2025年7月15日
商社の経営戦略/10年先を見据えて/日鉄物産 中村真一社長/電磁鋼板SC世界で拡充/「真のグループ中核商社」機能発揮
――中長期経営計画(22ー25年度)の最終年度を迎えた。
「連結経常利益が22年度513億円、23年度528億円と好調に推移したことから、最終目標を中長期経営計画当初の450億円+αから500億円に引き上げた。24年度は国際鋼材市況が下落し、国内鋼材需要も低迷するなど厳しい環境だったが、中長期経営計画で打ち出した成長戦略の効果を引き出しながら、産機・インフラ事業におけるタイの工業団地事業の収益拡大もあって、経常利益は536億円と4年連続で最高益を更新し、純利益も368億円と21年度の354億円を上回って最高益を更新した」
――25年度の環境認識と課題は。
「中国製鋼材の安値輸出が続いており、米国の関税政策の影響が直接・間接的に広がるなど経営環境はさらに悪化している。収益力強化策を追加しつつ、将来の利益成長に必要な人財確保・育成、日本製鉄グループとのシナジー発揮に注力する」
――25年度は500億円の予想。
「24年度は産機・インフラ事業の一過性利益が約30億円あって、実力は500億円強だった。25年度は国内事業の体質をさらに強化し、海外事業の拡大策も推し進め、500億円強の利益水準維持を目指す」
――中長期経営計画の主要施策「事業基盤強化」「成長戦略」「ESG経営の深化」の手応えは。
「事業基盤強化と成長戦略は、これらを両輪で回し続け、収益力が確実に高まってきているが、急激な環境変化が生じていることから追加施策などの補強、見直しを図っている。ESG経営については、23年4月の日本製鉄による子会社化、つまり非上場企業となった後も経営の重点課題として位置付け、社会的要請への適切な対応と当社グループのガバナンス向上、リスクマネジメント強化に取り組んでいる」
――投融資については21年度からの5年間で750億円を計画する。
「海外市場におけるインサイダー化・高機能材をキーワードに成長戦略としての投融資を積極的に進めている。24年度はフィリンピン現法営業活動開始、シンガポール土木建材販売大手のMlion社への出資を行い、25年度に入りノルウェーの水電解装置製造販売会社への追加出資も行った。今後もトレードと投資の最適化による需給に左右されない事業基盤の確立を目指していく」
――財務健全性との両立は。
「24年度末の自己資本は3975億円で、21年度末の2554億円から約1420億円増加し、自己資本比率は35%を超えてきた。投融資を実行しながらネットDEレシオは21年度末の0・95倍から0・72倍まで改善している」
――主力の鉄鋼事業における重点テーマの進捗状況について「電磁鋼板の加工・物流機能強化」から。
「北米における電磁鋼板加工拠点として新設したニッポン・スチール・トレーディング・コイルセンター・メキシコが本年4月に操業を開始した。北米市場におけるEV化が減速し、当初の目論見通りとはいかないが、中長期スパンで確実に増える現地の電磁鋼板需要を捕捉していく。国内では24年8月に電機資材を子会社化した。電機資材のきめ細やかな営業力を活用し、機能分担を図りながら、マーケット対応力を強化している。AI需要に伴って急増しているデータセンター建設が、空調機器モーター用の無方向性電磁鋼板の需要を押し上げ、電力需要増に伴う変圧器用の方向性鋼板の需要拡大にもつながっている。電磁鋼板は日本製鉄が注力する高付加価値商品で、グループ中核商社としての加工・物流機能強化の期待に応えるためグローバル規模でサプライチェーン(SC)を拡充していきたい」
――「流通・加工最適化の推進」については。
「国内では、複数会社の合併によるNSTCCの設立、加工・物流拠点の集約を行ってきた。海外でも地産地消や関税政策などによって需要捕捉が難しくなってきている地域があり、投融資を絡めた新たな総合対策を検討している」
――「冷鉄源の安定調達」は重要度が高まっている。
「日本製鉄が八幡・広畑に電炉を新設し、中山製鋼所と電炉の合弁会社も立ち上げる。日本製鉄グループ内でさらに高まる冷鉄源ニーズに対応するための対策を急いでいる」
