2021年9月9日

鉄鋼業界で働く/女性開発職編 インタビュー/日常生活に発想のヒント

特殊帯鋼の専門商社で、焼入鋼帯・鈑金加工品メーカーでもあるモリテックスチールは2014年、ユニット製品開発部に初めて女性社員を配属した。けいはんなR&Dセンター(京都府精華町)で働く櫻井明莉さんだ。学生時代からモノづくりに関心があったといい、日常生活からヒントを得てさまざまな製品を設計・開発している。入社のきっかけや現在の仕事内容、今後の目標などについて聞いた。

――入社のきっかけは。

「大学時代は生物理工学部というところで学んでおり、自然と技術職を目指していました。モノづくりに興味があったので、鉄鋼業界に限らずさまざま分野の企業を受けていましたね。そんな中、モリテックスチールのホームページを目にする機会があり、自社製品であるルームハンガーの紹介を見て、『アイデアを作り出す仕事をしていて面白い』と感じ応募しました。当時バンドを組んでギターとボーカルを担当していたこともあり、面接では『ギターのシールドを巻くような製品を作ってみたい』とPRしました」

――入社後の仕事内容を。

「入社後1年間は三重大山田工場(三重県伊賀市)の技術開発部で、自動車の鈑金部品について研修を受けながら、流通について学びました。自社製品であるルームハンガーの組み立てなども行いましたね。その後、14年にユニット製品開発部に配属され今に至ります」

――女性初のユニット製品開発部社員と伺いました。

「配属の際、会社からは『女性目線でモノづくりをしてほしい、開発してほしい』と言われました。3年前に結婚しており、どんなものがあったら便利だろうかと考えながら生活し、意見を出しています。先輩の仕事を手伝うなどして学びながら開発に取り組むようになったばかりで、現時点ではまだ女性として配属してもらったことによる貢献はできていないと思います。主婦としての目線を今後生かしたいです」

――これまでに開発した商品は。

「初めて担当を任され販売に至った製品は『ドライリール』です。天井に取り付けて洗濯物や観葉植物などを吊るすリングで、今年2月から全国の大手ホームセンターで販売されています。気になって一度陳列棚を見に行きました(笑)。自分が開発した製品がお店に並んでいるのは不思議な感じがしましたね」

――大変だったことは。

「ユニット製品開発部に配属されて2―3年目のころ、ある製品に原因不明の不具合があり、対応を任されることになりました。原因の追究に努めるも、何から着手すればいいのか分からず、ゴールの見えない状態が続き大変な日々でしたね。半年ほど経って、やっと解決できました」

――直近の仕事は。

「まだ販売していないのですが、新型コロナウイルスの感染拡大で間仕切り板の需要が増えたことに伴い、持ち運べる間仕切り板『飛沫防止スクリーンリール』を設計・開発しました。よくあるアクリル製の間仕切り板はとても重く、持ち運びには向いていません。こちらは間仕切り部分が可動式になっており、少し上に引っ張るだけで自動的にフィルムが出てきて、収納するときは上のバーを押さえると土台部分の中に収納されます。重さは1・2キロなので、急な打ち合わせなどでも簡単に社内で持ち運べます。間仕切り部分はアルコール消毒を頻繁に行う前提で、耐薬性のあるフィルムを採用しました」

――社内でも女性が少ないとのことですが、不便なことなどは。

「仕事自体に関しては特にありませんが、年に一度の社員旅行は宿泊ということもあり、女性が少ないとなると行きづらく、参加していないのが現状です。女性社員が行きやすい日帰りなどの別プランを提案できる場があれば、積極的に発言していきたいと思います」

――今年入社の女性社員が同じ勤務地に配属されたそうですね。

「7月に営業職の女性社員が1人やってきました。職種は違いますが、自社製品の営業を行う部署なので仕事としてつながりがあります。機会を見つけては話しかけ、距離を縮めている最中です」

――社内に女性が増えてほしいと思いますか。

「増えてほしいです。同じ勤務地内の女性社員で、コロナの影響で保育園に子供を預けられなくなり、家に残すわけにもいかず、やむを得ず同伴で出勤したというケースがありました。その際、これまで子供を連れて出勤するケースがなかったため、社内が混乱する場面に遭遇したんです。今は共働きが増えており、出産後も働くのが珍しくない時代です。女性社員が増えることで、男女関係なく共働きや子供に関する理解が増すのではと感じました」

――今後の目標を。

「ヒット製品を手掛けたいです。ハンガー関連製品などは他社メーカーが突出しているので、他社と差を付けられる自社製品を生み出したいです。いつか主人が転勤になった場合、私が退職の選択をしないといけなくなるのが現状ですが、可能な限り、できる形で仕事を続けたいです」

(芦田 彩)

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