一方でUSスチールがいよいよ収益を拡大し、USSの実力ベースの利益は通期見通しが前回予想を800億円上回る1800億円以上と当社グループの稼ぐ頭となり、牽引するステージに入ってきている。第1四半期の実力ベースの連結事業利益1084億円のうち国内471億円、海外613億円となり、海外のうちUSSが322億円と貢献している。
グローバルな構造に変化を見据えて、北米や欧州、インドと中国影響が受けにくい地域に集中的に先行投資を進めてきた成果でもあり、さらなる利益成長を実現したいと考えている。 通期予想の売上収益11兆2000億円のうち、USSは3兆円強となる。実力利益は7000億円以上を予想し、前回見通しとの比較で国内のマイナス900億円を海外のプラス900億円で相殺する格好であり、海外のプラスはUSSによるところが大きい。
通期の実力利益予想の前回予想との比較で、国内のマイナス900億円のうち中東影響が600億円程度を見込み、そのうち250億円が第1四半期に生じた。中東影響は前回500億円と想定したが、250億円に半減できたのは、出荷影響について他地域でのリカバリーや拠点を変えて輸出して補ったことと、コスト影響もごく一部だが価格に反映した。400億円のマイナス分は原料炭価格の上昇や為替の円安影響など。コスト改善のプラス100億円で900億円のマイナスとなる。
海外はUSSの800億円と原料事業100億円で合計900億円のプラスとなる。
上期は中東影響による一部コストアップ分を販売価格に反映しているが十分ではなく、実力利益の予想は2500億円程度にとどまるが、下期は4500億円以上を予想し、年率9000億円にこだわり、それ以上を確保する考えだ。
――金融収益費用が第1四半期で316億円のマイナスとなったが、通期はどの程度の見込みか。
「USスチール買収に伴う金利の増加は第1四半期に反映しているので、通期はこれ(第四半期の金融収益費用)の4倍となる見通しだが、足元金利がアップしているので金利上昇分が乗ってくる可能性がある。通期の見通しで金利費用を開示していないのはフリーキャッシュフローをさらに改善していこうと考えており、資金調達戦略にも関わるためでもある。25年度の金融収益費用は700億円のマイナスだったが、今年度は第1四半期のマイナス約300億円の4倍となるイメージだが、月数差が大きく、USS買収資金の月数差があり、USSの借入金の金利負担もあり、金利上昇が反映されている。パーマネント化し、金利の条件が上がっていることもある」
――中東影響を軽減するために拠点を変えて輸出したというが、どのようなことか。
「ホルムズ海峡を通過できないので、海外のコイルセンターなど拠点を活用してお客様に届けたということ」
――上昇している米国の鋼材市況は下期に調整される可能性があるとのことだが、米国市場の先行きのリスクをどう考えているか。
「米国はインフレが懸念され、経済の下振れリスクを常に抱えているが、米国経済自体は非常に強い。自動車生産は安定し、建設分野もデータセンター向けが牽引し、総じて需要は堅調だ。輸入鋼材がわずかに増え、これだけ鋼材の市況が高いと関税を乗り越えて入り始めているが、輸入量の水準は低く、関税引き上げ前に比べると半減している。結果的に米国内の鉄鋼メーカーの製鋼の稼働率は2021年以来で80%を超えている。利上げによる建設需要の減速や輸入鋼材によって鋼材市況が調整される懸念はあり、中東情勢や米国の鋼材市況をみて四半期の決算ごとに通期予想を検討するが、今は固め(慎重)にみている」
――ひも付分野、市況分野の鋼材値上げの浸透状況は。
「ひも付き分野はお客様によって四半期や半期でコストを価格に反映しているが、中東情勢の影響で一部来年度に持ち越すものがある。市況分野はトン1万5000円の値上げを唱え、浸透は半ばとみているが、下期に向けてフルに浸透させていきたいと考えている。国内事業は利益が低調であり、値上げを浸透させなければならない。日本政府が輸入鋼材に対するアンチダンピング措置を進めており、輸入に一定の歯止めをかけることができれば、国内の鋼材市況を上げることができるとみている」
――中国の大量鋼材輸出の影響に変化は。
「中国は国内需要が減少しているが、粗鋼生産はさほど減少せず、年1億トン規模の鋼材輸出は変わっていない。ベトナムやインドからの欧州向けの輸出が欧州のセーフガードで遮断され、還流した鋼材が東南アジアの市場に影響している。一方で米国は鋼材市況の水準が高く、欧州も緩やかに市況が上がり、インドも需要が伸びて市況は上がる。インサイダー化すれば、メリットを享受できるとあらためて感じている」
――為替リスクをどうヘッジしていくか。
「海外事業のウェートが上がっており、今のところ円安影響はニュートラルとなっている。国内の製鉄事業の利益はコストアップで悪化するが、海外事業は為替換算でプラスとなる。原料投資、海外事業投資含め為替リスクはヘッジされている」
――USSが収益を生む体質に変わっている。買収から1年経ち、改善の状況などどう認識しているか。
「守られた市場へのインサイダー化を求めたが、USSがなぜ競争力を失ったかというと守られた市場だったからと言える。高い鋼材価格で我々のコスト競争力であればもっと利益が出るはずであり、シナジーを上乗せし、戦略的投資を実行していく。28年末までに米国内で110億ドルの投資を計画し、(35年までに)設備投資効果25億ドルを見込んでいる。設備投資による効果は実行すれば発揮できるので心配していないが、大事なことは製販一体で納期を守ることであり、一貫品質管理、コスト、製販でのデリバリーのレベルを上げているところだ。USSの社員も前向きに取り組んでおり、26年度予想のシナジー効果を前回の2億ドルから今回3億ドルに引き上げた。これだけで160億円ほどの改善を積み上げることになる。ビッグリバー2も順調に生産量が拡大し、6月に20万トンと月次の新記録を更新した。USSの社員とともに当社の派遣者が生産の安定化に努めており、シナジーの一環であり、目に見えて改善している一つと言える」


