――「国内の薄板事業のグループ力強化」を推進中。
「建材薄板分野における競争力強化を目的に、NS建材薄板を合併した。子会社の月星商事も含めたNS建材薄板のきめ細やかな国内営業体制を維持しつつ、当社の幅広い事業領域と日本製鉄グループ会社間のハブ機能を融合させ、一貫競争力の強化を図っている。建築、工事、土木、建材薄板を含めた総合販売体制も拡充しており、建材分野での総合力を強化していく」
――「米州、インドなど海外事業拡大」も重要なテーマ。
「いずれも日本製鉄の海外最重要地域であり、中核商社としてグループ全体の収益に貢献するための付加価値を備えたサプライチェーンを創出していく。そのために必要な事業投資と人財投入については積極的に経営判断していく」
――日本製鉄によるUSスチールの買収が完了した。中核商社としての追加施策、新たな投融資戦略は。
「USスチールには既存の商流があり、直ちに販売の機会が巡ってくるわけではない。日本製鉄のUSスチールへの投資による新たなビジネスチャンスを逃さず、中核商社としての役割をしっかりと果たしていく」
――インドにおいては設備投資を続けている。
「デリー近郊の工業団地にあるニムラナ・スチールサービスセンター・インディアがスリッター、レベラー、プレスなどの設備を保有し、エアコンや自動車向けの鋼材加工を行っている。23年8月、インド南東部で第2工場となるスリシティ工場を稼働させた。今後は工場の増設と設備増強を目指している」
――「日本製鉄の戦略商品の輸出力強化」にも取り組む。
「日本製鉄の施策にあわせ、高級品や熱延コイルに代表される汎用品の輸出強化に取り組んでいる。アンチダンピングやセーフガードにより輸出可能な市場が縮小していくなかで、新たな販売先の確保に努めている。バングラデシュで鋼構造物の設計・施工、鋼材・建築製品の加工・販売を行う大手鋼材流通企業、マクドナルド・スチール・ビルディング・プロダクツと同国内における土木・建設案件の協業に関する覚書を24年末に交わした。欧州ではオーストリア現地法人の傘下にロンドン支店を開設し、ウィーンとの2拠点体制での営業活動を展開し、再生可能エネルギーや水素などカーボンニュートラル関連需要や航空機など高機能材料の需要を開拓していく」
――カーボンニュートラルへの取り組みも加速している。
「シンガポール最大級の鋼管問屋HUPSTEELに向けて、日本製鉄のグリーンスチール『NS Carbolex Neutral』として受注したシームレス鋼管の販売を開始した。またノルウェーでグリーン水素製造に必要な水電解装置の開発などを手掛けるハイスター社に追加出資を実施するなど、カーボンニュートラル社会の実現に向けて積極的に取り組んでいる」
――産機・インフラ事業は工業団地ビジネスの拡充を進めている。
「タイ、ベトナム、メキシコの事業パートナーとの事業拡張とカーボンニュートラル分野での新規ビジネスの創出に取り組んでいる。本年4月には、ベトナムの大手工業団地デベロッパーであるヴィグラセラ社と工業団地の販売代理店契約を締結した。タイ、メキシコなどで培った豊富な経験を生かし、ベトナム南部から全土に工業団地事業を拡大していきたい」
――食糧事業の収益拡充策は。
「主力商品である畜産物の国内消費量は、人口が減少する中でも堅調に推移する見通し。汎用品から付加価値の高い商品へシフトし、加工・物流機能に磨きをかけ、事業に厚みを持たせて収益の拡大を図っている。伸び行く海外市場では、既存の拠点に加えてアセアン市場における新規拠点の設置計画を進めている。国内取引で蓄積したノウハウを海外に移植して、畜産物を主力に地場取引の拡大を加え、収益の上積みを図っていく」
――繊維事業について。
「自社工場の活用最大化によるグローバル市場の開拓に取り組んでいる。既存顧客との取組、新規分野への事業投資など成長戦略による植物由来素材、医療系アパレル、新たな素材ブランド獲得などの効果を引き出してきている」
――次期5カ年計画を策定中。
「日本製鉄グループ企業として中長期経営計画の検討を進めている」
――長期ビジョンも描く。
