2020年9月25日

「電線メーカーの自動車戦略」山村隆史・昭和電線HD執行役員 高機能銅材料に注力

 昭和電線ホールディングスの電装・コンポーネンツ事業は、戦略製品の無酸素銅線材「MiDIP」や銅合金線に注力する。高品位特性を生かし、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)需要の取り込みを図る考えだ。電装・コンポーネンツ事業セグメント長で、昭和電線ユニマック(本社=三重県いなべ市)の社長を兼務する山村隆史・執行役員に足元の事業環境と今後の戦略を聞いた。

 ――足元の車載市場の事業環境をどうみるか。

 「自動車の生産台数は回復基調で推移している。8―9月が需要の底でそこから緩やかに回復していくとみている。コロナ禍の影響は春先まで残るだろう。ガソリン車向けの車載部品よりもEV(電気自動車)やHV(ハイブリッド車)向けの部品のほうが立ち上がりは早いとみている」

 ――CASEの進展はどうか。

 「自動車の電動化に伴い、駆動用モーターに使われる平角巻線のニーズは拡大する。また、自動車の高機能化の進展に伴い、スマートフォンやタブレット端末に使われている径が0・023―0・226ミリメートルの極細平角巻線の需要は拡大する。2022年度までに車載用巻線と極細平角巻線の生産能力をそれぞれ50%増強する予定だ」

 ――戦略製品の一つの高品位無酸素銅線材「MiDIP」の取り組みを。

 「駆動モーターに使われる巻線は耐電圧性が求められる。わずかな酸素量の違いやミクロン単位の傷が製品の不具合につながる。需要家からは加工性の良さを評価いただいている。昭和電線ユニマックと昭和電線ケーブルシステム(CS、本社=川崎市、川瀬幸雄社長)が一緒になって高品位無酸素銅を安定的に製造するための技術開発を進めていく。また、昭和電線CSはこれまで、無酸素銅線材だけで営業していたが、平角状にするなど付加価値を付けた二次加工品の販売を開始している」

 ――ヒーター線事業にも注力しているが。

 「HVやEVでは車内の熱源の確保が必要となる。シートヒーターやハンドルヒーターの需要は増える。センサーを安定的に稼働させるためには、センサー部の温度のコントロールが重要となってくる。CASEの進展に伴い、搭載されるセンサーは増加し、ヒーター線の需要は拡大するとみている。しかし、ヒーター線として需要家に採用されている銅銀合金線は性能が優れているがコストで課題が残る。昭和電線グループ一体となって銅銀合金の性能を保ちつつ、コスト競争力がある合金線の開発を進めていく。22年度には、医療分野向けを合わせて、ヒーター線事業の売り上げ規模を1・5倍に拡大する」

 ――巻線事業の再編を進めている。

 「昨年10月に昭和電線ユニマックを昭和電線ホールディングスの100%子会社とした。本年1月には昭和電線ユニマックの販売事業を昭和電線CSに移管し、4月に昭和電線ユニマックが多摩川電線を吸収合併した。汎用巻線から車載用巻線へ事業の転換を進めてきた。足元では厳しい事業環境が予想されるが、この方針を変えるつもりはない。販売事業を昭和電線CSに移管したことでこれまで取引がなかった需要家に昭和電線ユニマックの製品を提案できるようになった。駆動モーター用の平角巻線や自動車に搭載される電子部品向けの極細平角線の引き合いが増えている。電動化はコロナ禍の影響で加速するだろう。中国はHV、EVの主戦場となることは間違いない。来年1月に新エネルギー車の普及に向けた管理規則が改定される。HVの普及が加速するのではないか。車載用巻線の需要は間違いなく拡大する。巻線を製造する富通集団の天津拠点を有効に使うためにも、技術レベルを高めていきたい」

 ――長期的なビジョンを。

 「50年にはEVやFCV(燃料電池自動車)が自動車の半分を占めるといわれている。モーターが高出力化していく中で、高品位な線材や巻線に対する期待は増していくだろう。高品位で高性能な線材や巻線を開発することによって自動車の変革に貢献できるのではないか」

(玉光 宏)

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