USスチール、モンバレーに新熱延設備 4700億円投資 能力年350万トンに拡大

 日本製鉄は23日、完全子会社で米高炉大手のUSスチールがペンシルベニア州のモンバレー製鉄所エドガー・トムソン地区に新たな熱延設備を建設することを決めたと発表した。日鉄がUSスチール買収時に掲げた110億ドルの投資計画の一環で、約30億ドル(4700億円)を今回の投資に充てる。既存設備を更新し、熱延設備の年間生産能力を現在の約220万トンから約350万トンに拡大。自動車や家電、エネルギー分野をはじめ、幅広い需要に対応できる供給体制を構築する。

 2029年後半の稼働開始を予定。熱延設備の新鋭化に加え、ウォーキングビーム加熱炉やサイジングプレスなども導入し、生産性向上や省エネルギー化、歩留まり改善、品質安定化につなげる。

 日鉄はUSスチールを北米戦略の中核拠点と位置付ける。今回の投資で競争力強化を図るとともに、顧客への高品質な製品・サービスの提供、地域雇用の維持・創出などを通じて、米国市場でのプレゼンス向上を目指す。

 国内では名古屋製鉄所に約3000億円を投じて更新した新熱延ラインが今年8月に稼働を開始した。同ラインの生産能力が年間約600万トンであるのに対し、モンバレーの新熱延はその6割程度だが、投資額は建設コストや機械設備の高騰、米国の物価上昇などを受け、名古屋の1・5倍に膨らむ。

 ただ、米国は鉄鋼関税の影響で、直近の鋼材市況が日本の約2倍の高さに達しており、米国鉄鋼メーカーの利益率は高水準で推移している。

 現地調査会社によると、今回のプロジェクトはペンシルベニア州全域で5100―6300人の雇用を支え、3年間にわたり4600万―5800万ドルの州・地方税収をもたらすと試算する。

 同地区では約1億ドルを投じて、高炉から出るスラグを冷却・加工する「スラグ整粒機」の建設も進めている。セメントなどに使用できるよう処理することで廃棄量を削減し、地球環境保護に貢献する。



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