「日本製鉄グループとのシナジーを最大化しつつ、独自の施策を重ねていくことで持続的成長を図っていきたい」
――日本製鉄は、日鉄物産の子会社化に続いて、ステンレス事業を一体化し、山陽特殊製鋼を子会社化した。グループ中核商社として販売、調達などのさらなる機能拡大が期待される。
「子会社化によって、あらゆる戦略を共有することが可能となった。国内においては鋼材需要が縮小し、伸びる海外市場では人財が不足する。日本製鉄グループにおける営業のコーディネート機能を意識しながら、成長が期待できる地域へ経営資源を投入し、真のグループ中核商社としての機能発揮に努めていく」
――人財戦略を強化・推進する。
「商社にとって『人』は最大の財産であり、人的資本経営の推進による強靭な企業体質の構築に注力している。『人的資本の拡充、ダイバーシティ&インクルージョン、健康経営、働き方改革』を人財戦略の4つの柱とし、多様な人財が能力を最大限に発揮できる環境づくりに注力している」
――企業理念を「人を育て人を活かし、人を大切にする企業グループを創る」と定めている。
「社員一人一人の自己成長への意欲を支援する機会を提供しながら、グローバル対応力や専門性の強化のための能力開発メニューを整備し、プロフェッショナル人財の育成に注力している。学生向けのインターンシップやキャリア採用など優秀な人財を確保する工夫を重ね、多様な人財が最大限に能力を発揮できる環境整備も進めている。育児・介護など支援制度の充実を図り、女性やシニア社員の一層の活躍に向けて人事制度の見直しにも取り組んでいる。24年度は組合員一人当たり3万円のベースアップ、3年連続最高益に応える賞与も実施し、新卒総合職の初任給を30万円に引き上げた」
――採用者を増やしている。
「新卒採用は22年度10人、23年度34人、24年度50人、25年度63人。キャリア採用は業容拡大に伴い、専門的な知識と豊富な経験を持つキャリア社員の採用に力を入れており、23年度49人、24年度49人と高水準の採用を続ける。サポート体制を充実させ、活躍を支援する環境づくりを進めていく」(谷藤 真澄)
「連結経常利益が22年度513億円、23年度528億円と好調に推移したことから、最終目標を中長期経営計画当初の450億円+αから500億円に引き上げた。24年度は国際鋼材市況が下落し、国内鋼材需要も低迷するなど厳しい環境だったが、中長期経営計画で打ち出した成長戦略の効果を引き出しながら、産機・インフラ事業におけるタイの工業団地事業の収益拡大もあって、経常利益は536億円と4年連続で最高益を更新し、純利益も368億円と21年度の354億円を上回って最高益を更新した」
――25年度の環境認識と課題は。
「中国製鋼材の安値輸出が続いており、米国の関税政策の影響が直接・間接的に広がるなど経営環境はさらに悪化している。収益力強化策を追加しつつ、将来の利益成長に必要な人財確保・育成、日本製鉄グループとのシナジー発揮に注力する」
――25年度は500億円の予想。
「24年度は産機・インフラ事業の一過性利益が約30億円あって、実力は500億円強だった。25年度は国内事業の体質をさらに強化し、海外事業の拡大策も推し進め、500億円強の利益水準維持を目指す」
――中長期経営計画の主要施策「事業基盤強化」「成長戦略」「ESG経営の深化」の手応えは。
「事業基盤強化と成長戦略は、これらを両輪で回し続け、収益力が確実に高まってきているが、急激な環境変化が生じていることから追加施策などの補強、見直しを図っている。ESG経営については、23年4月の日本製鉄による子会社化、つまり非上場企業となった後も経営の重点課題として位置付け、社会的要請への適切な対応と当社グループのガバナンス向上、リスクマネジメント強化に取り組んでいる」
――投融資については21年度からの5年間で750億円を計画する。
「海外市場におけるインサイダー化・高機能材をキーワードに成長戦略としての投融資を積極的に進めている。24年度はフィリンピン現法営業活動開始、シンガポール土木建材販売大手のMlion社への出資を行い、25年度に入りノルウェーの水電解装置製造販売会社への追加出資も行った。今後もトレードと投資の最適化による需給に左右されない事業基盤の確立を目指していく」
