業界団体トップに聞く/全日本一般缶工業団体連合会/最上裕光会長/(最上CAN社長)/若手の挑戦で業界活性化/スチール缶高リサイクル率PR

業界団体トップに聞く/全日本一般缶工業団体連合会/最上裕光会長/(最上CAN社長)/若手の挑戦で業界活性化/スチール缶高リサイクル率PR
 ――一般缶業界の現状から。

 「少子化による人口減少でわれわれの業界に限らず、国内市場全体が縮小傾向にあり、これから伸びていくのは厳しい。ただ、一般缶は絶対になくなるものではない。活況なインバウンドなど伸びしろのある新しい需要を今後どれだけ取り込んでいけるか。近年、外部の方々から『一般缶業界は若返っている』と言ってもらうことが増えてきた。世代交代が進み、若い経営者がこれまでになかったアイデアを生み出し、挑戦してくれていることが業界全体の活性化につながっている。団体行事への参加者数も増えており、納涼会など好評を得ている。会員同士が顔を合わせることで、いろんな話のきっかけにしてほしい。来年年始の賀詞交歓会は、全国18リットル缶工業組合連合会と初めて合同で開催する。例年、遠方から両会ともに参加する人が多く、日程がずれると負担になっていた。初の試みということもあり改善点は出てくるだろうが、費用面なども含めて合理化できることから模索していきたい」

 ――足元の市場環境は。中東情勢の影響などで、缶への認識が高まっている。

 「中東情勢については、春先から塗料やシンナー不足の懸念で塗料缶の出荷が増加している。ただ、実需で増えているわけではなく、いずれは反動が来るだろう。樹脂不足により、プラスチック容器からスチール容器への転換が一部であった。安定供給の観点から缶が選択肢の一つとして見直される機会になったと思う。また、近年頻繁に発生している自然災害を受け、防災意識が一段と高まっている。非常食用缶詰など、一般缶の需要増に結び付いている」

 ――価格転嫁の現状について。

 「特に工業缶は年々、価格転嫁への理解が進んでいると感じる。素材の値上げ以外にも、人件費や運送費、エネルギー、副資材といった各コスト上昇分も、適正価格で認めてもらえるようになってきた。一方、菓子缶の値上げは長年の商習慣もあり、工業缶に比べて厳しい状況にある。現在、製缶メーカー各社は秋に向けた値上げに動き出している。以前は大口である18リットル缶の値上げが決まってから、小口であるわれわれ一般缶も動くという流れだった。しかし、ここ数年は18リットル缶とは別で決着することが多くなってきた。一般缶は18リットル缶よりも在庫の回転が早くてリードタイムが短く、価格転嫁への危機感が大きい。適正に価格改正することが賃上げなど会社の収益率にも関わってくる。さらに、今は価格だけでなく供給保証が求められている。安定供給こそが製品の価値につながる」

 ――スチール缶の価値を広めることが、今後取り組むべきことの一つに挙げられる。

 「スチール缶は他の容器に比べてリサイクル率が高く、優れた環境性を持つ。この利点をもっと多くの人に知ってもらう必要がある。われわれ一般缶業界だけでなく、鉄鋼メーカーや金属印刷企業、需要家と力を合わせ、アピールしていければと思う。長い時間を要するが、大人だけでなく子どもや若い人に向けても、教育現場でスチール缶の高いリサイクル率や環境性について啓発していくことも一つの方法だ」

 ――会員企業の共通の課題とは。

 「どの業界でも人手不足と言われている中で、昔と比べて学校での工場見学の機会が減るなど、今の若い人たちはものづくりや製造業を身近に感じることが少なくなっている。製造業のことを知らないから興味を持つことができないのではないかと考える。当社の社員にも言えることだが、実際にものづくりの現場で働いてみると、興味を持ってくれる人がいる。大変な世界ではあるが、こういう人たちがもっとものづくりに触れる機会を作ることが大切だ」

 ――今後の一般缶業界の在り方、次世代に伝えたいことを。

 「一般缶業界は、会社の規模にかかわらず各社が異なる強みを持っている。デザインや機能性、販売方法、柔軟な設計技術など、それぞれ独自の切り口で、個性を花開かせてほしい。自社の長所を発揮すれば、必ず生き残る道はある。冒頭にも申した通り、若手経営者の『変わろう』とする気持ちに期待している。業界の規模が縮小傾向にあり、みんな苦しんでいる時こそ、良いアイデアが生まれる。情報の共有や連携をさらに深め、持続可能で魅力ある一般缶業界にしていきたい」 (篠原 沙綾)

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