを抱え、40カ国以上で事業を展開。世界中の顧客に対し1億8000万のクレジットを供給する。
台湾での事業拡大を狙い「TASS2022」にブースを出展。半導体産業やリサイクル産業をターゲットに台湾での事業発展を目指す考え。将来的には日本への進出も視野に入れている。
ASEグループ、成信実業、品日科技
TASSでは半導体産業の資源循環における世界初の試みが発表された。1Cパッケージングの世界最大手の日月光(ASE)グループから廃棄された半導体シリカ(二酸化ケイ素)を、台湾のスタートアップ企業である成信実業が高純度化、品日科技が製品化することでクローズドループリサイクルを実現する。世界的半導体企業とスタートアップ企業による今回の取り組みは、台湾内外で大きな注目を集めた。
台湾は世界有数の半導体製造国で、製造工程から発生する使用済み半導体シリカの廃棄量も世界トップクラスだが、従来は主に廃棄処分されていた。だが、今回のクローズドループリサイクルでは、使用済み半導体シリカを、再び半導体製造工程に戻せるレベルまで再資源化する取り組みを3社が連携して行う。
クローズドループリサイクルのプロセスでは台湾の名門、成功大学の博士・修士号を持つ社員を多数抱える成信実業が、ASEグループのパッケージング工程で排出された廃棄物に含まれる半導体シリカの純度を、半導体への使用に耐え得るレベルまで引き上げる。
それを原料に品日科技が、金型の剥離剤や成型コンパウンドなどに製品化し、ASEグループがそれらを再利用する循環型リサイクルシステムを構築した。今回のTASS2022では3社によるクローズドループリサイクルに関する共同発表も行われ、半導体産業の資源循環の歴史に新たな一歩を刻むこととなった。
■紡績産業
宏遠興業
紡績大手でリサイクル原料の活用に注力している。特にカキの殻やパイナップルの皮、芋の皮などを回収し、それを繊維として再利用する有機廃棄物のリサイクル事業を積極的に進めている。衣料に用いる原料に占める割合は1%程度だが、それらを添加することで防水や赤外線カット、消臭、虫よけなど様々な効果を得ることができる。
リサイクル衣料への注目度は高く、世界的な衣料メーカーなどからも引き合いが相次ぐ。同社は、自社ブランド「幸福台湾」なども確立し、環境にやさしい衣料品として台湾各地のデパートやショップ、アウトレットに店舗を設けているほか、ネット販売なども積極的に行っている。
また、焼却炉の汚泥の再利用の技術なども確立している。自社の焼却炉から排出された汚泥のカロリーになる部分は、焼却炉のエネルギーとして再利用する。最後に残った残渣はレンガなど建材に加工し、米国のグアムなどで利用するなど、その技術は紡績にとどまらない。
力麗グループ
同じく台湾紡績大手で資源循環や環境保護、再生エネルギーの活用に注力する。同グループは紡績を中心に廃水処理、レジャー、化学、物流、食品、建設、貿易、再生エネルギー、老人ホーム経営まで幅広く台湾国内で事業を展開する。多様な分野で数々の受賞歴を持ち、日本統治時代から残る文化財の保護などにも注力していることで知られる。
環境分野では同グループでも焼却炉の汚泥処理に取り組む。汚泥に含有する金属なども選別して分け、再利用が可能なものについては資源循環を徹底して行っている。また、グリーンエネルギー事業では太陽光発電の開発と運営を行い、風力発電も手掛け、グループのサステナブル経営を支えている。
益鈞環保科技
使用済みオムツのリサイクルに取り組む。
台湾樹脂大手の台湾プラスチックや政府の研究会開発機関の工業技術研究院、大学などとも連携して技術開発を推進。おむつの再資源化を実現した。
廃棄されたおむつはこれまで焼却処分されてきた。だが、同社の技術を用いることで資源として再利用が可能になる。再生プロセスでは回収後、殺菌・洗浄して破砕・分解する。その後、精製して吸水材やプラスチック、パルプの原料として再利用を図る。排水処理に用いた水も独自技術で浄化でき、環境を汚染する事なく再資源化できることが特徴だ。
■鉄鋼産業
中国鋼鉄(CSC)
台湾の鉄鋼メーカー最大手がブースを構え、資源循環や脱炭素に向けた取り組みを紹介した。2030年には18年比22%減を目標に置く。その目標に向け、添加物の投入量の抑制や燃料の天然ガスへの切り替えのほか、スクラップ材料の使用比率上昇などにも繋げていく方針を示している。また、子会社が行う太陽光発電事業なども紹介し、幅広くグリーンエネルギーの活用を推進する姿勢を示した。
ポールワークス
世界有数の製鉄プラントメーカーのSMSグループで、本社は欧州のルクセンブルクにある。グリーンスチールを全面的にアピールし、鉄鋼業界の二酸化炭素削減の動きをアピール。台湾でグリーンスチールの本格的な普及を図るサポートに取り組んでいる。
■カーボンクレジット
エンキング・インターナショナル
インドのカーボンクレジットのトレーディング企業。2008年にインドで設立し、現在では3000を超えるユーザーを抱え、40カ国以上で事業を展開。世界中の顧客に対し1億8000万のクレジットを供給する。
台湾での事業拡大を狙い「TASS2022」にブースを出展。半導体産業やリサイクル産業をターゲットに台湾での事業発展を目指す考え。将来的には日本への進出も視野に入れている。
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