――財務健全性との両立は。
「24年度末の自己資本は3975億円で、21年度末の2554億円から約1420億円増加し、自己資本比率は35%を超えてきた。投融資を実行しながらネットDEレシオは21年度末の0・95倍から0・72倍まで改善している」
――主力の鉄鋼事業における重点テーマの進捗状況について「電磁鋼板の加工・物流機能強化」から。
「北米における電磁鋼板加工拠点として新設したニッポン・スチール・トレーディング・コイルセンター・メキシコが本年4月に操業を開始した。北米市場におけるEV化が減速し、当初の目論見通りとはいかないが、中長期スパンで確実に増える現地の電磁鋼板需要を捕捉していく。国内では24年8月に電機資材を子会社化した。電機資材のきめ細やかな営業力を活用し、機能分担を図りながら、マーケット対応力を強化している。AI需要に伴って急増しているデータセンター建設が、空調機器モーター用の無方向性電磁鋼板の需要を押し上げ、電力需要増に伴う変圧器用の方向性鋼板の需要拡大にもつながっている。電磁鋼板は日本製鉄が注力する高付加価値商品で、グループ中核商社としての加工・物流機能強化の期待に応えるためグローバル規模でサプライチェーン(SC)を拡充していきたい」
――「流通・加工最適化の推進」については。
「国内では、複数会社の合併によるNSTCCの設立、加工・物流拠点の集約を行ってきた。海外でも地産地消や関税政策などによって需要捕捉が難しくなってきている地域があり、投融資を絡めた新たな総合対策を検討している」
――「冷鉄源の安定調達」は重要度が高まっている。
「日本製鉄が八幡・広畑に電炉を新設し、中山製鋼所と電炉の合弁会社も立ち上げる。日本製鉄グループ内でさらに高まる冷鉄源ニーズに対応するための対策を急いでいる」
――「国内の薄板事業のグループ力強化」を推進中。
「建材薄板分野における競争力強化を目的に、NS建材薄板を合併した。子会社の月星商事も含めたNS建材薄板のきめ細やかな国内営業体制を維持しつつ、当社の幅広い事業領域と日本製鉄グループ会社間のハブ機能を融合させ、一貫競争力の強化を図っている。建築、工事、土木、建材薄板を含めた総合販売体制も拡充しており、建材分野での総合力を強化していく」
――「米州、インドなど海外事業拡大」も重要なテーマ。
「いずれも日本製鉄の海外最重要地域であり、中核商社としてグループ全体の収益に貢献するための付加価値を備えたサプライチェーンを創出していく。そのために必要な事業投資と人財投入については積極的に経営判断していく」
――日本製鉄によるUSスチールの買収が完了した。中核商社としての追加施策、新たな投融資戦略は。
「USスチールには既存の商流があり、直ちに販売の機会が巡ってくるわけではない。日本製鉄のUSスチールへの投資による新たなビジネスチャンスを逃さず、中核商社としての役割をしっかりと果たしていく」
――インドにおいては設備投資を続けている。
「デリー近郊の工業団地にあるニムラナ・スチールサービスセンター・インディアがスリッター、レベラー、プレスなどの設備を保有し、エアコンや自動車向けの鋼材加工を行っている。23年8月、インド南東部で第2工場となるスリシティ工場を稼働させた。今後は工場の増設と設備増強を目指している」
――「日本製鉄の戦略商品の輸出力強化」にも取り組む。「日本製鉄の施策にあわせ、高級品や熱延コイルに代表される汎用品の輸出強化に取り組んでいる。アンチダンピングやセーフガードにより輸出可能な市場が縮小していくなかで、新たな販売先の確保に努めている。バングラデシュで鋼構造物の設計・施工、鋼材・建築製品の加工・販売を行う大手鋼材流通企業、マクドナルド・スチール・ビルディング・プロダクツと同国内における土木・建設案件の協業に関する覚書を24年末に交わした。欧州ではオーストリア現地法人の傘下にロンドン支店を開設し、ウィーンとの2拠点体制での営業活動を展開し、再生可能エネルギーや水素などカーボンニュートラル関連需要や航空機など高機能材料の需要を開拓していく」
――カーボンニュートラルへの取り組みも加速している。
「シンガポール最大級の鋼管問屋HUPSTEELに向けて、日本製鉄のグリーンスチール『NS Carbolex Neutral』として受注したシームレス鋼管の販売を開始した。またノルウェーでグリーン水素製造に必要な水電解装置の開発などを手掛けるハイスター社に追加出資を実施するなど、カーボンニュートラル社会の実現に向けて積極的に取り組んでいる」
――産機・インフラ事業は工業団地ビジネスの拡充を進めている。
「タイ、ベトナム、メキシコの事業パートナーとの事業拡張とカーボンニュートラル分野での新規ビジネスの創出に取り組んでいる。本年4月には、ベトナムの大手工業団地デベロッパーであるヴィグラセラ社と工業団地の販売代理店契約を締結した。タイ、メキシコなどで培った豊富な経験を生かし、ベトナム南部から全土に工業団地事業を拡大していきたい」
――食糧事業の収益拡充策は。
「主力商品である畜産物の国内消費量は、人口が減少する中でも堅調に推移する見通し。汎用品から付加価値の高い商品へシフトし、加工・物流機能に磨きをかけ、事業に厚みを持たせて収益の拡大を図っている。伸び行く海外市場では、既存の拠点に加えてアセアン市場における新規拠点の設置計画を進めている。国内取引で蓄積したノウハウを海外に移植して、畜産物を主力に地場取引の拡大を加え、収益の上積みを図っていく」
――繊維事業について。
「自社工場の活用最大化によるグローバル市場の開拓に取り組んでいる。既存顧客との取組、新規分野への事業投資など成長戦略による植物由来素材、医療系アパレル、新たな素材ブランド獲得などの効果を引き出してきている」
――次期5カ年計画を策定中。
「日本製鉄グループ企業として中長期経営計画の検討を進めている」
――長期ビジョンも描く。
「日本製鉄グループとのシナジーを最大化しつつ、独自の施策を重ねていくことで持続的成長を図っていきたい」
――日本製鉄は、日鉄物産の子会社化に続いて、ステンレス事業を一体化し、山陽特殊製鋼を子会社化した。グループ中核商社として販売、調達などのさらなる機能拡大が期待される。
「子会社化によって、あらゆる戦略を共有することが可能となった。国内においては鋼材需要が縮小し、伸びる海外市場では人財が不足する。日本製鉄グループにおける営業のコーディネート機能を意識しながら、成長が期待できる地域へ経営資源を投入し、真のグループ中核商社としての機能発揮に努めていく」
――人財戦略を強化・推進する。
「商社にとって『人』は最大の財産であり、人的資本経営の推進による強靭な企業体質の構築に注力している。『人的資本の拡充、ダイバーシティ&インクルージョン、健康経営、働き方改革』を人財戦略の4つの柱とし、多様な人財が能力を最大限に発揮できる環境づくりに注力している」
――企業理念を「人を育て人を活かし、人を大切にする企業グループを創る」と定めている。
「社員一人一人の自己成長への意欲を支援する機会を提供しながら、グローバル対応力や専門性の強化のための能力開発メニューを整備し、プロフェッショナル人財の育成に注力している。学生向けのインターンシップやキャリア採用など優秀な人財を確保する工夫を重ね、多様な人財が最大限に能力を発揮できる環境整備も進めている。育児・介護など支援制度の充実を図り、女性やシニア社員の一層の活躍に向けて人事制度の見直しにも取り組んでいる。24年度は組合員一人当たり3万円のベースアップ、3年連続最高益に応える賞与も実施し、新卒総合職の初任給を30万円に引き上げた」
――採用者を増やしている。
「新卒採用は22年度10人、23年度34人、24年度50人、25年度63人。キャリア採用は業容拡大に伴い、専門的な知識と豊富な経験を持つキャリア社員の採用に力を入れており、23年度49人、24年度49人と高水準の採用を続ける。サポート体制を充実させ、活躍を支援する環境づくりを進めていく」(谷藤 真澄)












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